WWA制作インタビュー Vol.01『召喚されし時空の遺物』
はじめに
WWAクリエイターのアルクスです。
今回はWWA制作についてのインタビュー記事をやっていきます。
記念すべき第1回は、私がモンスター画像を提供したこちらの作品です。
風従陰氏へのインタビュー
では早速、インタビューの内容をまとめていきましょう。
この作品はいわゆる『合作』なのですが、今回は合作企画者である風従陰氏から話を伺いました。
クリエイターについて
アルクス:
というわけで、よろしくお願いします。
風従陰:
インタビューやるのはいいんですけど、敬語でやるんですか?
お互いの顔とか本名とか幼少期のこととか、色々知っている間柄ですが。
アルクス:
あまり馴れ馴れしいのは良くないので、敬語ベースでお願いします。
風従陰:
はいよ。とりあえずなんでもお聞きくださいな。
アルクス:
では早速……
風従陰って、独特な名前ですよね。由来とかあるんですか?
風従陰:
おいおい、あなたは由来を知っているはずですが……。
アルクス:
まあ、このインタビューはnoteの記事にしますからね。
丁寧にお願い致しますよ。
風従陰:
うーん、この名義を使い始めたのが15年以上前のことなので、結構曖昧な部分も多いのですが。
学校帰りとか入浴中とか、そういう何気ない時間にふと『ふうじゅういん』という名義が浮かんだのがきっかけでしたね。かっこいい系の名字である『○○院』的なノリ。
そこから、ふう・じゅう・いんに分けて漢字を割り振りました。
アルクス:
なるほど。しかし、『院』ではなく『陰』なんですね?
風従陰:
はい。文字のバランスの好みで考えた結果、『風従院』ではなく『風従陰』というちょっと歪な名前になりました。当時、『陰陽師』という概念を気に入っていた影響もあったと思います。
今この名前をつけていたとすれば、素直に『院』にしていたと思います。『陰』だと字面的に陰キャ呼ばわりされていたかもしれないので……(笑)
アルクス:
WWAを作ったのは今回が初めてでしたか?
風従陰:
いえ、Javaの時代から何度か作品を作ったことがありました。
とは言いつつも殆どは超大作を目指して即挫折した死骸の山みたいなものでしたが……。
15年くらい前ですかね?『WWA Engine』というサイトがあった時代に、geocitiesでサイトを作って『バトルフィールド』という避けゲーをリンクしてもらったことがありました。確か、『ぼらいーたー』とかいう意味不明な名義だった気がします。
『剣士(バランス)』『騎士(防御型)』『魔道士(攻撃型)』の3択で主人公を選べて、選んだ主人公によって倒しやすい敵・倒しにくい敵が変化するという3すくみを意識した作品でしたね。
アルクス:
なるほど、その作品は遊んだことがないかもしれませんね。
風従陰:
本当は2や3の制作予定もあって、トラップの岩を斧で破壊できる『戦士』、道中で回復できる『僧侶』などの新キャラクターが登場する予定でした。
なんだかんだで当時ハマっていた別ゲーを遊んでばかりで、作ることはありませんでしたが……。
アルクス:
WWA Wingに入ってからだと、今回の作品が初の作品だった感じですか?
風従陰:
このインタビューでは作品名を出してほしくないのですが、何作品か作ってはいましたね。なので、今回の作品もWWA Script機能を活用した作品になっているというわけです。
合作企画の経緯&クリエイターについて (2)
アルクス:
ところで、どうして合作で作品を作ろうと企画されたのですか?
風従陰:
本当は私一人で作品を作ろうとしていて、『Undo/Redo(戻る/進む)』を取り入れたダンジョンを作るつもりだったんです。
ただ、リアル側の事情などで作品制作に割ける時間がどうしても少なくなってしまって考えました。『誰かに作ってもらおう!』と。
アルクス:
それで、マムミラー氏と合作を企画されたのですね。
ただ失礼ながら、ダンジョンWWAであれば別にどなたでもいいような気はしますが……何故マムミラー氏だったのでしょうか?
風従陰:
今回の作品、『サモンユニット同好会』名義で公開しておりますが、その名のとおり『サモンユニット』というFlashゲームが昔あって、私とマムミラー氏はそのゲームの攻略wikiを管理していたんですよ。そこの接点を、合作に繋げたという感じですね。
アルクス:
サモンユニットの攻略wikiは、お二人で共同管理されていた感じで?
