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ぼうさいこくたい2024 in熊本に参加してきました
JX通信社/WiseVine 藤井です。国が中心となって例年開催している「ぼうさいこくたい」(防災推進国民大会)、今年は熊本で2024/10/19〜20まで開催されましたが、JX通信社として、またAI防災協議会として参加してきました。
「ぼうさいこくたい」って、国民体育大会(国体)にひっかけて、防災分野の国民大会、としてネーミングされてるわけですが、国体が「国民スポーツ大会」になったので、もう少ししたらきっと、意図が伝わらなくなりますよね…。
去年は我が母校、横浜国大での開催でしたが、今回は熊本城ホールを中心としたエリアでの開催。いろんなイベントと被っているのと、もともと半導体工場への出張者の増加もあって、ホテルも飛行機もかなり高くなってます…!
今年は参加組織が400団体を超えたそうで、出展無料ということもあり小規模なNPOから政府団体、大手企業、果ては自衛隊や国交省の特殊車両まで展示される大型イベントに成長しており、ロジにも苦労が忍ばれる箇所が幾多もありますが…毎年これをやりきっている内閣府の皆さんには敬意を表したいです。この場で年に一度お会いできるのが定番になっている方もいたり、なんというか、防災界の”コミケ”化している感じもあります。
JX通信社としては、先日能登町とも連携協定を締結させていただいた「FASTALERT・NewsDigestを用いた市民目撃情報の収集と地域防災力強化」についてポスター展示を行いました。
あわせて、JX通信社も代表の米重が理事として参加する「AI防災協議会」のセッションにも、公共担当として私が僭越ながら、登壇させていただきました。
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セッションの内容は、後日アーカイブとして公開されるそうですが、今回は産官学民のメンバーが登壇して、能登半島地震を踏まえた、AI・SNSの情報活用に関する課題と展望について、各自が発表しました。
JXからは、「なんでも役所に情報を集めて、そこで真偽判断の負荷をかけるのではなく、民間の力で正しい情報を集めて、それを市民同士で共有することが、自助・共助の推進や、NPOや市民ボランティアの活動の円滑化につながる」というお話をさせていただきました。上述の能登町での取り組みもそういう趣旨で行っているものですが、これは必ずしも大規模災害に限ったことではありません。例えば熊出没情報って、役所の農林業担当の部署で電話を受けて、それで情報を確認して、駆除のための依頼をかけたりするのですが、そもそも一般市民の方ってその連絡先を知らないし、山の中で目撃しても、その場所って電話で伝えるの難しすぎるし、そこでワタワタしている間に周囲の人達に危険が迫るかもしれないですよね。市民間で適切に情報が共有・整理できれば、もう少しスマートに情報が連携できると思うのです。
NHKからは報道局機動展開プロジェクトの薮内さんにご登壇いただきましたが、SNS vs マスコミという構図ではなく、「あまねく今起きている事実を知らせる災害報道」と「地域の防災行動を促す災害情報伝達」という使い分けで議論したほうがいいのでは、というのが藤井の意見です。そのとき、地デジにだってエリアごとの出し分けなどの機能はあるし、SNSにも逆に、一斉に通知をする緊急アラートプッシュみたいな機能が、実はかつてのTwitterでは、一部の報道機関には提供されていたのです(いま機能しているかどうかは不明)。能登半島地震においては、コミュニティFMが壊滅的な被害を受け、臨時災害放送局の立ち上げも難しい状況であったことが悔やまれる、という話も、私からさせていただきました。
また、「AI防災協議会」なんだから、今後のAIの活用についての議論をしようよ、ということで、私からは個人的な思いとして、10年前にはまだ「(誤翻訳などが)怖いから災害情報伝達には使いにくいな」と言われていた機械翻訳などの仕組みをフル活用して、防災行政無線や、喋り手が不足している臨時災害放送局の多言語自動放送に、もっと生成AIや音声合成を使えるのではないか、というお話をしました。SpecteeさんもAIアナウンサーを神戸市の防災行政無線に納品していますし、NHKも政見放送のナレーションにAIアナウンサーをすでに使っています。こういった、人手が瞬間的に必要で、精神的負担の強い仕事は、AIにこそ向いていると思います。あとは災害情報に特有の、固有名詞の翻訳の問題や、「避難スイッチ」を促すようなわかりやすい表現を多言語で特定していくような部分については先行研究もありますので、生成AIに強い方々と連動して、一気に社会実装が進んでいくのではないかと思っています。
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