【展覧会レポ】ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ @ 森美術館
みなさん、こんにちは。
突然ですが、六本木ヒルズにある、このオブジェを見たことありますか??
この蜘蛛の名前は、ママン。作者はルイーズ・ブルジョワという女性のアーティストです。
現在、森美術館では、このルイーズ・ブルジョワに焦点を当てた特別展が開催中です。日本では27年ぶりなんだとか!
◆公式サイト
ずっと行きたかった展覧会!ついに足を運んできましたので早速レポしたいと思います。
ルイーズ・ブルジョワという人
まずは彼女のことを簡単にまとめます。
・1911年フランス生まれ、1938年ニューヨークで作品を発表。2010年に亡くなる
・パリでタペストリー修復工房を経営する両親の元に生まれる
・父親が浮気し、母親が慢性的な病にかかったことで、トラウマを抱える
・主題:人間同士の感情、二面性など
・モチーフ:蜘蛛、乳房、渦巻き、ギザギザの山
精神的に不安定だった己を、作品制作によって克服していったブルジョワ。全3章と2つのコラムパートで形成される本展は、彼女がどのようにその道を歩んだのかを追体験できます。
第一章:私を見捨てないで、では、彼女のバックボーンを知ることができます。
展示室の構成も見事でした。歩みを進めるたびに「うおおお!」と驚いたり、思わず目を背けたくなったり、いろんな感覚を体感できるのも面白かったです。
蜘蛛の持つ二面性に惹かれ、彼女はこのモチーフを選んだようです。相反する2つの感情、2面性、矛盾、、、それらは第二章で自らの感情へと深く関わっていきます。
複数の乳房を持つ異形の生物?ブルジョワはこの「乳房」の形を自身の作品内でさまざまに表現していきます。
グルグル巻のイメージは、お互いのエネルギーに引き込まれながら均衡を保つ安定、とのこと。こうした一見するとインパクトに押されてしまう作品にも、しっかりと意味合いが見られるのがとても面白く感じました。
絵画作品も多く展示されているのでぜひじっくり観てみてください。
これは人を表しているんだとか。パリからニューヨークに移住し、ニューヨークの高層ビル群に魅了されたブルジョワ。ゆかりの人物たちを抽象的かつ簡素化して表現していきます。《人物像》というシリーズです。
これは、アシスタントのジェリー・ゴロヴォイ。まさか首無しでこんな彫刻になるとは思っていなかったと思います(笑)。彼もブルジョワの作品に登場する重要なテーマ。いつも支えてくれる彼の存在が安心感へと繋がっていったとのことです。
第二章:地獄から帰ってきたところ、では、彼女自身の精神状態や心境を扱った作品を取り上げています。
《部屋(セル) 》シリーズと呼ばれるこの作品は、1990年代に開始されました。閉鎖的空間に思い出の品を展示する方式です。そこには、他者を拒絶しながらも、他者と共存したいという矛盾が込められているようです。
また廃材を作品に取り入れるのもブルジョワの特徴です。観ているだけで、なぜか引き込まれてしまいそうですよね、、、。
はい!ここまで!!!
紹介していない作品や、第三章はぜひ皆さんの目で観て感じて欲しいです!(笑)
初見の時の驚きがすごい作品ばかりなんですよ、ほんとに!!
ちなみに、第三章:青空の修復、では、ブルジョワが己の不安定さを乗り越えた世界線を紹介していきます。
タイトルにもあるように、自身の様々な経験や感情を、作品を通じて乗り越え、「素晴らしかったわ」という表現に至ったことが本当に観てわかる展覧会だったのだと感じました。誰しもの中にある感情、それを重ねてみるとブルジョワに共感して作品の見え方が変わってくるかもしれませんね。
展覧会は2025年1月19日まで六本木の森美術館で開催中です。
※執筆にあたり解説パネルやチラシ、公式サイトなどを引用、参照しています。
※記載の考察や感想は個人によるものです。あらかじめご容赦ください。
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