パスワーク 00愚者
夢日記 「愚者」第一夜
学校の教室。
どこからかガスが噴出されて廊下から教室に白い煙が侵入してくる。異臭。それとともに青い点滅するレーザーが教室全体に照射されてむき出しの皮膚に青い模様を作る。奇妙だがキレイな光景である。
何かを選別、炙り出すために行われているらしく、光で白く変化する者を探しているようだ。そこには悪意が感じられる。レーザーが美しいのでムービーに撮ろうとするが、スマホがうまく作動しない。何かの干渉を受けているようだ。高校の同級生のTと話す。彼は僕と同じ誕生日。別の同級生が僕の邪魔をしようとする。しつこいので腹を蹴り上げる。そこで目が覚める。
夢日記 「愚者」第二夜
ふたたび学校の設定。仲のいい女友達と行動している。リリーフランキーもいる。教室にいたリリーさんに体育の時間だからちょっと行ってくる、と伝えて二人でグラウンドにでる。時計が見える。十三時ちょうど。遅刻しそうだ。階段を急いで駆け降りている。登ってくる人がたくさんで、かき分けながら急いでグラウンドに向かう。
彼女はサッカーボールをどこかから調達して、蹴り合いながら集合場所に向かおうとするが途中グラウンドに居合わせたサッカー部の連中のところにボールが転がり奪われる。彼らはユニフォームを着ている。濃い緑色。僕はボールを取り返そうとするが、なかなかうまくボールが蹴れない。彼らサッカー部の連中も僕もなんとなく下手でうまくボールがコントロールできず、皆が苛立っている。身体が思ったとおりに動かない。ボールが空高く上がる。ヘディングしようとするが空振り。それが何回も続いてウンザリしている。
わりとカッコいい白い新しいサンダル。グラウンドに出る途中サンダルが脱げて側溝に落ち、ずぶ濡れ。
夢日記 「愚者」第三夜
唐突に「2」の文字が見えて、その下にバー「ー」があるのもわかった。前後に式のようなものもあるようだがぼやけて判別できない。そのうちバーの下の文字がぼんやり出てきて、うすーく「5」の数字が見えるような気がした。
夢日記 「愚者」第四夜
帰ろうとしたら靴が無い。盗まれた。上等の靴ではない、靴ですらない、サンダル。
男ばかりで住んでいる汚いアパート。いや家に帰ろうとしているから、住んでいるわけではない。職場でも無さそう。でも雑然とした生活感はある。四、五人いる。みんな一緒に帰ろうとしている。
仕方がないので、裸足で帰ろうか? タクシーで帰ろうか? 裸足で電車に乗ったら奇妙に思われるだろう。でも裸足で歩くのは案外気持ち良さそうだ。冬だけど。みんなコートを着ているから冬なのだろう。
唐突に若い子が僕にお箸を返すという。塗り箸だ。お箸が転がる。知らないよ。置いてこいよ!と彼に言う。無くなったのは箸では無くて、サンダルだ。
玄関の前で立ち往生していたら、酔っ払ったOL風の女性グループが通りすぎる。コートを着ていて息が白い。やはり冬だ。
テストの答案が返ってきた。先生に渡された。100点だ。簡単だったから当たり前だ。大人なんだし。
僕は孫悟空(ドラゴンボール)になって誰かと戦っている。相手が弱すぎる。これじゃあイジメだと思われる。
夢日記 「愚者」第五夜
グループでダンスしている。ヒップホップの競技。途中から隣のダンサーが挑発してくる。不穏な雰囲気になり喧嘩が始まる。怒り、憎しみ。空から何かが、誰かが堕ちる。とても悲しい夢。誰かが泣いている。慟哭。再び怒り。
黒いスーツにサングラス。車から呼び止められ近づく。法事?葬式?選挙事務所?なにか選挙に関連しているらしい。大広間に座布団がびっしり。誰かが登壇するらしい。僧侶?代議士?話が始まる前に席を立ちたい、と思っている。夏?汗が気になる。喪服の子供たちがはしゃいでいる。早々に会場を立ち去る。
目を瞑ると浮遊する肉体。すーっと導かれるようにドアから侵入して飛行しながら各部屋を見て回る。飛んでいるのは自分一人だが、一緒に、そばに誰かいる気配。会話をしているような案内されているような。いつの間にか昔の祖父母の家に変わっている。誰かいるんじゃないかと、見つかるんじゃないかとドキドキしている。
夢日記 「愚者」第六夜
施設に入っている父親との会話の中で。三つか四つの二桁の並んだ数字。でも途中から数字がまちがっているんじゃないかといぶかっている。途中が抜けてるのはおかしいぞ、と感じている。「富士山がね、、、」とガイドらしき存在が解説してくれたような。
突然、一昨日の法事、葬儀、選挙の続きを思い出した。畑の中に何かが生えていて、僕はそれを数えている。8本数え終わったところで、もう一本ありそうなのだが、不鮮明でどうしても意識が届かない。数えられるものと数えられないものがある。8まではわかるけど、もう一本。でもそれは9ではない。
夢日記 「愚者」第八夜
学校の校舎の裏庭のようなところで、僕は奇妙な生物を発見した。
焼却炉が近くにあって、煙突から煙があがっていた。その奇妙な塊は四つ足でよろよろしながら歩いている。校舎の壁にもたれかかってなんだか苦しそうだ。それは鉛色で表面はツルツルしていて光沢があった。濡れた粘土でできているような感じで目も鼻も口も判然としない。半分溶けているような、でも刻々と姿が変容しているようだった。形態として一番近しいと思われるのはイノシシだ。だが明らかにイノシシではない、強いて言えばイノシシになろうとしている何物かだ。
僕は友達を呼んだ。「ちょっと来い、なんかいるぞ」
彼ら(彼女ら)は高校生くらいの年頃に見えたから、多分僕も同じ年頃だったのだろう。
突然それは走り出した。走りながら毛が生えてきているようだった。僕たちはそれを追いかけた。その時にはもうイノシシの形態に近ずいていたので、僕たちは危険も感じながら遠巻きに追い詰めていった。すでにキバが生え、白と茶色のマダラの体毛に覆われていた。美しい生き物になっていた。時々向きを変えながら、ときには僕らの方に向かって突進して来たりもした。僕らは今度は慌てて逃げたが、一定の距離を保って観察していた。よく見ると背中から翼の骨格のようなものが突き出ていた。
イノシシに見えたそれはいつの間にか怪鳥に変化していた。極彩色の巨大な鳥で、息をのむほど美しかった。全体的な色合いはキジのように光沢のある羽毛だが、ベースは真っ赤だった。長い尾羽に赤いトサカもあった。イメージは「始祖鳥」とか「フェニックス」に近いのかもしれない。
