【水晶機巧】〜遊戯王テーマ紹介〜

皆さんこんにちは。直江津高校3年生、羽川翼です。

遊戯王を嗜む人なら誰しも、「お気に入りのテーマ」が1つや2つはあることでしょう。

今回は、私にとってのお気に入りテーマ、【水晶機巧】(クリストロン)についての解説記事です。

水晶機巧は、2016年7月に発売された「インベイジョン・オブ・ヴェノム(INOV)」で登場したテーマです。
モンスター全てが水属性・機械族で統一されており、シンクロ召喚を基軸としているのが特徴。
特に、チューナーは全員が相手ターンにS召喚するアクセルシンクロ効果を持っており、相手ターンにS召喚をしながら戦況をコントロールしていくのが基本戦術になります。
S召喚を主軸にしたテーマは、いわゆる「ソリティア展開」に陥りがちですが、そういったイメージとは一線を画する、ユニークなテーマだと言えるでしょう。

「水晶機巧ってハリファイバーしか知らないな……ていうか他にもいたんだ」という人も多いかもしれませんが、この記事を読んで、水晶機巧の魅力に気づいてもらえると嬉しいです。

⑴【水晶機巧】カードの解説

まずはテーマのカードを1枚ずつ見ていきましょう。

①チューナー

Sテーマである水晶機巧。チューナーは3体(+Sチューナーが1体)います。

いずれも、相手メイン・バトルフェイズに、特定の場所からモンスターを特殊召喚し、そのモンスターと自身を素材として機械族をS召喚する効果を持ちます。

☆1チューナー。手札とS
☆2チューナー。墓地とS、素材は除外される
☆3チューナー。除外とS、素材はデッキに戻る

S先こそ機械族に限定されますが、特殊召喚するモンスターはS素材にできるなら何でも良く、手札・墓地・除外の3ヶ所から出せる自由度も魅力です。このチューナーたちだけをアクセルシンクロギミックとして出張させることも可能。
リオン」は効果を使うとデッキに戻るので、除外からの回収ギミックとして使うこともできますし、1枚での使い回しも狙えます。
全員が攻守ともに500で機械族なので、「機巧」モンスターのサーチなどに対応している点もポイント。

②非チューナー

非チューナーは下級が4体、上級が1体。ちなみに下級は各方角を守護する"四神"がモチーフだとか。

下級は「自分場の表カード1枚を割り、水晶機巧チューナーをリクルートする」共通効果と、固有の墓地効果を持っています。

☆2。固有効果は手札からの特殊召喚
機巧ステータスの☆3。固有効果はモンスターサーチ
☆3。固有効果は魔法罠サーチ
☆4。固有効果はトークン生成

①効果を使うと、機械族SのみのEX縛りがつくのには注意が必要です。チューナーの効果で相手ターンSできるのも機械族S限定なので、EXデッキの構築の際は意識しておきましょう。
共通効果でチューナーをリクルートできるのは水晶機巧の強みです。下級4種12枚から状況に応じて必要なチューナーを呼び出せるので、Sデッキにありがちな、チューナー引けず事故!という問題はほぼ起こりません。
ただし、チューナーはデッキからしか出せないので、手札にチューナーが固まると動けなくなってしまいます。基本的にはチューナーの採用枚数は抑えめに、非チューナー下級を厚く採用するのが良いでしょう。
ただ、「シトリィ」は効果を使うと除外され再利用が難しいので、複数枚採用したいところ。「リオン」は1枚で何度も使えるので、上手く採用枚数に傾斜をかけたいですね。

上級は1体。

水晶機巧をコストとした手札・墓地からの特殊召喚+セルフブレイク効果、破壊時のリクルート効果を持ちます。
①②効果はそれぞれ名称ターン1。自身を破壊可能なので、①効果で直接②効果のトリガーを引けること、②効果で同名も出せる点は便利ですね。

③Sモンスター

Sモンスターは4体。うち1体はSチューナーです。
非チューナーのSモンスター3体は、①S召喚成功時効果を、Sチューナーは①アクセルシンクロ効果を、そして全員が②破壊時にモンスターを特殊召喚する効果を、それぞれ持っています

アクセルシンクロ効果&墓地からS以外のクリストロンを蘇生
特殊召喚されたモンスター全員守備&S以外のクリストロンを蘇生
魔法罠全除外&墓地のモンスターなんでも蘇生
モンスター3体以上除外&除外からなんでも特殊召喚

