『ウディコン』準拠でWWAを評価する
はじめに
WWAクリエイターのアルクスです。
『WWA Wing』というゲームエンジンの作品ばかり触っている身なので他エンジンの方々の作品についてはあまり触れていないのですが、今回はWWAと他エンジンである『WOLF RPGエディター』で開催されているコンテスト『ウディコン』の要素と絡めていく記事です。
『WWAコンテスト』と『ウディコン』の評価方式
WWAコンテスト(~2023年)
全エントリー作品の中から1位=3pt、2位=2pt、3位=1ptの作品を1作品ずつ選択する。(※2位と3位は任意)
集まったポイントを合算し、順位を出すだけのシンプル方式!
WWAコンテスト(2024年~)
全エントリー作品を、合計nポイント(作品総数の2/3を端数切上)以下になるように好きな数選び、投票する。ただし、それぞれの作品に入れるポイントは0~3の範囲内に収まっていること。
集まったポイントを合算し、順位を出すだけのシンプル方式!
ウディコン(第4回以降、今年は第16回)
※部門別の概念もあるのですが、今回は『総合グランプリ』に絞ってます。
エントリーされている4作品以上を対象に作品評価を行う。(全作品やってもOK)
各投票者は、作品を『熱中度』『斬新さ』『物語性』『画像/音声』『遊びやすさ』の5部門をそれぞれ1~10点で評価。その後、5要素だけで評価できない要素があれば『その他』部門で加点。
各投票者は、前述した5部門それぞれの『重視度』を選択する。
【各部門の合計得点】 × 【各投票者が投票時に選んだ『重視度』の平均%】を6部門すべて合算して順位付け!
前置きが長くなりましたが、今回は『ウディコン』の評価要領でWWA作品の評価を行ってみよう!という生意気な記事です。
~ウディタ作品紹介コーナー~
筆者とは平成2X年代からの知人であるわたえもん氏の作品です。
WWAとは毛色がかなり異なる作品ですが、雰囲気も良くて楽しめました。
WWAを評価してみよう
今アツいのは間違いなく年に1回の大祭典、WWA界のウディコンと言っても過言ではない『WWA Contest 2024』です。
個人的の主観に沿って評価してみましょう。
エントリーNo.1 ONE PARTS(※筆者作品)
熱中度:【3】★★ 楽しめる部分も多少はあった
斬新さ:【8】★★★★ なかなか見ない新しさだと思う
物語性:【2】★ 物語性や雰囲気をほぼ排除した造りだ
画/音:【2】★ 素材への努力はしているが良い印象を持てない
快適性:【4】★★ 理不尽・難解な部分が多いが、慣れた
その他:【+4】★★ 上記で説明できない魅力がある ※要コメント説明
★合計:12
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一発芸作品なのでまあ、こんなものでしょう。
エントリーNo2 ステルス・アンサツ・ミニゲーム
熱中度:【9】★★★★★ ほとんど熱中して遊んでいた
斬新さ:【4】★★ 個性やひとひねりを加えていると感じる
物語性:【4】★★ 多少の物語性/雰囲気を感じられる
画/音:【6】★★★ 素材の統一感も新鮮さも程々で、安心できる
快適性:【6】★★★ ほんの少し遊びにくい点もあるが許容範囲だ
その他:【+2】★ 上記の他にとても良い点がある ※要コメント説明
★合計:16
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この手のステルス系WWAは殺風景なものが多いのですが、マップの造形が良かったのと自作グラフィックの取り込みが評価要素。
エントリーNo3 フェアリーケーブマクロ
熱中度:【7】★★★★ 7割くらいは熱中して遊べた
斬新さ:【3】★★ 少しは他と違う部分もある
物語性:【1】★ 物語性も特有の雰囲気も全く感じられない
画/音:【2】★ 素材への努力はしているが良い印象を持てない
快適性:【6】★★★ ほんの少し遊びにくい点もあるが許容範囲だ
その他:【+0】上記の内容で、十分に評価できている
★合計:11
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複数のボスがいるというのは、1画面ダンジョンとしては珍しいポイント。
エントリーNo4 じゃがいも農業組合 凍える大地
熱中度:【8】★★★★ 8割ほど、熱中して遊ぶことができた
斬新さ:【6】★★★ 十分な個性と目新しさがあった
物語性:【4】★★ 多少の物語性/雰囲気を感じられる
画/音:【7】★★★★ 素材は目新しく、使い方も全く不満がない