怪鳥は大きく羽ばたいて校舎の外に飛んで行った。僕たちはそれを見失わないように走って追いかけた。
いつの間にか商店街のアーケイドに来ていた。それがアーケイドのなかに侵入して行ったからだ。そして怪鳥はそのままの形で小鳥サイズに変化していた。あちこち飛び回ったあげく、僕の近くに降りて来た。商店街をなんの警戒心もなく、ヒョコヒョコ歩いている。僕はとっさに飛びついた。ホームベースにヘッドスライディングするように、両の掌で小鳥を捕獲した。
つかまえた。小鳥はキョトンとして僕を見ている。逃げそうな気配もなかったが、僕は友達に叫んでいた。
「カゴを! 誰か鳥カゴを探して来てくれ」
夢日記 「愚者」第九夜
四月のある晴れた日曜日の朝。新緑の庭園。
雨もすっかりあがって雲間から白い光がさしてくる。空気は澄みわたり、土と草とクスノキの匂いが層を成して流れてくる。芽吹いたばかりの透けるような若葉に水滴が煌めき、周りの芝や草花も折からの陽光を浴びて雨水を粒子に変えて大気に放ちはじめた。天上の小鳥のさえずりと芝生を駆け回るこども達の無邪気なはしゃぎ声に混じって何処からかバイオリンが奏でる旋律が聞こえる。振り返るとさっき通り過ぎてきた白い円形劇場で老人たちのアンサンブルが音合わせをしているのが見えた。
ふと視線を外すと、その白い劇場の彼方に無量の水を静かに湛え銀色に輝く海があった。草の上を風がわたる。微かに潮の香りがはこばれてきた。
私はどこからこの風景を見ていたのだろう。ここにお墓参りに訪れた人の視点だったろうか、あるいは私自身があの若いクスノキだったのか、もしかしたらあのとき吹いていた風の中にあったかもしれない。
夢日記 「愚者」第十夜
デヴィッドリンチがいる。
彼は佐伯に移住してきていて、古屋をアトリエにして絵を描いていた。僕はそこに訪ねて行って無口な彼と何かについて真剣に話していた。
しばらくして、佐伯の港の殺風景な魚市場で若者たちが映画を撮影しているところに、彼はパリッとしたスーツ姿で現れて自分の8mmで撮影を始めた。恋人らしきおんなの人が数字(8)とか(5)とか(3)とかを書いたスケッチブックを持たされて奇声をあげていた。海が素晴らしく透明で、海亀の姿も確認できた。
さらにシーンが変わって、真冬のプールサイドでリンチ監督と酒を飲んでいた。彼はいきなりズブズブと冷たいプールのなかに入って行った。出てきたときには、あの自慢の、象徴的なヘアースタイルの髪がペタッと頭にはりついて、さらに無表情だった。さすがデヴィッドリンチだなーと、僕は感心して見ていた。
夢日記 「愚者」第十一夜
占いのようなことを始めようとしている。 女友達もいる。盆栽のような樹の鉢が二種類ある。一つには枝の先に火をつける。キャンドルのように火が灯るらしい、そしてそのまま眠って御託宣を得るらしい。もう一つの鉢も樹が生えているがそれは自ら変形して抽象彫刻のような立体になる。素材は土のようなものに変化している。網目状のそれは仮面のようで、どうやら被るものらしい。
場面が変わって、女友達とお酒を飲みに出かける。その友達が案内してくれる。彼女はすでに酔っ払っていてフラフラしている。
とても上機嫌だ。店に到着。彼女の行きつけの店らしく、ハイボールだか、レモンサワーだかを飲む店だ。店主にたずねたら、満席だという。ちょっと待て、と。
目の前に5人がけのカウンター席があって2席空いているのだがすぐには座れないらしい。店内には他にも席があるようだが、彼女はどうしてもそのカウンターの席に座りたいらしい。そこに彼女の旧知の知人がいて彼女と会話する。
何杯呑んだ?
その男友達は答える「レモンサワー13杯」
彼女「いいなぁ」、そこでレモンサワーを呑むのは何かの儀式らしい。
仕方がないのでヘロヘロに酔っ払った彼女を介抱しながらベンチで待つ。彼女はしなだれかかったり、甘えたり。抱え起こしながら、僕は困ったなぁー、めんどくさいなー、と思いながら、とりあえず席が整うのを待っている。
夢日記 「愚者」第十二夜
友人のKさんと彼女の娘さんの結婚について話している、内しょ話らしい。普通の相手ではなさそうだ。Kさん自身もちょっと怖い感じ。けわけちじさをぬないばなけっこなかも。
ずっと消息を気にしている人にばったり出会う。赤と黒のワンピースが目に止まる。肩からバッグを下げている。たさげさけさばっば僕がその建物に誰かに案内されて入って行って、彼女は別の入り口から同じように入ってきたようだ。案内の人がカーテンを開けると、真正面に彼女が一人で立っていた。びっくり!した。
深く没入したいなけるかきと2しゅつけゆさいのにあのたねさくさひとひたかましあけあかんかはあんあよはいりきいにへははいはあんたてたてめにめわくであてかねかきにきしゆであかー
夢日記 「愚者」第十四夜
白地図があって地域の境界線が引かれている。その地域を一つずつ落としていく。攻めるという感じ。征服といってもいいかもしれない。一人でその地域に入って行って影響を与える場合もあるし、友人と一緒に入って協力して両端から挟み込んで落とす場合もある。徐々に領域を拡大していく。そこに人がいるわけではないが地域を味方にしていくような。今はまだ途中だけど、いずれなんとかなると思っている。前向きに戦っている。白地図はとてもクリアで夢のなかではよく知った場所。
唇が切れた。深い。
肖像画を見ている。髭の人物。若い。隣に夫人もいるようだがハッキリしない。
家に帰る。鍵を開けて中に入る。誰かが先に帰っている。2階の窓が開け放たれて電気がついている。
夢日記 「愚者」第十五夜
最初はリリーフランキーの番組にゲスト出演して盛り上がっていた。大学の共通の知り合いのゲイの子の話なんかをして、男男、男女、女女。でもリリーさんがなかなかその人の名前を思い出さなくて、お互いに歯がゆさもあって、それでも楽しい雰囲気だ。
その日はいろいろスケジュールがたてこんでいて、他にもテレビの取材があり、YouTubeの生配信があり、他にもいろいろ予定があった。今日はいつもと違って不案内なテーマパークのようなところであるので、とにかく大変。
まずテレビのリハーサルがあって。それは身内のパーティーで親族や友人たちが集まる。現場にテレビクルーが入ってきて段取りを決める。僕が「この人が元奥さんで、この人がその旦那さんでー」と紹介するような不思議なシチュエーションで元奥さんも、その旦那さんもタイミングが悪く、結局スタッフは 「じゃ、進行はあなたに任せますね」と僕に委ねてリハーサルは一旦終わり本番待ち。
