誓い
9ヶ月目に入った。
日々、とまでは言わないが3日ごとに大きくなるお腹は満月のようだと思う。中から勢いよく突き出されるのが足なのか手なのか判別はつかないが、いつか外側からつまんでやろうと思っている。
幸せでしょう、と友達に言われた。その時は、そうでもないよ身体の不調が多すぎて幸せかなんて考えてないな、と返した。でも今ゆっくり考えてみれば、不妊治療という道の先の見えなさに苦しんでいた年末までに比べたら幸せだと言い切れる。
治療中、彼にはだいぶ当たり散らした。検査結果としてはどちらかというと私に非があり、彼を責める理由はなかった。ただ、当然のことながら薬を飲むのも2日おきに仕事を早退して病院に通うのも、自己注射を打つのも私だったから私は辛いんだと泣き喚いて心配させた。
今は悪阻こそないものの、いわゆるマイナートラブルの宝庫でまた心配をかけている。それでもあと2ヶ月で解放されると思えばお互いの表情は明るい。でも、まだ支えてくれた分の恩返しとお詫びはできていないなと思うときがある。
この子が産まれたら、きっと彼に構っている余裕は更になくなる。けれど、それでもいつか彼に何かを返したい。いつか彼を同じように支えてみせる。だって子供といる時間より彼といる時間のほうがこの先もずっと長いのだから。
9ヶ月のお腹を抱えた、私の密かな誓い。