風従陰:
いいえ。お互い別々のwikiを立ち上げていて、同じゲームの攻略wikiが無駄に2つあるような状態でした。ただ、当時調べた記憶だと私のwikiが後発だったと思います。私側については関連サイトの一覧を見るまで、マムミラー氏のwikiを認知していなかった感じです。
アルクス:
なるほど……マムミラー氏はそれからの長い付き合いって感じですかね。
風従陰:
うーん、サモンユニットのwikiを作ったのが2008年だったのですが、マムミラー氏と知り合ったのはもっと前ですね。2005年くらいには某WWAサイトの掲示板で接触していたはず。サモンユニット周りが落ち着いた2010年代については互いに生死すら把握していないほど疎遠になりました。WWA界で再会したのは、2020年代になってからですね。
アルクス:
なるほど……マムミラー氏もWWA界隈で活動されている方だったのですね。
ちなみに、再会した時はマムミラー氏から何か言われたりしましたか?
風従陰:
いえ、お互い名義を変えていたので互いの正体を認識していなかったはず。
なんならこちらから合作企画をもちかけた際にも、サモンユニットのことや風従陰名義のことなどについては公開直前まで黙っていました(笑)
合作企画後、思わぬ事態
アルクス:
マムミラー氏がダンジョンを作って、風従陰氏側で戻る/進むなどのスクリプト部分を対応されたって感じですかね?
風従陰:
当初はそういう想定でした。
企画時の依頼内容としては
複数画面で構成し、マップサイズが四角形(5×5や2×6)でまとまっていること。(戻る/進むを実装するにあたり、マップの座標がまとまっていないと面倒な為)
ランダム性なし、同じ操作をすれば同じ結果になるダンジョンもの。
アイテムボックスの10-12は空けておくこと。(戻る進むの格納)
といった具合でしたが……
アルクス:
が……?
風従陰:
約10日くらいでマムミラー氏からデータの一式が届きました。
当時のタイトルは『未来の遺産』、夢の合作になるようにという意味合いでの命名だったそうです。
で、せっかくなのでゲーム画面も添えておきましょうか。
アルクス:
面影はありますが、結構変わりました?
画像を変えただけかと思ったら、パーツの配置も色々変わっている気がします。
風従陰:
はい。結構な規模のマップアレンジをする羽目になりました。
『これでは勝てない』という一言に尽きました。
いや、別に優勝を狙っていたとかではないのですが……。
アルクス:
『これでは勝てない』について詳しくお伺いしても?
風従陰:
まずはスタート地点の戦闘予測を見ていただきましょうか。
先に、時空の遺物のほうを貼ってみてください。
アルクス:
強くなってから戻ってこないといけないって感じですかね。
それくらいであれば、別に良いのでは?
今作の場合、霜月さん方式(HPが0になってもゲームオーバーにならない)が採用されていたようですし誤接触についても別に問題ないような。
風従陰:
それだけであればいいんですけどね、箇条書きしましょうか。
問題点は色々とあって……
モンスターが1画面に9体以上配置されている箇所が複数。
5×5マップから座標かなり離れた場所に2×6サイズのマップがある。(例として挙げた『四角形』を両方用意してしまっている)
階層やステージといった概念がほぼ無く、あっち行ったりこっち行ったりのマラソン要素が強い。
モンスターの強さのインフレが凄まじい。
同じモンスターの色変えパターンがかなり多く、法則性(例:赤が最弱で紫が最強)もないのでプレイヤー側に負担がかかっている。
同じ敵が何体も連なる配置の頻発(→戻る/進むが絡む時にめっちゃ押す必要がある)
アイテムが大量に配置されている配置の頻発(→戻る/進むが絡む時にめっちゃ押す必要がある)
マムミラー氏側でクリアを保証していない。最初の武器を回収することすら不可能なレベル。
そもそもラスボスやスコア表示が存在しない。(クリアの定義がない)
みたいな感じですね。
アルクス:
8と9は致命的ですね。
風従陰:
はい、マムミラー氏に確認すると「構成いじくりまわしちゃってください」とのことでしたので、私の方でもダンジョン部分を作る羽目になりました。
ただ、何もかも作り変えてしまうと『合作』要素のない、単なる個人作になるので、極力はマムミラー氏の作った土台を元に改造する方向性で対応しました。
例えば、赤ジュエル&青ジュエルでの能力上昇値についてはマムミラー氏が設定した値をそのまま活用していますね。
思わぬ事態からの脱出
アルクス:
色々と問題点があったと思いますが、それぞれどのように対応された感じですか?