一旦その場を離れて用事を済ませ再びその場所に向かうのだが、なにしろ土地勘がなく時間に遅れそうな上、道に迷った。しかも財布も何もかも忘れていて、僕が持っているのは図面ケースとタブレットひとつ。途中から偶然出会った女子高生風の女の子に導かれることになるのだが、行く先々でトラブル続き。持っていたタブレットのOSが旧バージョンに戻っていて上手く作動しない。タブレットが物質的に変容して紙化してどんどん消費されていき、終いには使い切ってしまう。約束に間に合わないと僕はあせっている。女の子の道案内だけが頼りなのだが、デパートの中を突っ切っているうち、女の子はしばしば寄り道をする。僕は急いで欲しいのだが女の子はマイペース。
女の子は「他では今何が流行っているんだけど、この星ではちょっと違って、こういうのが流行ってるの!」と、 透明なショーケースに入った謎の色っぽいケモノ風の剥製だか人形だかを見せる(グレムリンのギズモのようだ)。僕も興味は惹かれるのだが、そんなこともしてられない。約束の時間は大幅に過ぎている。それでもなんとか目的地に向かおうと急いでいる。
女子高生風というのは制服を着ていたから。背格好が小さいから。
明らかに子供なんだけど、僕より土地感があって頼りになる。好奇心が旺盛で気まぐれ、マイペース。途中から二人の冒険の道行になる。
シーンが変わって海辺のホテル。高い砂丘の上にたつ。広大なゴルフコースもある。知ってる場所だ。学会が行われるらしく人々が集まっている。
海側から砂丘を登ってホテルに出るのだが、再び道に迷う。砂丘を登るのだがホテルとは別の場所に出てしまう。明らかにヤクザ的な密猟者の一団に出会う。彼らは七色の巨大な海藻を海から持ち出そうとしている。赤、青、緑、黄、ピンク、水色、紫。それぞれ単色で5mくらいある。
途中プールに迷い込む。一旦海に出ようとするのだけど断崖絶壁で降りる場所が見つからない。
長い波と短い波、その組み合わせ。2点間の距離。学会の研究テーマはそういうこと。多くの人が砂丘を歩いて集まりつつある。
夢日記 「愚者」第十五夜
友人の青木くんがスターターピストルを撃とうとするのだが、うまくいかない。僕に代わってピストルに火薬を詰めるが、ピストルを打つ前に発火して地面で弾けている。パチパチと閃光が見える。
友人たちとパーティーに向かう。高校の友人「木下」ともう一人女の子(いつも顔がはっきりしない、いつも一緒にいるガイドではないかという存在)と三人。二人は遅れる。電車がくる。二人はまだだ。電車をやり過ごして二人がくるのを待つ。二人が追いついて電車に乗る。かわいい、おもちゃみたいな電車だ。会場に到着する。人が集まり始めている。休憩室のようなところに座ってくつろぐ。左側には木下が座る。雑談。木下は唯一僕が博多弁で喋る相手。「何々しよっちゃろ?」僕が話している。特に事件は起こらない。
鰯(あるいは鯖だか鰊だか、とにかく魚へんの漢字)をとりすぎてはいけない。おじさんが悲しむから。それだけ。二番目以降は見えなかった。
海で泳いでいる。家の前の海だ。僕の前を女子選手とコーチが泳いでいる。コーチはかなり厳しく、女子選手は必死で頑張っている。海の中は尖った海藻がところどころにあって、泳ぎにくい。でも一人でマイペースで泳ぐ。そして岸に上がる。
夢日記 「愚者」第十六夜
竹(バンブー)は意外と役に立つ
目を瞑ると右側にキラキラ光るもの、右肩の辺りに留まると視界がパッと明るくなる。妖精のような、ティンカーベルのような。
夢日記 「愚者」第十七夜
以前、白地図を攻略する夢をみたが、今度は面ではなく、線、経路を徐々に攻略するようだ。地形的にいうと九州北部から瀬戸内を通って近畿までの一帯に限定されていたようだ。線を繋いでいく。繋がらないところは引き返して再度挑む。その繰り返し。
大広間に人が集まっている。和風の座敷だ。お酒を飲んでいる。かなり大きい部屋だが人と人は離れている。僕はとても退屈している。座敷を出たいと思っている。そしてトイレにたつ。外でも宴会が開かれていて、こちらはぎっしりすし詰めの状態。そこをぬってトイレをさがす。顔見知りに会う。親しく話をしている。宴会はまだ続く。
夢の中でかつてみた夢を思い出すことがときどきある。このシーンはまえにも夢で見た、と夢の中で感じることも。この夢もそのひとつ。
親戚らしき人たちが集まってウチの前の海岸でバーベキューかなにかしているところ(なぜか海岸にコタツを持ち込んでいた)、みるみる潮がひいていく。遠くに黒い壁のような屹立した影がみえる。
津波がきた。最初はさほど大きくなかったのだが、どんどん海水があふれてきたので、加茂神社にコタツをかかえて避難した。
だれかたりない。12人いたはず。
じいちゃんがいない。
あちこち探したけど見つからない。大丈夫、どこかに避難してるやろ。と、みんなあまり心配してない。頑強な祖父だったから。
その後いろいろあって、数日後、祖父がクジラに乗って帰ってきた。白いヒトになっていた。なぜか食卓にクジラのフライがならべてあった。お祝いだったか、あるいは誰かの供養だったか。どこかの旅館だったか。宴会だったか。
祖父に聞いて見ると、津波にのまれて日出(となりのとなりまち)まで流されたらしい。
この夢は脈絡なく延々続くのだが、(死んだ)じいちゃんと久々に会話した。
「大丈夫?」
「いまいちだ」
でもじいちゃんは少し涙ぐんでいて、それでもなんとなく嬉しそうだった。からだが思ったより大きくて、白かった。白い毛の生えた猿のようだった。神様的でもあり、それにしては悲しみに満ちていた。
僕が中一のとき昭和51年に亡くなったので、生きていれば122歳の松岡武造さん。明治32年生まれ。
夢日記 「愚者」第十八夜
友人の二宮さんと夜遅くまで出かけていて、深夜家に帰り着いた。僕はどこかで海老天丼のお弁当を買って来ていて、帰宅して食べるつもりだったが、そのまま寝た。なぜか寝る前に天丼の海老2尾だけを別皿に取り分けて、台所に置いておいた。
朝起きて、元妻と娘が台所にいる。日常的な会話をしているうちに、ふと気がつくと流しに海老の尻尾を発見。二人が食べたらしい。なぜ勝手に食べる? 声をかけてくれたらよかったのに、と。二宮さんも起き出して来て苦笑い。だまって食べるなんて、ひどくない?
