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デザフェス大型什器の設計から完成まで(設計図以外全て無料)

デザインフェスタというアートイベントが年に2回、ビッグサイトで開かれます。
2024年11月、第60回目が開催されたので出展しました。
出展エリアは「暗いブース」。
会場の照明が落とされ、夜店のような雰囲気が楽しい人気のエリアです。
机や壁などの什器はレンタルもできるのですが、まあまあ高いし世界観出したいので作っちゃおう!ということで作ったのがこちら。

こだわりポイント

①Sブースで出たい(床の広さは90×180cm)
②やぐら組みたい
③テーブルはレンタルのやつは嫌じゃ(レンタルは会議室で使われるような折りたたみタイプのものです)
④組み立て1時間半、解体1時間
⑤強度あり
⑥コンパクトカーに積める
⑦アンティークかつちょっとファンタジー
⑧デザフェスの規約に沿った材料、構造(消防法に則った規約があります)
という条件で作りました。

①Sブースで出たい

【Sブースの理由】

デザフェスの出展料はなかなかにお高く、Sブースで1日14,000円。2日間だと24,000円。
Mブースは奥行きが倍になりますがお値段も倍。
Sブース2つなどもできますがその分出展料がかさみます。
というわけでS1ブースで出たい。

【スペース活用術】

通路スペースを利用した折りたたみレジ台

天板は蝶番で折りたたみ式
足元を隠す板も蝶番で開閉可能

机の幅は約140cmで、通路として40cm開けてありますが、勿体無いのでレジ台として使えるようにしました。

上や下のスペースも有効活用しています。

1歳息子も展示できちゃう大容量
最下段は裏側で荷物収納
ネックレスなどをつるして展示できる横棒

②やぐら

・照明を吊るす
・ひさしと看板をつける
・後ろを隠すための布を垂らす
以上3つの機能をもたせたやぐらです。

【構造】

重みはほぼ机から伸びた柱で支え、補助的に背面側の2本でも支えています。
背面側の柱は伸縮パーツを使って持ち運びしやすくしました。(強度は落ちます)
そのままだとぐらつくので筋交(すじかい、上方の斜めに入っている棒)を設置。
筋交はジョイントに接着はしていませんが、十分機能は果たします。
筋交を固定するプラスチックジョイントも接着剤は使わず、ねじ止め式のパーツで固定しています。

このパーツは紐を挟めば横棒などを紐で固定したりもできて便利です。

設計図は記事の最後に有料で載せさせていただきます。

【照明】

ダクトレールという、照明を複数つけられるレールを1番上の横棒に結束バンドで2箇所とめています。
ダクトレールはコンセント式のもので、コードは結束バンドで柱を這わせました。
長さが足りないので、延長コードを持ち込んで使っています。
電源はポータブルバッテリー持ってますが、不安なのでレンタルしました。(2日間で今回8,000円、次回から8,700円)

【ひさしと看板】

布で作ったひさしをつけています。
一番上のポールにくるりと巻きつけるように引っ掛けてマジックテープで5箇所接着。
手前部分は裏に縫いつけた紐で固定しています。
看板の棒を刺す部分には穴を開けました。

看板は板に穴をあけ、そこにフックをひっかけています。
そのままだと見えないので、左右からスポットライトを当てました。

【背面隠し】

後ろのブースが見えてしまうと視界がごちゃついて世界観が出しづらくなります。
かと言って壁を借りるとめちゃくちゃ高い。
ということで布を垂らしました。
布は柱に合わせて邪魔な部分を切り取り、端を折って縫ってマジックテープをつけただけ。

③テーブル

・以前作ったものを再利用
・腰が痛くならない高さ
・袋やお釣りを入れる棚
がこだわりポイント

【前回デザフェス】

足元を隠す板がなく、やぐらもありませんが基本構造はこのまま使っています。

【高さ】

天板の高さは約90cm。
レンタルの机の70cmは大人には低くて作品見てると腰が痛くなります。
ついでにテーブル奥行きは45cm、通路40cm。
体格にもよりますがSブースだとこれくらいが限界です。

【中の棚】

お会計時必要なものを入れられる棚です。
引き出しみたいに見えますが、これはなんちゃって。板と取手をくっつけた板を蝶番とドアマグネットで固定しています。

机と棚は写真のパーツで固定しています。
左のJ45はガチっとはまるので天板はこちら。
J113は緩めでパイプに乗せるだけなので棚はこちら。

④組み立て解体

机の部分は1人でやっても約30分、やぐらは2人がかりで約1時間です。
解体はやぐら2人で30分、机は1人で15分ほど。
照明つけたり作品並べたりがあるので、設営は6時に到着して6時半に組み立て開始して作品やポップも並べ終わったのは10時ギリギリくらいでした。
搬出もリミットの19:30までに解体は終わっていたのですが、駐車場が混みすぎて18:40くらいにブースを出て、19時に車に辿り着いたんですが搬出口に着いたのは19:35くらいでした。
そこから10分ほどで積み込みは完了。