クオンダム」らチューナーたちの効果で相手ターンにS体を出すことで、除去などを飛ばせます。
また、除去手段が多様化している昨今ではやや心許ないものの、破壊された時に後続を呼べるので、それなりに場持ちも良いです。「グリオンガンド」は相手のモンスターも出せるので、自身の効果で除外した相手の強力モンスターを呼ぶのもアリ。

④魔法・罠

魔法・罠カードは計3枚。

パンプ&エンド時ドロー
除外からの特殊召喚&墓地除外での守り効果
手札・墓地からの特殊召喚&墓地送り+レベル変更

魔法は場魔法が1枚。ドロー効果はS召喚での手札消費を回復してくれます。

罠はいずれも展開効果を持っていて、状況に応じて使い分けしたいところ。墓地効果も、水晶機巧を守ったり、墓地を肥やしながらレベル変更ができたり、小回りが効く印象。
エントリー」の①効果で出したモンスターを対象として、次のターンに②効果を使い、②効果で落としたモンスターを「シトリィ」効果の対象とすれば、相手ターンに連続シンクロが可能で、「フェニキシオン」「グリオンガンド」による除去や、「クリスタルP」のドローも期待できるでしょう。

⑤リンクモンスター

水晶機巧にはリンクモンスターもいます。

…………

下の記事で色々と語ったので、是非そちらを読んでください。どうせ二度と帰ってこないだろうし

一応、縛りをつけずにチューナーを用意できたり、相手ターンにSチューナーを簡単に用意できるのは割とありがたかったですね。

⑵【水晶機巧】の動き方

水晶機巧】は、相手ターンにS召喚することがテーマのメインコンセプトに置かれています。
相手ターンにSをするためには、チューナーを場に、チューナーの効果に対応した場所に非チューナーを用意しておく必要があります。
チューナーの用意は先述の通り、非チューナーたちの共通効果で出せば良いので簡単です。問題は非チューナー側を、各チューナーに対応した場所に用意すること。テーマ内に限れば、大体以下のような方法が考えられます。

・「クオン」(手札)→「シストバーン」効果でサーチ
・「シトリィ」(墓地)→「エントリー」墓地効果で墓地肥やし、下級非チューナーのリクルート効果でモンスターを破壊
・「リオン」(除外)→非チューナーの墓地効果、「シトリィ」効果での除外
・「クオンダム」(場)→「プラシレータ」や「サルファフナー」で特殊召喚、「ローズニクス」でトークン生成、「インパクト」で除外から帰還

テーマ外のカードの力を借りるなら、次のような選択肢があるでしょう。

・「クオン」(手札)→「機巧」モンスター効果、「水精鱗-アビスパイク」(☆3限定)、「氷結界」など
・「シトリィ」(墓地)→「アビスパイク」で手札から捨てる、「スクラップ・リサイクラー」、「マスマティシャン」、「ジェネクス・ウンディーネ」、「永遠の淑女 ベアトリーチェ」、「ライトロード・ドミニオン キュリオス」、「おろかな埋葬」、「おろかな副葬」(「エントリー」を落とす)など
・「リオン」(除外)→「孤高除獣」、「封印の黄金櫃」、「抹殺の指名者」など
・「クオンダム」(場)→各種蘇生魔法罠、「二重召喚」、「時を裂く魔瞳」など

水晶機巧】は、これといった初動が明確に用意されているテーマではないので、ここに挙げたカードを上手く使いながら、相手ターンS召喚の準備を整えていきましょう。
水晶機巧」Sモンスターをはじめ、「氷結界の龍 トリシューラ」のような、S召喚成功時に強力な除去・妨害効果などを持つモンスターを相手ターンに出せば、盤面をコントロールできます。【水晶機巧】は、ワンショットキルを実現するような爆発的な展開力には乏しいですが、うまく相手の動きに対応して、細かくアドバンテージを稼ぐのが重要です。

⑶【水晶機巧】の課題

さて、ここからは【水晶機巧】というテーマが持つ課題を説明していきたいと思います。

ここまで【水晶機巧】がいかにしてアドバンテージを取るか、について説明してきましたが、正直なところそれを実現するのはかなり難しいと言わざるを得ません。
その理由を、以下で説明していきましょう。

①モンスターの横並び手段に乏しい(召喚権が重い)