快適性:【8】★★★★ プレイヤーへの配慮が多く感じられた
その他:【+4】★★ 上記で説明できない魅力がある ※要コメント説明
★合計:19
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自作画像、やりこみ要素(実績)、じゃがいもの選択肢によって周回を楽しめるゲーム性などを高く評価。
エントリーNo5 嗚呼、弟よ
熱中度:【8】★★★★ 8割ほど、熱中して遊ぶことができた
斬新さ:【6】★★★ 十分な個性と目新しさがあった
物語性:【5】★★★ ほどほどの物語性を感じる
画/音:【5】★★★ 素材への新鮮さや統一感を多少は感じられる
快適性:【5】★★★ 遊びにくい点は結構あるが気にはならない
その他:【+2】★ 上記の他にとても良い点がある ※要コメント説明
★合計:18
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ストーリー性のあるダンジョンもの。自作グラフィックを盛り込んでいる点、ちょっとジメジメした感じの世界観を個人的に評価。
エントリーNo6 レベルアップダンジョン2
熱中度:【8】★★★★ 8割ほど、熱中して遊ぶことができた
斬新さ:【7】★★★★ 自分にとって非常に新鮮だった
物語性:【1】★ 物語性も特有の雰囲気も全く感じられない
画/音:【3】★★ 素材に対してしっくり感じない点がある
快適性:【8】★★★★ プレイヤーへの配慮が多く感じられた
その他:【+2】★ 上記の他にとても良い点がある ※要コメント説明
★合計:16
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防具を強化することで防御力が上昇するゲームは数あれど、HPも増えるWWAという点は中々斬新。というかローグライク系でないダンジョンものでレベルアップがある点自体が斬新ですね。
画像部分の評価が辛口ですが、モンスターの画像はデフォルト系で統一したほうが良かったかな~と個人的には。
エントリーNo7 海の都のランダムラビリンス
熱中度:【6】★★★ 6割くらいは熱中して遊んでいた
斬新さ:【2】★ 既存のものとまったく同じではない
物語性:【3】★★ 物語や雰囲気づくりへの努力は感じられる
画/音:【5】★★★ 素材への新鮮さや統一感を多少は感じられる
快適性:【4】★★ 理不尽・難解な部分が多いが、慣れた
その他:【+0】上記の内容で、十分に評価できている
★合計:11
コメント:
同氏の作品にはよくあるランダムダンジョンものですが、比較的遊びやすい部類だったとは思います。バグと見せかけた仕様あり。
エントリーNo8 デスゲーム・クリエイティブ・エンターテインメント
熱中度:【8】★★★★ 8割ほど、熱中して遊ぶことができた
斬新さ:【10】★★★★★ こんなゲーム今まで一度も見たことない
物語性:【5】★★★ ほどほどの物語性を感じる
画/音:【7】★★★★ 素材は目新しく、使い方も全く不満がない
快適性:【5】★★★ 遊びにくい点は結構あるが気にはならない
その他:【+6】★★★ 上記で説明できない魅力が多すぎる ※要コメント説明
★合計:22
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WWAに限らず、他のゲームエンジンでも中々無いのではないかという路線のシミュレーションゲーム。ピクチャ機能を生かした演出が色々と取り込まれており、囚人の一覧情報出すところなんかは凄いなーと思いました。
筆者作品『バトルファイター?』からよくこんな作品が閃いたもので……。
エントリーNo9 スーパーマサト
熱中度:【6】★★★ 6割くらいは熱中して遊んでいた
斬新さ:【9】★★★★★ 記憶の中でもほとんど見ないゲームだ
物語性:【2】★ 物語性や雰囲気をほぼ排除した造りだ
画/音:【5】★★★ 素材への新鮮さや統一感を多少は感じられる
快適性:【2】★ 慣れないこともないが厳しい理不尽さ/難解さだ
その他:【+7】★★★★ 上記では良さをほぼ評価できてない ※要コメント説明
★合計:17
コメント:
アクションゲームとしては操作性の悪さなどからクソゲー判定を押されそうな作りですが、WWAでスーパー正男の再現を行っているという点においてとても低評価などできない……そんな作品です。お前はハンバーガー。
~ウディタ作品紹介コーナー~
エントリー番号【61】『やけくそ料理人と不良債権』
筆者の友人がドハマリしていた作品のひとつ。
『デッキ構築型お料理ローグライト』という独自のジャンルで総合順位2位を獲得した大作です。
