読書日記#03〜テロルの決算

名著、深夜特急の著者、沢木耕太郎さんが山口二矢が浅沼稲次郎を刺殺することを書いたノンフィクション。

山口二矢、浅沼稲次郎の生い立ちはもちろん、その時代の右翼、左翼をはじめとした時代の情勢など繊密に書かれている。

この本を読んでふと安倍さんの件を思い出したのだが、山口二矢を持ち上げるわけではないし、暴力を容認するわけでもないが、安倍さんを殺めた誰かとはいる世界が違う。そして、戦後まもなくという時代だからなのか、文中に出てくる政治家の信念もまた今とは比べ物にならないと思うのは気の所為でしょうか。

沢木耕太郎のあとがきもまた絶妙で、ノンフィクションを書く理由をこう述べている。

声を持たぬ者の声を聴こうとする。それがノンフィクションの書き手のひとつの役割だとするなら、虐げられた者たち、少数派たらざるをえなかった者たち、歴史に置き去りにされた者たちを描こうとすることは、ある意味で当然のことといえる。


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