水晶機巧】は、下級のリクルート効果が、「自分場の表カード1枚を破壊」することをコストとしています。
例えばフィールド魔法や永続魔法があれば、それを破壊することでモンスターが2体並びますが、そうではない場合、基本的に、
召喚した自分自身を破壊してチューナーをリクルートする
という動きになりがちで、場にはリクルートしたチューナーが孤独に震えながら立ち尽くしている、という状況になります。

チューナーたちの効果で、場以外のモンスターとS召喚することは可能なのですが、チューナー1体しか場にいなければ、相手ターンSも1回だけしかできません。
必然、「グリオンガンド」のような、召喚条件の重い代わりに強力な除去や妨害効果を持つモンスターは出力できず、どうしても現代遊戯王のアドバンテージ競争では遅れを取ることになります。何なら登場当初から結構微妙だったけど

グリオンガンド」などにつなげるためには、最低でも、盤面にチューナー+非チューナーを1体ずつ、できれば合わせて3体は置いておきたいところ。
水晶機巧】のテーマ内でこれを実現するには、
・「サルファフナー」①②効果で召喚権を使わずリクルート
・「プラシレータ」②効果で手札からの特殊召喚
・「インパクト」「エントリー」で特殊召喚
などが考えられます。
しかし、これらの方法も、次の理由から非常に難しいと言わざるを得ません。

②名称指定のいずれかターン1が重い

水晶機巧】は、相手ターンS召喚をチューナーが、そのためのリソース確保を非チューナーの墓地効果が担うデザインとなっています。①で挙げた、モンスターの横並びをするための手段も、安定して運用するには「プラシレータ」「シストバーン」「スモーガー」などの墓地効果が不可欠です。
なので、積極的に下級非チューナーの墓地効果を使っていきたいところなのですが、ここでネックになるのが「名称指定のいずれかターン1」という縛り。
この縛りによって、下級非チューナーを召喚→①効果で自身を破壊してチューナーをリクルート→墓地効果を使用、という動きができないのです。それをやる前提のテーマデザインじゃないの?なんでできないの?

そのため、効率的にアドバンテージを稼いでいくには、別途、墓地肥やし手段を用意する必要があります。
⑵【水晶機巧】の動き方」では、墓地肥やし手段となるカードを7種類挙げており、「これだけあれば安定して墓地肥やしできるんじゃ?」と思うかもしれません。
しかし、そうは問屋がおろさないのが世の常。

まず、「アビスパイク」「マスマティシャン」「リサイクラー」「ウンディーネ」については、これらのモンスターに召喚権を割く必要があることが大きな問題です。
そもそも、召喚権以外でモンスターの横並びをするために墓地効果を使いたい→墓地肥やしが必要!という話だったのに、墓地肥やしに召喚権を使ってしまっては本末転倒です。
また、「アビスパイク」は墓地効果を使いたいモンスターをそもそも引き込んでいないといけず、「ウンディーネ」は、「ジェネクス・コントローラー」の素引きケアなども問題になるでしょう。

一応、「リサイクラー」から「サルファフナー」を落とし、手札に水晶機巧モンスターがいれば、サルファフナー①②効果で、チューナー+非チューナーを1体ずつ並べることは可能です。「リサイクラー」は、「スクラップ・ラプター」などから比較的安定して出力できるので、墓地肥やし手段としては有力でしょう。
ただし、この場合も「グリオンガンド」など高レベルSに繋げるには、さらに+αが必要になりますし、仮にその+αをクリアして相手ターンSに成功しても、高レベルSモンスターを1体出力するのが精一杯といったところ。

ベアトリーチェ」「キュリオス」についても、召喚権を使わずにこれらを出力するのはかなり要求値が高いです。
一応「キュリオス」は、「七精の解門」ギミックを用いた有名な出力方法があるので、「解門」を水晶機巧下級のリクルート効果コストにできる点は噛み合いが良いです。手札コストも切れるので、手札の非チューナー下級を切って墓地効果を使うこともできますね。ただし、この場合も召喚権は使ってしまいます。
解門」からの「キュリオス」の出し方を知らない人はYouTubeで「城下町 キュリオス」と検索しましょう。

おろ埋」「おろ副」は召喚権を使いませんが、それぞれ制限・準制限カード。安定した運用はほぼ不可能と言っていいでしょう。
おろ副」の場合、「エントリー」を落として墓地効果を使うことになりますが、こちらにもご丁寧に「墓地に送られたターンには使えない」縛りがつけられています。