エントリーNo10 骸伝:いつか見た虹(※筆者作品)
熱中度:【9】★★★★★ ほとんど熱中して遊んでいた
斬新さ:【9】★★★★★ 記憶の中でもほとんど見ないゲームだ
物語性:【7】★★★★ しっかりとした物語性を生み出せている
画/音:【9】★★★★★ 非常に優れた素材と使われ方だ
快適性:【7】★★★★ かすかに不満があるが、十分適切だと思う
その他:【+6】★★★ 上記で説明できない魅力が多すぎる ※要コメント説明
★合計:26
コメント:
熱中度~快適性についてはこちらで実施した『プレイヤーアンケート』で頂いた回答の中央値をもとに。とはいえ、こちらのような辛口気味の評価をされていた方は少ないと思われるので参考値は参考値でございます。
エントリーNo11 謎めいた機械を追い求めて 闇組織の争奪
熱中度:【6】★★★ 6割くらいは熱中して遊んでいた
斬新さ:【6】★★★ 十分な個性と目新しさがあった
物語性:【8】★★★★ 他と比べてもハイレベルな物語性を感じる
画/音:【10】★★★★★ 間違いなく最高の素材と使われ方だ
快適性:【8】★★★★ プレイヤーへの配慮が多く感じられた
その他:【+7】★★★★ 上記では良さをほぼ評価できてない ※要コメント説明
★合計:23
コメント:
ピクチャ機能をWWA Wingに導入したAokashiさんの作品なだけあり、その使いこなし具合は圧倒的なバケモン。背景パーツの配置などもハイレベル。
エントリーNo12 箱庭迷宮エクゼリオ
熱中度:【9】★★★★★ ほとんど熱中して遊んでいた
斬新さ:【6】★★★ 十分な個性と目新しさがあった
物語性:【6】★★★ 十分以上の物語性を生み出せている
画/音:【6】★★★ 素材の統一感も新鮮さも程々で、安心できる
快適性:【8】★★★★ プレイヤーへの配慮が多く感じられた
その他:【+3】★★ 上記の他に極めて良い点がある ※要コメント説明
★合計:20
コメント:
様々なギミックを楽しめる、完成度の高いダンジョン系WWA。
解説などもしっかりとしており、WWA慣れしていない人でも遊びやすい作品だと思いました。そして何よりも、ゲームバランスが絶妙……!
エントリーNo13 召喚されし時空の遺物
熱中度:【7】★★★★ 7割くらいは熱中して遊べた
斬新さ:【6】★★★ 十分な個性と目新しさがあった
物語性:【2】★ 物語性や雰囲気をほぼ排除した造りだ
画/音:【5】★★★ 素材への新鮮さや統一感を多少は感じられる
快適性:【7】★★★★ かすかに不満があるが、十分適切だと思う
その他:【+4】★★ 上記で説明できない魅力がある ※要コメント説明
★合計:17
コメント:
ダンジョン自体は序盤厳しめ終盤ゆるい感じですが、そんなことよりUndo/Redoという圧倒的な個性を持つ点が特徴的。
ただこの機能、実装にあたりユーザ定義変数に膨大な量のデータ(=履歴情報)が詰め込まれるので、『デバッグ起動だとメモリ使用量が10GBを超える』『クリア後のセーブデータのパスワードを取ると4MB弱ある(※WWAのパスワードとしては異例)』など問題点も……。
(なぜ私がアルクス名義でない作品の内部事情に詳しいのか……)
エントリーNo14 四つの村と封印の洞窟
熱中度:【7】★★★★ 7割くらいは熱中して遊べた
斬新さ:【6】★★★ 十分な個性と目新しさがあった
物語性:【5】★★★ ほどほどの物語性を感じる
画/音:【5】★★★ 素材への新鮮さや統一感を多少は感じられる
快適性:【7】★★★★ かすかに不満があるが、十分適切だと思う
その他:【+7】★★★★ 上記では良さをほぼ評価できてない ※要コメント説明
★合計:21
コメント:
マルチエンディング自体は色々なゲームにあったりしますが、このゲームの特徴は7ルートのエンディングそれぞれでラスボスが異なるという部分。
ラスボス自体の倒し方などはほぼ同じですが、初回プレイでどのラスボスと戦ったかについてはプレイヤーごとに変わりますし、1周もめっちゃ長いわけではないので『複数ルート見てみよう』が気軽にできます。
エントリーNo15 雪の森
熱中度:【5】★★★ 熱中できたところとそれ以外が半々だ
斬新さ:【3】★★ 少しは他と違う部分もある
物語性:【2】★ 物語性や雰囲気をほぼ排除した造りだ
画/音:【2】★ 素材への努力はしているが良い印象を持てない
快適性:【4】★★ 理不尽・難解な部分が多いが、慣れた
その他:【+0】上記の内容で、十分に評価できている
★合計:9
コメント:
装備品でアイテムボックスを何枠も圧迫するダンジョンWWAは珍しい?