風従陰:
では、ひとつずつ解説しましょうか。
>モンスターが1画面に9体以上配置されている箇所が複数。
風従陰:
これの対応はだいぶシンプルです。8種までの配置にしました。
>5×5マップから座標かなり離れた場所に2×6サイズのマップがある。
風従陰:
これについては、2×6マップのほうを潔く破壊しました。
>階層やステージといった概念がほぼ無く、あっち行ったりこっち行ったりのマラソン要素が強い。
風従陰:
1つの画面が3方向以上につながっているという部分が多かったのですが、改造後は6画面×4ステージ制という作りにしたので複雑なマップ構造を解消させました。
>モンスターの強さのインフレが凄まじい。
風従陰:
一部の敵についてはほんのりと弱体化させたり、そもそも全く登場させないという選択を行ったりしました。(遊び方や難易度にもよりますが)完成版だとおおよそ攻撃力350前後になるかと思いますが、登場させなかった敵については防御力300、400、500、550、777、800、1100……とオークションのように高防御の敵が並び、一番硬い敵は防御力3000でした。
>モンスターの色変えパターンが多く、法則性(例:赤が最弱で紫が最強)もないのでプレイヤー側に負担がかかっている。
風従陰:
may-Bさんのモンスター素材はほぼフル動員している状態(人間キャラのモンスターもいるレベル)だったので、モンスターについてはデフォルト軸に切り替えました。また、サモンユニットにちょっとだけ寄せたモンスターも登場させています。
アルクス:
「登場させています」と言いますが、大半は私が注文を受けて用意したものですけどね。
>同じ敵が何体も連なる配置の頻発(→戻る/進むが絡む時にめっちゃ押す必要がある)
風従陰:
一部を除いて大量削除し、少し強い敵を置いたり、敵の先にあるアイテムを弱体化させたりしました。ダンジョンでちょっとスカスカな部分があるのはその名残だったりします。
>アイテムが大量に配置されている配置の頻発(→戻る/進むが絡む時にめっちゃ押す必要がある)
風従陰:
ポーションと能力強化をくっつけたり、鍵と能力強化をくっつけたり、複数まとめて手に入る鍵を用意したり……とにかく纏められる部分を纏めました。ダンジョンでちょっとスカスカな部分があるのは(以下同文)
>マムミラー氏側でクリアを保証していない。最初の武器を回収することすら不可能なレベル。
風従陰:
ダンジョン系がそこまで得意でない自分でも、クリアを保証できるように。ちなみに、マムミラー氏にもテストプレイを依頼しました。第3ステージのボスは当初は耐久が半分くらいだったのですが、テストプレイの意見をもとに倍近くまで上げた経緯があったりします。
>そもそもラスボスやスコア表示が存在しない。
風従陰:
ラスボスとスコア表示を導入しました。
アルクス:
特に対応が大変だった部分はどこですか?
風従陰:
間違いなくダンジョン部分の作り込みですね。
結局新規でダンジョンを作るような感じになりましたが、単にダンジョンを作り直しすぎてしまうと、それはそれで『合作』ではなくなるという問題を抱えていたのです。
そのため、マップの主な形状は残し、モンスターのステータスについても可能な限りはマムミラー氏のデザインを残す。といった風に配慮した上でダンジョンを作る必要がありました。
ゲーム全体の難易度も重要な部分です。今作のウリとなるのが『Undo/Redo』機能でしたが、難易度がヌルいとそれが腐り有象無象のダンジョンWWAになってしまうという問題を抱えておりました。
なので、難易度は高めになるようにデザインしないといけない。
バランス調整は本当に大変でした。結果的に序盤は鍵に余裕がなく、初見で高難易度だと結構大変だったかと思います。
マップやモンスターの強さについてはマムミラー氏の土台がありましたが、このバランス部分についてはこちらでほぼ全て担当しておりました。
ダンジョンのこだわり
アルクス:
対応の中でダンジョンの4ステージ化がございましたが、各ステージでこだわった部分なんかもあったりする感じでしょうか?