このように、水晶機巧モンスターを墓地に送る手段自体は多いのですが、召喚権を消費してしまったり、その後の動きに繋がらなかったり、安定性や即時性に難があったりと、いずれも問題があります。
そのため、墓地効果によるアドバンテージ獲得が円滑に行えず、モンスターの横並びや、相手ターンSによる盤面コントロールの出力が低くなってしまうのです。

しかも、この「名称指定のいずれかターン1」という縛りは、中盤以降も大きな枷として足を引っ張ります。

相手ターンSで戦況をコントロールする、比較的低速なテーマデザインがされている【水晶機巧】ですが、1ターンに稼げるアドバンテージは、①効果か②効果のいずれか1つのみです。このアド獲得ペースでは、現代遊戯王のほとんどのデッキに対して遅れを取ります。しかも、中盤以降もそのペースは遅いままなため、「低速デッキなのに、ターンを重ねるほど相手にアド差を広げられる」という現象が起きます。
仮に、なんとか墓地や手札のリソース確保してアド差を埋めることに成功し、デュエルを決着させようと動く時にも、①効果によるチューナーリクルートと、②効果によるアドバンテージ獲得の二者択一を迫られることになります。片方がダメならもう片方でアドバンテージに繋げる、というプレイングが効かないため、相手からの妨害1つ1つがクリティカルにリソースを潰してくることになります。結果的に、手札や墓地のリソースを、縛りによって吐き出しきれず決着をつけられない→返しのターン以降アド差をまた広げられて負け、みたいなことがしばしば発生してしまうのです。

③出力先の不足

①と②で挙げた問題は、「アドバンテージ・リソース獲得手段の不足」、すなわち「エンジンの貧弱さ」としてまとめられるでしょう。
しかし、水晶機巧には、このエンジンが動いた後の出力先も不足しているのです。

水晶機巧の下級非チューナーの①チューナーリクルート効果には「そのターン機械族SしかEX出せなくなる」縛りが、チューナーの相手ターンS効果には「機械族Sを出す」という縛りが、それぞれついています。

必然的に、EXデッキは機械族Sモンスターを中心に構築することになります。
しかし、この「機械族Sモンスター」という集団、かなり層が薄いのです。

上の2枚の画像が、2023年3月現在遊戯王に存在する、総勢62枚の機械族Sたちです。メインデッキに入る水晶機巧のモンスター+チューナーで組めるのは☆3〜S8で、こちらは40枚。中には素材指定があるSモンスターなど、水晶機巧では出せないモンスターもいますが、枚数だけ見れば、まずまず充実しているように思えます。

しかし、「相手ターンに出す」ということを考えると、かなり選択肢は狭まります。S召喚・特殊召喚成功時の効果を持っていて、水晶機巧で出せる☆3〜8のSモンスターは、「アメトリクス」以外では8枚。うち5枚はサーチやサルベージなど、相手ターンに発動する意義が薄い効果です。
フリーチェーンの効果を持つカードはさらに少なく、「アクセル・シンクロン」「HSRマッハゴー・イータ」、の2枚だけ。「A・O・J カタストル」のような、限定的なタイミングでの誘発効果持ちも数体いますが、使い勝手の悪さは否めません。辛うじて、魔法罠発動時に誘発して無効を飛ばせる「F.A. ライトニングマスター」がいる程度。

水晶機巧チューナーから相手ターンに出す機械族Sモンスターのうち、テーマ外で最有力なのはコイツ。

生き残りたい 生き残りたい

☆6というレベルは水晶機巧チューナーの効果で出しやすく、付与した耐性で次のターンまで生き残れば、「グリオンガンド」をはじめとした高レベルSのための素材にもできます。

しかし、コイツ自身が妨害や除去を飛ばすわけではないため、相手の展開はほぼ全て通してしまいます。そこで妨害を置かれたり、一方的にアドバンテージを築かれると、①②で上げたエンジンのひ弱さから、そのまま圧殺されることになります。

一応、「クオンダム」や「フォーミュラ・シンクロン」を経由して、その効果で相手ターンSを行えば、機械族S以外も出せるので、そこで妨害効果持ちを出力する、ということは可能です。
が、そうなると結局①横並びできない問題が邪魔をしてきます。Sチューナーを出すためのモンスター2体+SチューナーとSするための素材モンスターを安定して用意することは、水晶機巧には至難の業です。


このように、【水晶機巧】というテーマは、エンジンが重たくひ弱なだけでなく、着地点も見つからないテーマなのです。運動音痴のデブな上に就職もできないヒキニートかよ言いすぎました。

