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レイダリオの書籍(巨大債務を理解する)を参考に好景気から不況までの景気サイクルをまとめてみた。書籍1P~84P分  「上巻」

景気サイクルを知る方法として企業の情報や下記画像のようにサイクルを見極める方法もありますが今回は債務の観点からそれを読み解くという書籍の方針を元に話を進めていこうと思います。
 
かなり難しい書籍ではありますが補足や例を入れながらわかりやすく解説したいと思います。書籍は5000円と高額ではありますが株式投資をする上で必須知識が多いので余裕がある方は購入をお勧めします。



先ほど“債務”といいましたが債務は色々な意味に使われます。
例えば代金を支払う義務や借金を返済する義務などです。
 
もう一つ本書で重要視されているのが“信用”です。
 
信用とは与えられることでモノを買う能力を与えられることです。
 
クレジットカードを持っている人はわかると思うのですが審査に通るか?通らないかはその人の支払い能力により決まり、また支払い可能上限はその人の収入に応じて上限を上げることができ“信用”でなりたっています。
 
レイダリオはこの債務と信用の関係が大事でこれがうまくいけば、貸し手と借り手は両方とも利益を得られるがうまくいかない場合は資源がうまく配分出来ないと強調しています。
 
この信用と債務の関係が崩れると債務危機が起きます。
 
本noteの前半では債務危機についてまとめようと思います。理由としては株価の暴落、不況には債務危機が関係しているからです。
 
■債務危機からは逃げらない!!
 
結論からいうと債務危機から逃れた国は少数のみで基本的に債務危機が起きれば基本的には何か不都合な事が起きます。
 
なぜ債務危機を避けられないかというとレイダリオはこのように考えています。
 
“”債務のサイクルは人々の心理に影響しバブルの膨張と崩壊を招くか次第で、その融資は大体悪いものになりやすい。政局は策を講じるが迅速な成長を求める経済にとって貸し出し基準(銀行など)が甘くなるからだと言っています。
同時に支払い保証や金融緩和は緩い貸し出し基準を許し信用、引き締めよりも政治的にやりやすい。これが大規模な債務サイクルに陥る主な要因だ。“”
 
上記の文章はほぼそのまま抜粋しましたがようは世界の経済は好景気には銀行がお金を沢山貸して不況になれば、貸したお金が返済されず倒産したりします。そして経済が限界を迎えると政局は金融緩和や財政出動でお金をバラマキます。このようなサイクルがずっと続いていると言っています。
 
■債務危機はなぜサイクルで訪れるのか?
ここでは経済はなぜ、借金が返せず、不況になるのか?という説明をレイダリオがしてくれます。
 
上記の文章のように好景気、バブル、不況は必ず繰り返しやってきます。それはなぜやってくるのか?という疑問をモノポリーゲームを例に解決してくれます。


①モノポリーゲームの初期段階ではみんなが現金を持っている状態で不動産はありません。
ここでは不動産が王様なので現金を不動産に変える意味が生じます

②ゲーム中盤ではお金になる木を育てる為、どんどん不動産を買わなくて行けない為、買っていく。しかしサイコロを振りコマを動かすと出費や不動産の賃貸を払わなくては行けなくなる。