風従陰:
今作はサモンユニットの攻略wikiの管理人×2での合作というわけで、そちらに雰囲気を寄せた作りを意識しました。
最初のステージはゴブリンたちがワイワイする森。
次に、白虎や狼などがうろうろしている草原。
更に、人魚たちが出現する海。
最後に魔界……と思わせて、ここだけごちゃまぜ空間です。
アルクス:
なるほど、ステージによって背景パーツをガラっと変えていたのは元ネタを意識した作り故のものだった感じなんですね。
風従陰:
まあ、内容的には割とオーソドックスなダンジョンですけどね。
同日に公開されたダンジョンWWA『箱庭迷宮エクゼリオ』さんのように、ステージごとに独自のギミックを入れていればもっと深みが出ていたかも。
アルクス:
オーソドックスとは言いつつも、ダンジョン内に『滑る床』があるのは少数派かなと思いました。あれはマムミラー氏のアイデアですか?
風従陰:
いえ、土台となった『未来の遺産』には含まれておらず、こちら側で勝手に追加導入した部分となりますね。一応、マムミラー氏個人の作品だと滑る床のある作品に憶えがあったりはしますが。
普通のダンジョンWWAだと、行くつもりのなかった変な場所まで移動してしまい泣く泣くロード……なんてことにもなってしまう懸念がありましたが、今作の場合は簡単に『戻る』ことができるので、ちょっと入れてみようと思いました。何より、元がかなりオーソドックスな内容だったので。
アルクス:
なるほど。
風従陰:
ちなみに、操作履歴についてはアイテムを取ったり扉を開けたり敵を倒したりするたびに更新されます。なので、まとめられる部分はまとめるよう意識しましたね。
能力強化が内蔵された回復薬
能力強化が内蔵された鍵
鍵の複数本セット
あたりは分かりやすい対応例だったかと思います。
アルクス:
青ジュエルが2個からなのも、そういう対応の一環だった感じですか?
風従陰:
うーん、なんのことですか……?
アルクス:
システム紹介のところのこれです。
赤ジュエルは1個だけのやつがありますが、青ジュエルは無いんです。
風従陰:
あー、それですか……実は事故なんですよ。
最初は1個だけの青ジュエルもマップ上に配置していたんです。
アルクス:
ほうほう。
風従陰:
ただ、私やマムミラー氏のゲームバランスチェックが終わった後、気づいてしまったことがあり、青ジュエル×1でも防御力が2上がっていたんです。
『もうすぐ公開だ!』というところで、最初から遊び直すのは面倒ですし、マムミラー氏に再度確認してもらう負担もありましたからね。
そこで、青ジュエル×1を置いていたところは青ジュエル×2に変えました。
アルクス:
アハハハ……。
素材について
アルクス:
今作の制作にあたり、私の方でもリクエストに応じて幾つか画像素材を新規提供しましたが、画像面でこだわった部分とかございますか?
アイテムボックスの色分けなんかはだいぶ珍しい形だと思いますが……
風従陰:
その色使いは『サモンユニット』が元ネタですね。
画面の上のほうで緑、左で赤、右で青といった色使いを行っているデザインになっておりました。
最終面のネタバレになりますが、赤と青のマスが3×3で並んでいる部分なんかはモロにサモンユニット由来です。
アルクス:
BGMについては『KeNji Hyper Special』と、これまた懐かしいサイトを使われましたね。
風従陰:
2000年代に、『KeNji Hyper Special』様のMIDIが流れていたとあるサイトでマムミラー氏とは会話したことがあり、丁度いいなと思い起用しました。
もっとも、『サモンユニット』が出た時期はもう『ニコニコ動画』などの動画サイトが既に栄えていた時代で音楽素材もMIDIは落ち目でしたが……。
アルクス:
『KeNji Hyper Special』さんは何度かサイト名を変えて、今もなお音楽素材は配布されていますが、MIDI素材についてはもう配布されていないはず。
昔に保存したMIDI素材を温存してらっしゃった感じですか?
風従陰:
いえ、Webアーカイブでかろうじて残っていた楽曲を利用させていただいております。流石に全曲は残っていなかったりしますが、結構色々なWWAでBGMが使われていたサイトなので何気ないアーカイブの存在に救われることも……。
戻る/進むについて
アルクス:
このゲームの最大の特徴といえば、やはりUndo/Redo機能ですかね。
風従陰:
ですかね。マムミラー氏との共同制作であるダンジョン部分をオマケなどと安っぽい言葉で言い表す気は毛頭ないですが、この機能については他のWWAには今まで存在しなかったものと見て間違いないでしょう。
アルクス:
WWA史上で初の試みということで、これを作る時に苦労されたこととか、何かありました?
風従陰:
うーん。
私が長年同じパソコンを使い続けているというのもあるかとは思いますが、とにかくこの機能はブラウザにめっちゃ負担を与えます。
アルクス:
めっちゃというと、どれほどのもので?