夢日記 「愚者」第十九夜
どこかにプレゼンに行こうとしている。
地下の駐車場で待機中。大きなワゴンで僕は後部シートで布団をしいて寝ている。まだ時間がある。一緒にプレゼンに参加するらしい知人Kが乗り込んで来る。そのKと僕は個人的な問題で関係が悪化しているはずだが、僕は愛想よく応対している。それどころじゃないのだろう。まだ時間がある。もう少し眠りたい。
なにかの関所、門、ゲート、入口がある。そこに入る前に選ばなければならないようだ。
三つの豆。すりーびーんず、three beans。小(8mm)、中(16mm)、大(32mm)。どれかの豆を選ぶらしい。
誰かの名前を呼んだ気がするが、僕はたぶん読み間違った。
「ひかりのあゆみ」まちがったけど、そちらが正しいことを知る。
夢日記 「愚者」第二十夜
その日は会社でリモートの打ち合わせ。お客さんも来ていてとてもあわただしい。
部屋にはディスプレイがたくさんあって、派手な映像を流しつづける。音楽も大音量で響いている。待っていた電話がかかって来た。と思ったら父親からだった。
施設にいる父から電話がかかってくることは普段はないので、何事かと身構える。 電話口の父はとても明るく機嫌がよい。仕事はうまくいってるか?など聞いて来るので適当に相手をする。そして「じつはな、よーく聞いてくれ、、、」とあらたまって切り出す。こちらは身構えて聞き耳を立てているのだが、その先が無い。まったく無音。
夢日記 「愚者」第二十一夜
黒い大きな犬。
シェパードのような、もしかしたら狼かもしれない、とにかく大きな黒犬と、黒毛の小ぶりな馬に乗った黒衣の人がぬっと現れて、玄関のガラス越しにこちらをのぞいている。
顔はよく見えない。カパッカパッという馬の蹄の音だけが聞こえてくる。部屋の中にいた僕は彼らの圧倒的な存在感とこの異様な光景に驚く。
黒犬はたしかにこっちを見ている。玄関の前にたたずんで、あきらかに僕を訪問して来たようである。今にもドアを叩きそう。そこで目がさめる。鮮やかな夢だった。余韻が残る。
いちど起きてその夢を書き留め、その訪問者の光景に振動数をあわせるように、再び眠る。いつのまにか誰かと電話で話している。知人のようである。相手は公衆電話のようだ。内容はとりとめのない話。わりと長い時間話していたようだ。
昨日の電話は父からで。今日も誰かと電話している。数日前に話したように、よく考えてみれば夢の中の電話のコールで目が醒めることが多い。電話のコールだけでなく、ドアをノックする音。ドアベルのピンポーンという音。あきらかに真夜中で人が来るはずもない時間帯に、ピンポーンという音を聞いて、起き上がって玄関口まで確かめに行ったこともたびたびです。
あ、今思い出したけど。昨日は枕元で人が歩く気配も感じました。登山靴のような重々しいゴム底の靴がフローリングをひっかくような足音。ぜんぜん怖くはなくて、重量感のある気配をかんじながらそのまま寝入りました。1,2,3,4,5歩くらいかな。
夢日記 「愚者」第二十二夜
空港までの道路を散歩している。
4車線の広い道に灰色の動物らしきものが塊となって点在している。最初に目に入ったのは恐竜だ。首長竜。首の長さが3m以上ありそうだ。10頭以上いるがほとんどは動かなくなっている。おそらく死んでいるんだろう。小山のようになっている。こどもの竜も死んでいる。母竜らしき個体が首をかかげて鳴いている。聞いたことがないくらい悲しい鳴き声だ。
離れたところにはトリケラトプスの集団もいる。それぞれ種ごとに固まっている。
象やサイの集団もいる。
みな同じようにほとんど死んでいる。すべてが灰色だ。犬や猫の集団もいる。側溝には黒い小さな昆虫が蠢いている。カブトムシか、フンコロガシか?密集してうごめいている。
向こうから誰か歩いて来る。弟だ。ステッキをついて足を引きずっている。痛そうだ。向こうも気づいたようだがお互いに知らないふりをしている。僕は空港に向かう。横断歩道を渡ろうとすると僕も足を引きずっているのに気がつく。でもそれほど痛く無い。信号が変わりそうだ。僕は急いで小走りになる。
夢日記 「愚者」第二十三夜
香港だか、マカオだか、上海だか、中国に国際展示会に行く。作品展示のほかに自分の講演会もある。シーンは国内の準備段階から始まり、チーム内で打ち合わせをしている。全然見知らぬメンバーだ。飛行機で現地に入る。テーマパークのようなところだ。かなり広い。作品展示の準備をそれぞれに行うが、僕はあまり気乗りしていない。出品作品も適当だ。でも、まいっかという感じでやりすごす。
そもそも集団行動が苦手なので、ちょくちょく単身抜け出しては街を徘徊する。チーム内もギクシャクしているようで、ちょっと聞いてくださいよー、という感じで僕に相談にくる女の子もいる。
他の人の講演を聞いたり、ディスカッションしたり。でもどうにも座りが悪い、というか落ち着かない。僕の本番は明日の最終日の講演会だ。16時の飛行機に乗らなければならないのだが、間に合うかな?と心配している。お昼ご飯を食べに行こう、ということになって電車で二駅くらいのところに出かけようとする。僕は勝手がわからないので、女の子が切符を買ってくれたりして、助けてくれる。
街を歩き回っているとき、気がついたらズボンをはいていない。他は全て身につけているのに、下半身はパンイチの状態だ。困ったなと思いながらもそれほど気にせず、行動している。最終的には展示会場で自分のズボンを見つけるのだが。
またもや電話が鳴る。電話を取って耳に当てる。「もしもし」と応える。手の中から電話が消える。目が醒める。
この夢の中のシーンなのか、どうかわからない。同じメンバーがいたような気もする。最初女の人が登場する。黒く長い髪の白い顔の女性。その人が話している。漢字が見えるのだが、集中して読み取ろうとするのだがわからない。意味はサクリファイス、生贄、供儀のような意味らしい。とても怖い。終始おどろおどろしい。その女の人は死んでしまうことになるのだが、その人の兄が登場する。それはメンバーがいたときのディスカッションのなかだ。その兄の目は妹そっくりで、とても不気味な、不穏な雰囲気が伝わって来る。
夢日記 「愚者」第二十四夜
仕事が終わり一人で、初めて訪れる喫茶店に入る。ビルの何階かにあるらしい。狭い喫茶店。でもほどほどに混んでいる。向こう側の席には中年のご婦人方が賑やかにしゃべっている。僕はコーヒーを注文し、ひとり本を読んでいた。カウンターのなかには上品な老婦人がいて、他にお手伝いらしき中年の女性がホールとレジ周りで忙しくしている。