③後半では現金が必要になる。不動産が王様だったが今度は現金が王様になる。現金を取得する為には不動産を売らなくてはいけなくなる。
 
このモノポリーゲームでは不動産と現金をうまく組み合わせて保有すべきかを考える良いゲームです。これは実経済の一部を表しています。
 
では実際の経済とモノポリーゲームを組み合わせてみるとこんな感じになります。
 
①人は不動産を借りる為に銀行からお金を借りる事ができる。または現金を使わずに
預金することができる。預金者は利子を得る。預金は銀行が融資する財源になる。
 
②融資を受けた人は不動産の購入できるなど手持ちの何倍ものお金を手にすることができるが債務者になる。
 
③債務者は賃貸と借金の返済のお金が不足する。
 
④銀行からお金を引き出す者が多くなり銀行が困る。
 
⑤借金が返せない債務者が増えるので銀行が破綻する
 
⑥1~5の拡大と収縮のサイクルが繰り返されると大規模で長期的な債務危機の条件が整う。
 
レイダリオはそのサイクルが起きる原因として、銀行の貸し出しについても言及しています。
 
“”貸し出しは当然、自己増殖的に上向きに動き生み出し、最終的にはそれが反転し自己収縮的に下向きになる。上向きになっている状態だと消費と投資を促し、それらは所得と資産価格を支えになる。所得増加や資産価格の上昇はさらに借り入れとモノや金融資産への支出を支える。借り入れは本質的に、経済における一貫した生産向上を超える水準に支出と所得を引き上げる。上向きのサイクルのピーク近くでは貸し出しは平均以上の成長が無限に続くと期待される。しかし当然のことながらそれは起きることなく最終的には所得は融資のコストよりも低下する“”
 
結論をいうと債務者や貸し出しする人も利益を追求し毎回、同じ事を考えて行動している為、毎回同じように債務危機が起きるということです。
 
レイダリオは借金をして支出を増やす事は人の本性だと言っています。人は、支出を増やす事で所得や資産増やしそれによって借り手の支払い能力が増し、大きなリスクをとる生き物だと言っています。
一方、貸しても良い経営状態になり必要以上に満足を得られます。しかし返済資金や所得の伸びに債務が永遠に拡大していくことは不可能だといっています。
 
このサイクルは米国だけではなく、世界で起きており新興国ではインフラや設備投資をした後、数年はそれらに投資する必要がなくなるので債務危機に陥る場合もあります。
 
続いてバブルの崩壊についてはこのように語られています。
 
“”バブル経済の中では非現実的な期待から貸し出しが不良融資を限界まで到着し中央銀行、銀行により明確に意識されるとバブルの崩壊が始まる。バブルは典型的なサインでありその裏では債務の金額はどんどん積み重なっている。債務が積み重ねて行くとお金と信用の拡大が減少し同時に貸し出し基準が引き上がると信用と消費は減速し債務返済の問題が浮上してくる“”
 
とレイダリオは語っています。
例を挙げるならば、2021年に起きた中国の土地バブル崩壊によりエバーガーデンが倒産危機になった経緯を知っていればすぐよく理解できると思います。
 
また2024年現在では世界各国で起きている、商業用不動産問題などがいい例かもしれません。
 
このような債務危機に対して政府が取れる政策は以下になります。
 
①緊縮財政(支出を少なくすること)
意味:財政当局が支出の削減や増税などにより総需要を引き下げる政策のことを指す。
 
②債務不履行
意味:約束を果たさないことになります。例えば、お金を払ったが商品は発送されないなどです。
また債務不履行には3つのケースがあります。
・履行遅滞:債務の履行が遅れる場合
・不完全履行:債務の履行が不完全である場合
・履行不能:債務の履行ができない場合
 
 
③債務再編
意味:財政的に困難な状況にある企業や国が、支払い不能に陥ることを避けるために行う、債務の条件変更や構造改革のことを指します。これには債務の減額、返済期間の延長、利息率の変更、債務の通貨変更などが含まれます。債務再編は、単に借金を減らすだけでなく、経済的な持続可能性を取り戻すための総合的なプロセスです。
 
④中央銀行による紙幣印刷
⑤お金と信用をそれが余っている人から足りない人に富の移動をする。
 
政府は主に①~⑤についての政策を行います。効果については下記にまとめました。
①紙幣印刷:物価の上昇、景気刺激策
 
②緊縮財政、債務不履行:物価の下落に繋がり債務を軽減する
 
■債務危機を回避できなかった場合どうなるのか?
 
通常債務危機は借金の返済コストや所得の伸びより速いペースで拡大し起こる。
結果、デレバレッジ(反対売買しポジションを解消すること)が起きる。
 
政府は実質金利、名目金利を下げることで(利下げなど)
通常の債務危機を軽減することができるがそれが不可能になれば
債務危機や不況が起きると述べています。

 
 
今回は債務危機というものを理解する上では最適の文章だと個人的には思います。以上で「上巻」の内容を終了したいと思います。中巻、下巻では本題の債務から見た景気サイクルについて説明していこうと思います。
景気のピークにはどんなことが起きるのか?不況時にはどんな債務の危機が訪れるのかなど法則が気になった方は次回のnoteを楽しみにしていて下さい。
 
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