風従陰:
Chromeで確認すると膨大なメモリを使っていたのです。
なんなら、プレイを続けると途中でブラウザが力尽きたことも(笑)
アルクス:
Chromeがメモリを無駄に食うだけなのかもしれませんが、それにしてもWWAらしからぬメモリ使用量……!
風従陰:
まあ、このWWA自体結構重いと思いますよ?
パスワードセーブを取られた方なら分かると思うのですが、クリアデータであれば4MB弱もあります。DATファイル自体は40KBもないはずなのに。
原因はもちろん、Undo/Redoの履歴を大量に握る部分にあります。
戻る/進むについて (2)
アルクス:
そういえばこのゲームの最大の個性と思われる『Undo/Redo』機能ですが、どういった経緯でこれを入れたWWAを作ろうと思われた感じでしょうか?
風従陰:
単純にWWA Scriptが生まれたからこそできるような仕組みを導入してみたいと思った部分が大きいのですが、そういったことをするのであれば、なんか業務用のシステムとかでも使いそうなネタを取り入れてみようかなーと。
アルクス:
むむむ、急にお仕事関係の話が……
なぜ業務関係のネタを意識された感じでしょうか?
風従陰:
WWA Wingチームの方々やアルクス氏のようなIT業界で仕事をされている方であればご理解いただけるかもしれませんが、どれだけハイレベルなWWAを作っても、それを技術者の経歴としてアピールすることは厳しいです。
社会的に見ると、ゲーム作りは遊びの範疇を中々出ませんからね。
であれば、少しでも実用的なロジックを考えたりしたほうがいいかなーと考えた次第です。
アルクス:
わかります。自作品の『Eden』や『いつか見た虹』についても、仕事の深夜残業とか休日出勤とかするノリで数十時間、数百時間と使って作成しておりましたが、仕事を探す上では何の役にも立たないんですよね。
風従陰:
まあ、そういった部分で役に立たないお遊びだからこそ楽しく作れる部分はあると思います。仕事のためにWWAを作る就活生の集団とか、スクールの受講生にWWA制作をやらせるプログラミングスクールがある世界とかがあったら嫌気が差していたかも。
アルクス:
それはちょっと怖いもの見たさで見てみたい気もします。
まあ、WWA関係を強引に仕事関係に繋げるなら『WWA Wing』本体の開発であったり、『WWA Message Loader』のような感じのWWA Wing用ツールの制作に携わるといいかもしれません。
風従陰:
アルクス氏はそういったものは作らないんですか?
なんかずっとWWA作品の制作ばかりされている気がしますけど。
アルクス:
あまり予定はないですね。今の『WWA Wing』って2000年代だと到底できなかったことが色々とできるようになっているツールです。ただ、あの時代に比べるとクリエイターの数がどうしても減ってしまっているのでWWA Scriptやらピクチャ機能やら、使いこなせる人は作品制作に回るべきかなーと。
あと、単純にちょっと畑違いなんですね。例えるなら、ファミレスの店員が回らない店のお寿司を握るような感じのハードル。
風従陰:
確かに、WWA Scriptってプログラミング的な部分がどうしても強いので人によっては中々馴染まないですよね。今後はもっと色々とハードルが低くなる工夫が我々のほうでもできればいいのですが。
反省点について
アルクス:
今回合作でWWAを作られて色々と思うところがあるかと思いますが、これもっとこうしたかったな。とかあったりしましたか?
風従陰:
うーむ……
マムミラー氏から届いた『未来の遺産』がWWAとして完成していない云々の話はしましたが、もう少し指示出しを細かくしておけばよかった。(多分、指示が細ければちゃんとクリア保証されている作品が届いた)
もう少し凝ったシナリオを用意しておけばよかった。これについては、『召喚されし時空の遺物』を投稿した後でレイルさんのダンジョン作品『箱庭迷宮エクゼリオ』をプレイしてから感じた部分ですね。
最高難易度『ケルベロス』が『オルトロス』とあまり大きく変わらないのでもう少し難しくしたかった。こればかりはクリエイター自身が攻略の腕を上げるしかないですね。
ピクチャ機能を使わずに完成させてしまったので、何かしら使えば良かった。所持している鍵の数とか。
辺りですかね。
あとは、時間さえ許せばもっと色々な発想をダンジョンに取り入れることができたのかな?と思います。
今後のゲーム作りについて
アルクス:
今後はどんなWWAを作りたいとか、あったりしますか?