賑やかなご婦人方が会計をした様子で、僕もそろそろかなと思ってレジに立つ。 「ちょっと待ってくださいね」とレジの中年の婦人に言われて、出口近くの座席に再び腰掛けて待つ。となりに一人で座っている中年の男性と二言三言会話を交わす。
会計が終わって請求を見たとき、いやに高いので、これ間違っていませんか?とたずねる。よく見ると4人客の伝票だったので、お店の人も恐縮している。正しい伝票はコーヒー1杯386円だったので1000円を出したと思う。
「お客さん上に行かれます?」と聞かれ、なんのことかわからずにいると、「5階の8番ね」と言われた。「行けばすぐわかります」と言う。
おつりは結局もらわなかったので、何かの手数料だと思った。喫茶店の階から5階に移動したら、エレベーターがずらっと並んでいて番号が付いている。なるほど、と思いながら8番のエレベーターの前に立つ。あ、これは天国に行くエレベーターだなとその瞬間思った。
夢日記 「愚者」第二十五夜
死の床についた父が僕に対してとても怒っている。僕がかげで父の悪口を言っている。バカにしている。こんどバカにしたら殺してやる。と、介護する(今は亡き)母とおばさんに罵詈雑言を吐き続けている。おばさんは父の手を握り、しきりになだめている。「そんなことあるわけないやん」とみかねて僕も枕元に近寄って父の手を握り、直接父の言い分を聞いてやる。「どうしたん?」「何が問題なんだ?」と。
夢日記 「愚者」第二十六夜
クラスメイト同士でバトルロイヤル。入り乱れて殺し合いをしている。
満月のせいかな、生の感情が溢れて止まらない。だとしてもこんな直接的に影響を受けることはこれまでなかった気がする。
夢日記 「愚者」第二十七夜
とても日常的な雰囲気でだれかと会話している。
言葉にしづらい状況なのですが、図にするとこのような感じ。自分を中心に渦を巻いていて、それは流れている。話している相手も同じような状況で違和感はない。感情もとくに動かず、この状態がずっとつづく、平凡な、平穏な日常的な会話がつづく。何をはなしているかは覚えていない。
夢日記 「愚者」第二十八夜
どこかのイベント会場にいる。友人たちも一緒だ。誰かにもらったお土産やらなにやらで、荷物が多くて動きが取れない。僕は寄席のような小劇場にいる。隣には帽子をかぶった女性が座って、幕が上がるのを待っている。
友人が僕を呼びにきて、劇場を出なければならない。とりあえず荷物を席に残して劇場の外に出る。「後から行くから」と、友人を先に行かせて、再び劇場に戻る。
自分の席を見たら荷物が消えている。ふと舞台を見たら隣に座っていた女性が舞台の前に陣取って、僕の荷物をほどいてシートのう上に並べている。「チョットすみません、僕の荷物ではないですか?」
女性「ああ、こちらにあります、どうぞ。他の皆さんも食べてください!」さっき僕が貰ったお土産は、僕も知らなかったのだけど「柿の種」だったらしい。それを勝手に広げて劇場のお客さんに振る舞っている。僕も荷物が邪魔だったので、お土産をくれた相手には悪いけど、身軽になって良かったと、「どうぞ皆さん遠慮なく食べてください!」と声をかける。
その女性が言う「その柿の種、6万円もするんですよ」。僕は驚く。なるほど、立派な箱に入った大量の柿の種。粒も大きい。
まだ幕が上がらないので、女性と僕は舞台に上がって、大道具を組み立てたりしている。女性が組み立てるのを僕が手伝う格好だ。なかなか息が合っている。出来上がったのは宇宙船の模型だった。
端的に象徴されている夢のような気がします。荷物が重くてかさばって、でももらったものだから置いていくわけにいかないし。と思っているところに勝手に荷物を解いてくれた隣人がいて、非常識だと感じつつも、自分はとても身軽になって、さらに他の人にもおすそ分けができていい気分。ついにはその非常識な人と共同作業で宇宙船を組み立てる。組み立てているときはギターのような弦楽器かなと思っていたのですが、できあがったらシャトルシップだった。それにしても、その柿の種はふっくらしていてとても美味しそうでした。
夢日記 「愚者」第二十九夜
友人のHさんのイタリアンレストランに行く。別の友人と一緒だ。レストランは高層ビルのなかにあって窓から見える夜景がとても綺麗。僕たちは窓側から入ろうとするが、すでに満席である。かなり高層階になるのだが、僕たちは命がけで窓枠を伝いながら、他のお客さんに「すいません、通してください」とテーブルに足をかけながら店内にたどり着く。お客さんもにこやかに僕たちを歓迎してくれる。とても善良な人たち。「すごいね、満員じゃない?」とオーナーに声をかける。「いつもは暇なんだけどねー、今日はたいへん」僕たちは奥の広々としたラウンジのテーブルで一休み。
Hさんの奥さんと会話する。奥さん「このあいだの服、気に入っているんだけどサイズが合わなくて」僕「気に入ってるんだったら、サイズ直してもらえばいいじゃない」
おそらく同じレストランに行こうとしている。娘を迎えに行く。彼女は勉強中だったが「休憩しようよ」と連れ出してタクシーに乗る。5分もかからずビルの前に到着。500円わたす。タクシーの運転手さんが困った顔をして「ちょっと距離が足りない、もう少し動かしていいか?」メーターがほとんど動いていないのだ。10mくらい移動してやっとメーターがあがる。初乗り料金は108円。「おつりはいいよ」
学校らしき場所で講義を受けている。休憩しようと、友人の建築家のSさんと連れ立って、校舎の階段を下って裏庭に出る。裏庭には桜の木があって、桜吹雪が舞っている。桜の木は光り輝いていて、天井に向かって光の柱が立っている。
散歩しながら「鉄人」に出会う。褐色の肌でたくましい体躯。彼は裏庭を走り回っている。駆けたり、転んだり。全身傷だらけだ。彼は泥水の中に入って傷を癒しながら、また走って行く。
怪物を乗り物に使ったアトラクションをしようとする男にあった。試乗させてくれたのだが、途中事故が起こる。怪物は網に引っかかって転び、乗っていた人たちは崖の下に振り落とされる。かれらはそれぞれに崖を登ろうとしている。そのなかにアザラシの親子がいて。親アザラシは子アザラシを抱えながら、ゆっくり崖を登っている。アザラシがどうやって崖を登るのか不可解だったが、それでも着実に登っている。
ドアをあけると目前の青空に虹があざやかに立ち上がっている。最初は立ち上がりの半分くらいだった虹がだんだんと足を伸ばしていって着地する。きれいなアーチ。
夢日記 「愚者」第三十夜