運搬はキャンプ用のワゴン使って2往復分です。

⑤強度と安全性

【イレクターパイプ】

一部塩ビパイプで作ろうかとも思ったのですが、結局イレクターパイプを使いました。
設計と構造が正しければベッドや鉄棒なども作れるくらいの強度があります。
ホームセンターで取り扱っていることが多く、近くにない場合は送料かかりますがメーカーのHPからも購入できます。
パイプカッターで自分で切断できますがそこそこ大変なので、HPからの注文では希望の長さにカットしてもらうこともできます。

【木材】

厚み12〜15mmのベニヤを使用しています。
ベニヤ(合板)は無垢材や集成材に比べ薄くても丈夫です。
この厚みなら50cm四方くらいなら女性が乗れるくらいの強度がありますので作品を載せるくらいなら余裕。
流石に140cmを端と端だけで支えると多少撓むと思うので真ん中にも一つ支えはあった方がいいとは思います。
今回私が作った什器は向かって左半分は大人が乗っても大丈夫なので高いところは乗っかって作業していました。 

【箱の固定】

箱はオニメナットとボルト(ねじ)で固定しています。
オニメナットは木材に埋め込めるボルト穴。
これを使うことで分解したり再組み立てしたりできます。
毎回木ねじ(先の尖ったねじ)を使うとだんだん穴がゆるんで留められなくなるので、何度も使うための工夫です。

オニメナット

板は全て最初にやすりがけしています。
お客さんの安全もですし、私が組み立てる時にささくれが刺さると痛いので。
手でやると大変なのでオービタルサンダーという工具使ってます。

サンダー(左)とトリマー(右)

⑥コンパクトカーに積める

大人が2人乗って、台車やそのほか什器、工具などこみこみでHondaのFitにギリギリ積めます。室内寸法は長さ1,955mm、幅1,445mm、高さ1,260mmなので、一番長いポールで1800mmにしています。運転席と助手席の間からにゅっと突き出ます。

⑦アンティークかつちょっとファンタジー


【机】

板の角はトリマーという工具で曲線をつけています。

ターナー社のワトコオイルという塗料で着色しました。
いろんな色がありますが、落ち着いた雰囲気にしたかったのでエボニーというダークブラウンのものを使用。

装飾は海外から取り寄せた木製の飾りパーツと、ホームセンターで買った半丸の棒。
半丸棒の端は45°で切ると継ぎ目がきれいです。

45°カットにはノコギリガイドという道具があると便利です。

【イレクターパイプ】

イレクターパイプもお客さんから見える部分はアイアンペイントのアンティークゴールド(ターナー社)で塗装しました。
そのままだとうまく塗料がのらないのでプライマーも使っています。

サビ加工

青サビ加工もしたんですが、暗いブースだとぶっちゃけ見えませんでしたね…。
いつか違うイベントで明るいところで生きたらいいなあ。
まあいいんだ…自己満足だから…。 

使った塗料の写真はこちら。
ホームセンターや東急ハンズの他、通販でも手に入ります。
カラーはゴールド、青サビ色以外にも黒、茶、シルバー、銅色。

アンティークゴールド
プライマー。金属やガラスなどに塗るとき先に塗ります。

【ひさしと看板】

看板は東急ハンズで購入した雰囲気たっぷりの板に、DAISOのスチレンボードを切って作った文字を虫ピンでくっつけました。
色は板の方はワトコオイル、文字はアイアンペイント(アンティークゴールド)でつけています。

⑧デザフェスの規約に沿った材料、構造(消防法に則った規約があります)

【大きさ】

Sブースの90×180cmにおさまることが大前提。
あまりギリギリだと多少のゆがみなどでオーバーする可能性があるので数cm小さく作っています。
高さは4mまでOKです。
照明を吊るすのにそこそこな高さが必要なので1番高いところで約2.5m。
あまり高いと脚立が必要になって荷物が増えるので私の身長(158cm)ではこれくらいが限界です。

板は防炎ベニヤ。
デザフェス規約上、DIYの大型什器に普通の木材は使えません。
ホームセンターでは手に入らないので近所の材木屋さんに問い合わせて購入しました。
※布も10cm以上垂らすなら防炎
※既製品や卓上什器は防炎の必要はありません。
※規約は時々変わるので都度確認してください。

ベニヤの防炎ラベル

イレクターパイプもスチールの芯に樹脂がまとわせてあるので防炎性能があります。
ジョイントの種類が多く、自由度が高いので基本構造を作る素材としておすすめ。
類似品のスペーシアでもOK。互換性があります。
イレクターとの違いは色と表面の質感。

まとめ

長くなりましたが以上です!
什器作ってみたいという方の参考になれば幸いです。
何かご質問やご感想ありましたらコメントいただけましたら喜びます🙌

最後に、手書きであまり綺麗じゃないですが設計図と必要パーツ、組み立て方を有料で掲載します。
参考にして作っていただくのは構いませんが、製作、使用中の失敗や事故などは自己責任でお願いします。記載のミスもないように確認はしておりますが万が一あった場合はご容赦ください。
また、設計の自作発言・設計図の配布は有料・無料問わずお控えください。
私の名前(Wunder Kassetteくるっく)は出さなくても結構ですが、宣伝していただけるとちょっと嬉しくなります。

※布類の寸法、机の脚の部分の設計図や箱の寸法は掲載しておりません、ご注意ください。

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