今回はダンジョン物でしたけど。
風従陰:
数年前から考えているのは、育成系のWWAですかね。
既存のゲームだと何に近いかな……とりあえず育成系。
アルクス:
ほうほう。『サモンユニット』だとユニット(モンスター)のレベルを上げてから研究して、新しいユニットを召喚できるようになったりしましたが、そういう感じのノリですか?
風従陰:
いえ、今後の作品につきましては『サモンユニット』とは切り離した作風でアプローチしていく予定です。今回の作品で『風従陰』の名を出したのも、かつて同じ界隈で活動していたマムミラー氏との合作だったからですし。
なんなら、風従陰名義は使わずに作品を出すんじゃないですかね。
アルクス:
あらあら。
では、どういう感じの育成ゲームにされるご予定で?
風従陰:
詳細はインタビュー外で話しましょう。
まあ、育成ゲームといっても色々ありますからね。概要の話だけであれば、パクラレも気にしなくて大丈夫です。
アルクス:
わかりました。
しかし、別名義で作品を出したところで「これの作者は風従陰だな!」と気づいてもらえますかね?
風従陰:
どうせまた、画像の作成をお願いしたらデフォルトのおじいさんを改造したグラフィックをあなたから渡されるはずなので、それがヒントになるのかと思います。
風従陰:
ここまで話した内容をそのままnoteの記事にしたら9000文字くらい超えていそうなので、そろそろ終わりにしませんか? このインタビュー記事。
アルクス:
まだまだです。
さあ……Q&Aコーナーの時間だ!
風従陰:
(今までの会話も割とQ&Aでは?)
Q&Aコーナー
Q.
マムミラー氏もWWA界隈の方とのことでしたが、よくWWAを作られていた感じの方ですか?
A.
作られていたというか、別名義でコンテスト出場もされていますね。
10年以上前に放置されていますが、彼のTwitterアカウント置いときます。
Q.
マムミラー氏が『未来の遺産』というタイトルを考えられていたとのことですが、なぜそのタイトルを使わなかったんですか?
A.
似たようなタイトルのものに憶えがあったため。
おそらく某ハヤブサ(氷)が強い作品。
ちなみにこのタイトルは『夢の合作になるように』という由来で付けられた仮名だった模様。
どうせなら他に紛れにくい名前のほうが良いと思いません?
Q.
『召喚されし時空の遺物』というタイトルにした理由は?
A.
召喚されし:サモンユニット要素(Summon = 召喚)
時空:Undo/Redo要素
遺物:『未来への遺産』要素
ちなみにマムミラー氏から受け取ったファイルは『未来の遺産.dat』でしたが、私自身がファイル名については英数字派なのでコピーしたファイルを『regacy.dat』として改造していました。regacyを日本語に再翻訳したので遺産が遺物になっても問題ないという理屈です。
Q.
スペシャルサンクスのところに『破滅将軍カルネージ』という名前があったのですが、何をした人なんですか?
A.
私とマムミラー氏の双方と接点のあった人物です。
散々名前を出している『サモンユニット』ですが、このゲームは『シフトアップネット』というサイトに設置されていたFlashゲームで、かつてそちらのサイト内にmixi風のSNSがあったんです。(3年もなかったと思いますが)
そちらのSNSで活動していたユーザーの一人ですね。
ちなみに、ゴルバチョフ氏(『World Wide Adventure 画像素材』にて素材を遺されている方)もかつてこのSNSで活動されていました。
Q.
マムミラー氏と再び合作をする予定は?
A.
ありません。あちらが個人名義で作品を一切エントリーしないくらいの気概で臨まれるのであればやるかもしれませんが。
コンテスト意識の合作にはリスクもあって、応募期限に制作が間に合わなかったら……という部分があるので。
Q.
WWA Discordコミュニティには参加されていますか?
A.
風従陰名義では参加していませんが、コミュニティにはいます。
Q.
このインタビュー記事をご覧になる方々宛に、何か一言お願いします。
A.
この記事の文字数って10000文字くらい超えたんじゃないですかね?
長々とお読み頂き、ありがとうございました!
おわりに
というわけで、今回はWWAコンテストのエントリー作品『召喚されし時空の遺物』作者・風従陰氏へのインタビュー記事をお送りいたしました。
風従陰氏の次回作にご期待ください!!
というわけで自作自演インタビュー記事でした……😇
今回はセルフインタビューでしたが、そのうち他作者様のWWAについてもインタビュー記事を不定期で掲載していこうと考えております。