リンゴを齧りながら(リンゴはなんだか弾力があって噛みにくい、ゴムのようだ)坂道をのぼっている、辻立ちしているお坊さんがいる。もしかしたら知り合いかもしれないと思い、正面に立って顔をのぞく。全然別人だった。青い目だ。もうひとり青い目の相棒と土産物を売っている。そうそうに切り上げてここを離れなければ、と思う。
自宅のキッチン。塩、胡椒、醤油、七味などなど調味料一式が消えている。たしか自分で隠したのだったが、思い出せない。
リビングの床に名刺入れやキー、サイフ、もろもろ身の回りのものが散らばっている。
朝方、玄関の呼び出しベル
夢日記 「愚者」第三十二夜
タロットカードを見ていたら夢に出て来た。
まず目についたのが、土饅頭のようなかたち。たぶんペンンタクルスのエース。それとそれを切り裂こうとするソードのエース。それぞれ10を超えるカードが対になっていて、いやむしろ10を超えてますます大きくなっていく。この大きくなっていくカードとエースが対消滅するイメージ。その平行した連続。両サイドにもカードの存在を感じるのだが、はっきり見えるのはこの二組だけだ。
夢日記 「愚者」第三十三夜
高級ホテルのパーティー会場、正装の男女が沢山いる。ひとつの集団が出口に向かって移動している。僕もその中にいる。若い白服のボーイが大きなワゴンを押しながら案内してくれる。通路ギリギリをけっこうなスピードで走り抜ける。壁の装飾品を壊さないか、僕はヒヤヒヤしながら後ろからついていく。
終点にたどり着くが出口が見当たらない。厨房への入り口があるだけだ。僕が代表して厨房にいた女性に聞いてみる。出口を探してるんだけど? 漢字が読めないのでわからない、と応える。
厨房の中に入ってみると一番奥に黒い扉の大きな業務用エレベーターがあった。その横の壁にはシンプルな黒いボタンがあった。上向きと下向きのボタンだ。確かに中文で書かれている。西洋人だからわからないのだ。このボタンを押したら下に行けます。と僕は皆に説明する。とても長く深いエレベーターだ。着地するまで時間がかかるだろう。皆はとても感謝して僕に親切にしてくれる。安心して別の会場へと移動する。
夢日記 「愚者」第三十四夜
濃いグレーの人々が座っている。何かの集会か?
みんな静かだ。目が見えているかもわからない。顔もよく見えない。
呼ばれるのを待っているようでもある。
僕はだんだん回転していき、ほぼ逆さ状態になる。浮いてるんだな、と感じる。
周りの濃いグレーの人々は気にかけてもいない様子。こちらが見えてないのかもしれないな。
夢日記 「愚者」第三十五夜
おそらく北関東のどこかの田舎町。田んぼと畑と低い山に囲まれたのどかな田園風景。私は先輩のカメラマンと一緒に取材旅行をしている。カメラマンの助手なのか、ライターとして参加しているのか、私の役割は定かではないがどちらにせよ大した仕事ではない。
街では案内してくれる人がいるらしく、カメラマンは電話でやり取りをしている。
「メアリーOOOカフェ」を知っていますか?
電話口の女の人はそう尋ねたが、私たちは知らない。その街では誰でも知っているお店のようだ。あとで知ることになるが、その店は大通りの辻にあり、深い真紅の看板に剥げかかった金文字で「メアリーOOO」と描いてある。かなり古くからある店のようだ。
その案内をしてくれる女性の家に立ち寄った。そこで不思議な少年に会う。少年といっても子供ではなくて、少年と青年の中間ぐらいの印象だ。名前があったのだが、はっきり覚ていない。「ヒロ」あるいは「ヨシロー」だったか。とりあえずそのヒロくんを紹介され行動を共にする。
皆の紹介によるとヒロくんは「2度目のセカンドインパクトのときに死んで、そのとき世界は消滅したのだそうだ。今この世界(まち)は世界が消滅した後の世界」なのだそうである。皆んなはヒロくんを守ろうとしたのだが、ヒロくんは自分から仕掛けて対抗勢力とともに対消滅したようなことを話していた。私たちはそうなんだー、と納得した。
部屋の中には案内してくれている女性の家族とおぼしき人たちがいる。ヒロくんと同年代らしき黒いセータの女の子もいて、ヒロくんとは仲が良さそうだ。しばらく雑談していると、ヒロくんが突然きれ始めた。なにかとても不満があるようだが、言っていることがよくわからない。他のみんなはヒロくんのそんな状態がめずらしいことではないような印象だ。
それから家を出て繁華街に出かけるのだが、歩きながら私は先輩カメラマンに尋ねた「ヒロくんはどこか病気なんですか?」
先輩「そうじゃない。ヒロくんにはとても好きな人が遠くにいて、彼は彼女にどう接していいかわからずこの世界でいま練習しているのだ」という。
そうなんだ、と私は納得する。
アーケイド街を歩きながら、知り合いを見かける。いい店があるからと紹介される。
その店はパブのようなところで丸テーブルのひとつに先輩カメラマンと私とヒロくんで座る。まわりの客たちもヒロくんのことをよく知っているようだ。
そのうち誰かがカラオケの曲をいれる。ヒロくんがそわそわする。その曲はヒロくんがかつてヒットさせた曲だったようだ。まわりの客もはやし立てる。ヒロくんはいたたまれなくなって席を立とうとする。そのときにカウンターの奥の厨房からその店の主人とおぼしき人が出てきて、マイクをとった。
そのマスターは天井に頭がとどきそうなくらい大きい。はっきり言って巨人だ。体の割に頭は小さくて金髪と銀髪の中間くらいの色の髪を後ろで括っている。サングラスをして、耳にピアス。皮のベストとパンツ姿。いかにもロッカーらしい。私はそのとき「大天使だ」と思った。マスターで、ロッカーで、大天使の彼が歌い始めた。曲は日本の古い世代のフォークソングのような単調なな優しいメロディーだったが、大天使はブルージーに歌っている。とても憂いのあるいい声だ。皆聞き入っている。すぐにマスターはカーテンの奥に引っ込むのだが、歌はそのまま聞こえている。ヒロくんもおとなしく自分の曲を聴いている。
ふたたび案内人の家に戻る。あっというまに時間は過ぎて、そろそろ帰らなければと時間を見たら午後5時。もう終電がないそうだ。
家の人は泊まっていけというけれど、私は翌日仕事があるので「困ったなー、どうやって帰ろうか」と心配になる。そういえばここに来るときは車で来たはずなのに車がない。車がある場所まで8時間かかるそうだ。
しかたなく、家に留まっていると案内人の旦那さんが帰ってくる。旦那さんの留守中にあがりこんで長居をしているので私たちも恐縮して、玄関口に行って旦那さんに挨拶する。なぜか旦那さんも恐縮して私たちに気を使ってふたたび外に出ようとする。持って帰って来た日本酒を置いて出て行く。