必然的に、エンジンや出力先は他のテーマに頼ることになります。しかし、そうなると【水晶機巧】を採用する意義はかなり薄いものになってしまうのです。

考えてみてください。召喚権や墓地肥やしが重たい【水晶機巧】というテーマと合わせるなら、「召喚権に依存しない/高い墓地肥やし能力を持つ」カードになります。
そんなカードたちであれば、大抵は【水晶機巧に頼らずとも充分デッキは回転します
相手ターンSという【水晶機巧】の個性も、意義が薄くなってしまいます。それだけのエンジンを持つカードたちなら、【水晶機巧】のような機械族Sという縛りに囚われず、自分ターンに汎用的で強力な着地点を用意できることが多いからです。

例えば「グリオンガンド」は、着地点として優秀な、強力な除去能力と、盤面維持能力を持ちますが、【水晶機巧】で出すのは簡単では無いことは既に述べました。他テーマの着地点として選択肢の1つになることはあっても、【水晶機巧】の着地点とするには課題が多いと言わざるを得ません。

「エンジンは強力だけど着地点が無い」なら、汎用札や、別テーマの着地点にたどり着くために必要なカードをいくつか採用すれば良いし、「着地点は強いけどエンジンは弱い」なら、強力なエンジンに頼れば良いです。しかし、「エンジンも着地点も貧弱」な【水晶機巧】というテーマは、「エンジンも着地点も他テーマに頼る必要がある」ため、「じゃあ最初からそのテーマを中心にデッキ組めば良くね?」になってしまいがちなのです。


⑷水晶機巧の強化案

そんな弱小テーマなのに、新規による強化は2017年の「ハリファイバー」登場以来ありません。
きっとKONAMIの担当者さんが「ハリファイバー出したらめちゃくちゃ暴れちゃったし、このテーマ下手に強化するとヤバそうだな……」と考えているのでしょう。それか使ってる人が少なすぎて強化しても売れないと思われてるか
しかし、ここまで書いてきたように、【水晶機巧】というテーマ自体はかなりの弱小テーマです。多少の強化で環境を荒らしたりはしないので、安心して強化をください!KONAMIさん!!!

ということで、ここでは水晶機巧の強化案を書いていきたいと思います。KONAMIの担当者様が見てらっしゃったら、是非参考にしていただければと思います。

①☆1非チューナー(墓地効果で水晶機巧墓地送り)

これが存在するだけで、
・「フォーミュラが出しやすくなる
・「リンクリボーなどのリンク1に変換することで墓地効果をすぐ使える
墓地送り効果により、他の水晶機巧の墓地効果もすぐ使える
ひいては場、墓地、手札、除外に状況に応じた水晶機巧を用意しやすくなる
2枚初動の組み合わせが飛躍的に増え
などなど、デッキを回転させる能力が飛躍的に向上します。「ワン・フォー・ワン」などにも対応している点もグッド。

墓地効果はともかく、☆1非チューナーが今まで存在してなかったのは逆になんで?感もあるので、強化が来るとしたら割と普通に作られておかしくない気がする。

②☆6〜8S、☆3・5・6sチューナー

出力先不足を解決するための強化案。
普通に、テーマからポンと出せるSモンスターが☆4と☆5の2体だけってヤバい。
特に☆6は出しやすいレベルなので新規で作ってほしい。S召喚時に効果無効とか1体除去とかをつけてくれるとなおよし。

Sチューナーも、高レベルSに繋げるためにもう1体くらいは欲しい。
今だと、「碧鋼の機竜」や「超重天神マスラ-O」のような、水晶機巧と相性が良く、出しやすい高レベルS体も多いので、そこに繋げやすくなると、かなりデッキの選択肢が広がります。

効果無効を複数飛ばせる+リソース回収効果
ドロー効果&高いステがシンプルにありがたい

素材に水晶機巧チューナーを指定してもいいので、この辺りの新しいS体を追加してほしい。

③テーマ内妨害札

相手ターンSによるコントロールをコンセプトにしている割に、妨害札がほとんど皆無な【水晶機巧】。
魔法罠でも、②に書いたように妨害持ちの新たなSモンスターでも良いですが、無難な妨害札をせめて1枚くらい作ってほしい。