エントリーNo16 Kaleidoscope Senile Game(※筆者作品)
熱中度:【7】★★★★ 7割くらいは熱中して遊べた
斬新さ:【7】★★★★ 自分にとって非常に新鮮だった
物語性:【3】★★ 物語や雰囲気づくりへの努力は感じられる
画/音:【6】★★★ 素材の統一感も新鮮さも程々で、安心できる
快適性:【6】★★★ ほんの少し遊びにくい点もあるが許容範囲だ
その他:【+2】★ 上記の他にとても良い点がある ※要コメント説明
★合計:17
コメント:
略称KSGということで、バカゲー路線のすごろくゲームです。
『いつか見た虹』で色々アップデートしたい部分もあるのですが、気がつけばこれを100回以上遊んでいる作者がいたり……。(なお、プレイヤーの方にスコアで勝てていない模様)
エントリーNo17 ゲートワールド2024(筆者作ひn……作品?)
コメント:
ゲーム部門に出ている以上、実はゲームなのかも……?
~ウディタ作品紹介コーナー~
エントリー番号【59】『勇者の苦難』
実は初めてプレイしたウディタ作品。
一言で済ませると『ダンジョン系WWA』です。
今年の『箱庭迷宮エクゼリオ』を楽しめた方には特にオススメ。
この作品でウディコンを認知していなければ今回の記事はなかったかも
個人視点での順位算出
※超重要※
個人の評価のみを反映したものであり、順位予想ではありません。
単純な合計点
アルクス作は一旦除き、それぞれの要素の合計値で集約すると
といった具合になりました。これなら投票については
1位に3pt、2位に2pt、3位~9位に1ptの合計12pt
1位~3位に2pt、4~9位に1ptの合計12pt
1位と2位に3pt、3~5位に2ptで合計12pt
あたりがスムーズに見えますね。しかし……ウディコン基準なので、各要素(熱中度、斬新さなど)に『重視度』補正がかかります。
(冒頭のほうで書いた通り、『重視度』は『投票者として作品に各要素をどれくらい重視するか』といったもの。)
私アルクスの指標としては、下記のような具合になりました。
最終的な合計点
重視度を反映後、一部ですが順位が変動しました。
『重視度』によって得点が細かくなった結果、同率4位の消滅&同率6位が4作品→2作品に減少したことによる順位の変動が大きいです。
また、アルクスが熱中度や遊びやすさを重視している層だったので『レベルアップダンジョン2』は順位が急上昇し、遊びにくいスーパーマサトは急降下していきました。
同率4位×2と同率6位×4が消えたため、6~9位の括りではなく7位や8位までに投票したり、上位4位×3ptで投票したりといった選択肢も入ってきますね。
終わりに
Q.で、実際どこの作品にどう投票したん?
A.詳しくは秘密ですが、上記の順位に完全に沿った投票にはしていません。
(完全に沿っていたらこの記事は公開できていない為)
今回の評価は、あくまでも『ウディコン』に準拠した評価です。今回の点数部分だけで評価しきれていない作品もあるので実際の投票内容は上記順位の通りではありません。(順位が高くても票を少なめにしていたり、そもそも入れていなかったり、逆に順位が少し上の作品より優先して投票している作品があったりします。)
ただ、ウディコンの評価については1~10の中に基準(例:斬新さ【6】★★★ 十分な個性と目新しさがあった など)が用意されているのがいいですね。
WWAにおいても、作品を評価する上での参考指標にはなるかなと思いました。