この家にはいろんな人が出入りしている。その人たちとソファで雑談しているうちにいつの間にか私は眠ってしまったようだ。ふと目覚めて案内人の女性と眼が合う。女性はなんとなくバツがわるそうだ。となりには黒いセーターの娘さんがいる。しばらく娘さんと話し込んで、私は急に「帰らなきゃ」と思い立って支度をする。「新幹線ならあるよ」と誰かが教えてくれる。「次の信号を左に曲がったところに駅があるから」
そしてようやくカメラマンと二人、帰路につく。
夢日記 「愚者」第三十五夜
女性がいた。何人かで会話をしている。僕は少し離れて階段に座っている。その女性は僕に近寄ってきて階段を登る。僕を上から見下ろす。スカートの中が見えそうなかなくらい、真上に顔がある。彼女は僕の左隣に座ろうとしているようだ。僕は体を少し右側にずらして場所をつくる。彼女は僕の一段上に腰掛け、横になる。僕も一緒に横になりお互いの手を握る。
長距離バスが走っている。僕はその横を並走しているようだ。窓からAが顔を出す。とても眠そうだ。窮屈な空間のなか寝返りをうとうとしているようにみえる。Tシャツの胸元がはだけて豊かな乳房が見える。「おい、おまえ何を出しているんだ」と僕は笑ってAに声をかける。彼女はやっと僕に気がついたらしく、そして僕が言った意味を理解したらしく、苦笑いする。とても親しい間柄のようだ。
広い草原のような場所にいる。気持ちのいい風が吹いている。風がわたる。草がゆれる。草原には多くの男女がいるようだ。みな白いフワフワした衣を着ている。
とつぜん僕の前で衝撃が起こる。何かの攻撃か?と僕はとっさに後方に身をかわす。
その拍子に僕はすーっと浮くように10Mくらい後方に滑っていった。
「あれっ、今確かに浮いたな」と思っていたら、そのまま上昇し始めた。最初は1Mくらい浮いた。そのうち前後左右にも動けるようになった。まわりもざわざわしはじめた。
「ちょっと、あの人浮いてるわよ」まわりも注目しはじめた。
僕はそれどころでなく、風に流されそうになるのを懸命にコントロールしている。だんだんコツがつかめてくる。上昇したり下降したり。10Mくらい上がれるようになった。ときどき地面に着地するのだけれど、つま先がやっと着くくらい。体重をほとんど感じない。楽しくなって来た。でもあまり高く上がりすぎると風に流されそうで怖い。そして僕も白いフワフワした服を着ていた。
夢日記 「愚者」第三十六夜
あるチーム、組織、集団の名前らしい。00という漢字。偏と旁で一文字。
説明ではもともと弱いという意味の漢字の左右、偏と旁を入れ替えることによって強いという意味に変換したという。左側の偏のほうはなんとなく形の残像があるのだが、右側の旁は夢の中でもよく見えなかった。
今日のこの夢も起きた時には全く出てこなくて、背骨の掃除をしてから再び横になって睡眠に入ろうとした時に少しずつよみがえって来た。
まず最初にパセリだかブロッコリーだかのイメージがでてきて、なんだろう?と思っていたらそれが木のイメージに繋がった。なるほどなー、パセリで木か、と感心した。それは崖に生えている松の木だ。しかもそれは模型だった。最初その模型は布におおわれていて、それを片側半分取り払うと崖から張り出した形のいい松の木が数本生えている。模型の左側は見えない。
崖に生えた松は確かに強そうだ。0愚者が立つ崖にも見える。漢字の残像から辞典で一番近いものを選んで、それに木をあわせると「牀」という文字になる。これは寝床ベッドのこと。
夢日記 「愚者」第三十七夜
テーマパークのようなところで高校の同級生で歌手の友人Kに会った。Kは自転車を押して歩いている。一緒にプールに行こうということになった。一つめの広いプールはコロナのため閉鎖していた。もう一つ別のプールがある。入口が茶室のにじり口のようになっていて、とても狭い。違和感を感じるのだがそれでも中に入ってみる。
子供ばかりだ。子供たちはみなとても穏やかだ。僕を案内してくれようとする。僕が苦労していると無言でドアを開けてくれた。通路がチューブ状になっていて上下に曲がりくねっている。人がやっと通れるくらい。この先にプールがあるのだろうと通路を進んでいるうちに僕は身動きできなくなった。しまった、閉じ込められた。怖くなって目がさめる。
夢日記 「愚者」第三十八夜
母がいる。弟もいる。母は布団を敷こうとしている。うまく敷けない。僕は目が覚める。
母は買い物に出かけるという。僕は車で送るよという。母は近いから歩いていくと、出ていく。気をつけて。
夜中の間に僕はブロックを積み上げて大きなカマドを作った。そしてカマドに火を入れる。朝目覚めたときにカマドのことはすっかり忘れていて、火を見て思い出す。火は朝まで消えずにずっと燃えていた。そういえば昨日は酔っ払ってブロックを積んだんだった、とその時はじめて思い出す。カマドは火に焼けて黒々としている。よく一夜でこんな大きなものを作ったな。夜中にそんなことをするなんてと、母が咎めるような口ぶりで言う。
大学の講義室に人がすし詰め状態、ぎっしり満席だ。僕は一番後ろの席について友人と話をしている。そのうち講義が終わり、みなが退席し始める。押し出されるように、講義室から出ていく。
エレベーターが二つある。一つはペントハウスに向かう3階分の上り。もう一つは下に向かう8階分。下りのエレベーターの扉が開いたので入っていくと、その部屋はトイレだった。かなり広い。まちがえたかな、と思って出て行こうとするとドアが閉まる。カバンがドアに挟まれた。誰かがこれはトイレのエレベーターだよ、と言う。そのまま部屋ごと沈み始めた。なるほどな、動くトイレだなと思った。
一階に降りる。見慣れたキャンパスの風景。一人歩いていると。知り合いの女性に会う。「久しぶりです」その女性が声をかけてくる。女性ばかり4,5人の集団でゴシック系のバンドのような風貌だ。大きなワゴンを押している。その女性は僕のことをよく知っているようだったが、僕はよく思い出せない。見覚えはあるのだが。「どうしてた」と彼女と近況を話している。彼女は僕に手を出せという。彼女は僕の右手をとって、二の腕の内側に唾液をたらす。蝋のような白い液体だ。
よく見ると彼女の口元から蝶の口吻のようなものがのぞいている。僕はわけがわらず、彼女も説明しない。でもなにかいいことを施してくれた感じがする。ありがとう。そのあと同じグループのメンバーの黒い肌の女の子と話す。彼女はそのリーダーらしい女性のことをとても尊敬しているらしく、いかに彼女がすばらしいかを力説している。話しているうちにその女の子の顔が変形していき、ねじれた仮面のようになる。ピカソの肖像画のような。顔がとても近い。でも不快ではない、醜くもない。