④テーマ内おろ埋

①で墓地効果による墓地肥やし効果を提案しましたが、普通に魔法カードでもいいからとにかく墓地肥やし手段をくれ。

⑤リクルート効果持ちリンク1

水晶機巧1体で作れるリンク1に、下級非チューナー共通の、セルフブレイク+チューナーリクルート効果があれば、召喚した下級非チューナーを墓地に送り墓地効果を使いつつ、チューナーを用意することが可能になります。すなわち、名称指定のいずれかターン1の縛りを抜けて、実質的に両方の効果を使えるようになるのです
こう考えるとリンク1ってマジで強いな。言っといてなんだけど、無闇にリンク1は増やさないでほしい。

⑥☆4チューナー

これに関しては正直そんなにいらないけど、強化来るとしたらこういうのやりそうって枠。

チューナーの共通効果は、現状手札・墓地・除外に対応してるので、新しく☆4チューナーが来たらデッキとSしそう。
そうなると、実質的に墓地肥やしにもなるし、高レベルSも簡単に出せるから、めちゃくちゃ強いと思うんだけど、他のチューナーたちの役割がかなり奪われて、「全部コイツで良くね?」になりそうだから嫌だ。辛うじて、墓地効果を使って除外された水晶機巧をデッキに戻せる「リオン」は役割残るかもだけど。
こんなのが作られたら、デッキ構築の面白みを奪うタイプの新規になりそう。

こんなところでどうでしょうか、KONAMIの担当者様
⑥以外の新規、お待ちしております。


⑸終わりに

ここまで【水晶機巧】というテーマについて、長所や短所や短所や短所など、長々と語ってきました。
インフレ期として名高い9期のテーマでありながら、これだけ課題の多いテーマも珍しいでしょう。使ってる人をほとんど見ないのも納得。

しかし、それでも僕は、このテーマが何よりもお気に入りです。

このテーマと出会ったのは、大学で本格的に遊戯王を嗜むようになってから、1年ほど経った頃でした。
当時の自分は、まだまだデッキを組むのに不慣れ(今も手慣れたとは思わないけど)で、ブラマジなどのキャラデッキをいくつか組んだもののなかなか上手く回らず、キチンとデッキとして機能していたのは、ストラクの3個合体デッキくらいが精々でした。

そんな中、Twitterで【水晶機巧】の情報が発表されました。相手ターンにS召喚してコントロールしていくコンセプトは、当時の自分には物珍しく、目新しく映り、「最新のテーマで自分のオリジナルなデッキを組みたい」という気持ちを、自分の中に灯してくれました。
パックの発売日、大学からの帰り道でカードショップに立ち寄り、【水晶機巧】のカードを買い漁り、デッキを組み上げた時のことは、昨日のことのように覚えています。

この記事で書いたように、課題が多いテーマではあったものの、当時のカジュアル環境用のデッキとしては割と塩梅が良く、唯一の遊戯王仲間だった友人と楽しくデュエルできるデッキが出来上がりました。
動きも安定しており、自分で1から組んだものでは初めての、キチンと「デッキ」と呼べる代物だった、どころか、かなり良い出来栄えだったんじゃないかと自負しています
というのも、このデッキはその後、10期・11期の2度のルール変更、多くの制限改定、遊戯王全体のインフレなどを経験し、少しずつ形を変えながらも、メインコンセプト・メインギミックはほぼ変わらないままで、2023年現在まで、僕の1番のお気に入りデッキであり続けているからです。テーマ登場から7年近く、ずっと使い続けられるデッキを組み上げた、あの日の自分を本当に褒めてあげたい。

このように【水晶機巧】というテーマは僕にとって、「自分の力で、オリジナルなデッキ構築をする楽しさ」「デッキを完成させる達成感」「そのデッキでデュエルする楽しさ」など、カードゲームの楽しさの多くを教えてくれたテーマであり、本格的に遊戯王を始めてから今まで、9期以降の激動の遊戯王を共に歩んできた、かけがえのない相棒でもあるのです。

何度も言うように、課題や不自由な点も多く、お世辞にも強いとは言えないテーマですが、だからこそ工夫のし甲斐があり、使い続けても飽きがこない、愛すべきカードに感じられます

白ひげもこんな気持ちだったんやろなぁ

そのうち、その水晶機巧デッキの紹介記事も書こうと思うので、そちらも読んでくれると嬉しいです。

この記事を読んでくれたあなたにも、きっと思い入れの深いテーマ、お気に入りのテーマがあるでしょう。その中のひとつに、水晶機巧が加わってくれれば、水晶機巧を使ってみようと思ってくれれば、これ以上の喜びはありません。

長くなりましたが、今回の記事はこの辺で。

何でもは知らないけれど、水晶機巧のことは誰よりも知っています。羽川翼でした。

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