せんぱくのしょかんのもっともかそけき(短歌 七月分まとめ)
火は消せり 蕗の香の立てるキッチンできみどりのものひとつと数えて
からからにかわいたのどにせんぱくのしょかんのもっともかそけき波くる
うがいすれば未だ更新の頼りなさ洗面所の薄い影群に立つ
ぶらんこの足ふれぬままの地は救う すくわれぬも無くみどりが生えし
泡の下見すかすように臍見せたる僕等の若き誇りていふもの
止まらない吐気が僕を圧迫す孤独はおおきな月の腹なり
目瞑って大人となりますエプロンに蓄えたもののために泣いてます
アドレスに電波何故だか届きたる薔薇の木に薔薇の花咲く自由に
熊は山鰐なら川に隠れたる人ならごつごつとあたま打つそら
ぶくぶくのしろねこ 地球と呼びたればもう一つの地球がある虚偽なり
根こそぎの雨後のようなる静けさは二、三日置きの白い野球場
やってみて、大きな口と言われたるハンバーガー手渡しで僕へ来る
エア・コンの細腕ゆれる天秤のその下に凄き人が集まる
プルーンの重みによれるプラ容器が手叩く元の形恋しい
あの子ふいに寂しそうな声あげたって生活とその尾足で跨ぎながら
瘡蓋のふとその場所を忘れられ宿舎の象の皺伸ばし見てる
公園の一方向を向いている家鴨の顔を見るでなく見て
お盆には載せられるほどに育ちたるセロリの葉青き温度帯なる
紐解いてはなりませぬなり身勝手に濡れた毛束で生きてるそいつら
接続が切れてしまひて追熟のされない果実並ぶ窓辺に
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ポエム、詩、短歌などを作ります。
最近歴史に興味があります。