そしてまた歩いていると中年の男の人に声をかけらる。僕のことを知っているという。僕は記憶がない。どこかでおこなわれた僕の講演会を聞いたことがあるそうだ。別れ際、名刺を渡そうとするが見つからない。たしかに名刺入れに自分の名刺が若干残っていたはずなのだが、いろいろ書き込んだ付箋を貼った他人の名刺ばかりでてくる。あれっ確かにあるはずなのにと、僕はしつこく探している。
夢日記 「愚者」第三十九夜
懐かしい街の懐かしいお店に娘と訪れる。そのお店は山の上にある。
最初は娘も一緒にエクソサイズのようなことをやっていた。トレーニングかな。
それもひととおり終了してみな帰っていく。そのなかに僕の知っている人もいるはずなのだ。帰りに誰かが一人ひとりの名前を読み上げるので、僕はその名前に注意している。
アダチ、という名前だ。名前が聞こえた時にはもうすでにアダチさんの姿は消えていた。
キタノが車で迎えに来たのだ。タカムラさんが言うにはキタノはアダチにはまっていないそうだ、つまり心が離れているってことらしい。そしてキタノは最近小説を書いているそうだ。それはいいことだ、と僕は言った。50歳を過ぎたら小説を書くものだ。
その後喫茶室で娘と長居をする。気がついたら閉店の午前3時。帰り際僕はトイレに立ち寄り、娘は車で先に帰っていった。二人は別々の車で来ていたのだ。
午前3時、駐車場に停めた車を出そうとしている。駐車場と道路の間に段差があってうまく車を出せないでいると、車は突如変身して大きなトラになった。
喰われるかも知れない。一瞬恐怖がよぎったが、そのトラは僕に自分の背にまたがれと言う。僕は素直にトラの背にまたがりトラは段差をふわっと飛び降りてそのまま走り出す。麓にある街まで駆け下りる。
走りながら僕はトラの身の上話を聞いてやる。トラには将来の夢がある。トラはふもとの街で起業したいのだそうだ。IT企業のようなものを。どうやらその街ではいまITで起業するのが流行っているらしい。そういう夢を持った人たちが集まる街らしい。実際に街に行ってみると、たしかに賑やかなのだが、僕にはその街自体が模造品のように思えてならない。「やめておけよ」とも言えずに僕はただただトラの将来の夢を聞いている。哀しきトラの夢。
夢日記 「愚者」第四十夜
最初は知人と一緒に入ったレストランで皿の上にのせられて「それ」は出された。それは全体が白くて輪郭だけの「図形」だった。 キノコだそうである。キノコにはとても見えないのだがそう言われて納得する、納得したふりをする。しかし僕はそれを食べなかった。物質ではなくてただの輪郭だったから。最初に目が覚めた時に思い出したのが「1魔術師」のカードのテーブルの向かって右端にある物体に似ていると思った。これはなんだろう?でもこの図形に色はない。
その後、その図形はゲームのツールになっていろいろな場面で繰り返し出てくる。一回一回をクリアしながらループのようにゲームが続く。
一度目が覚めて「図形」のことをイメージして、あの「図形」は何なのか?ガイドのミッチャンに聞いてみようと再び眠った。今度はそれの詳細が見えた、それの拡大図のような、解説書のようなもので、それは城のように見えた。窓があって煙突のようなものがくっついている。
システムは毎日目覚めるたびに再生産される、というのはマルクスも書いていますね。お金も時間も資本主義も共産主義も毎朝目覚めるたびに我々自身が再生産しているもののように思えます。これは閉じた輪ですね。
夢日記 「愚者」第四十一夜
小高い山に囲まれた湖のほとりに透明な正六面体(立方体)と正八面体でできた建造物がある。誰かが「10分まってくださいね」というのが聞こえる。一つまたひとつと同じ建造物が増殖し始める。
湖の表面が幾何学的に割れていく様子や大きな鳥のイメージが残っているのだけれど、うまく思い出せない。今夜もう一度そこに行ってみようと思います。
夢日記 「愚者」第四十二夜
昨夜の夢に出てきた、「正六面体(立方体)と正八面体でできた建造物」がなんだったのか? 聞いて見た
今度はダイヤ型に並べられたタロットカードがでてきた。すべて伏せられている。さらにカードをひく。1枚目は白。何も書いてない。2枚目も白。もともとカードには何も書いてないのではないかと思いながら次をひくと3枚目は真紅のカード。赤が渦巻くように大半を占めていて、黄色やオレンジや紫が混ざっている。そして大きく「93」と書かれている。
93というカードはタロットにはないはずだ。9+3=12、「12吊られた男」?
あるいは「9隠者」「3女帝」3の系統?
赤は「土」?、ムラダーラチャクラ?、四角のなかに三角の組み合わせ。
夢日記 「愚者」第四十三夜
帰り支度をしている
最初は巨大な小学校の建物にいる。階層が複雑に入り組んでいて、僕はその時、中間くらいの階にいた。「6-12」で誰かに会わなければならない。6は最上階だと僕は知っている。細い階段がたくさんあって、子供達がすべり台で遊んでいる。そのなかを縫って僕は上にうえにと向かう。行き止まりの階段もあって、また別の階段をさがして登る。
シーンが変わって僕たちは大きな商業施設の中に待機している。帰りの便までにはまだ時間がある。思いおもいに時間を潰している。僕たちのグループはバーにいた。
僕は「日本酒が飲みたいな」と言うと、ご婦人がグラスに酒を注いで僕に黙って差し出す。
世界一美味しいお酒だそうだ。飲んで見ると確かにとても美味い。
またシーンが変わって巨大な宇宙船の中。豪華な内装だ。とても広いが人はまばら。その中に知り合いを見つける。彼も手持ち無沙汰にしていて、退屈そうだ。
夢日記 「愚者」第四十四夜
急に思い立って家族とバリ島に行くことになった。
デンパサールの空港についてから自家用車でホテルに向かっている。途中物売りのトラックが止まっていて先に進めない。ブレーキの効きが悪く、前方のトラックの荷台に突っ込んでしまった。荷台からキリンが顔を出す。トラックのドライバーはどこか他所に出払っていたので、僕は崩れた荷台を一人で元に戻そうとしている。
荷台の奥から動物が出てきた。最初キリンの子供かと思いこんでいたが、違う。
頭部は一般的に言われるグレイエイリアンで体は恐竜のようだ。全身灰色で目だけが真っ黒だ。とてもおとなしく、人懐っこく体を寄せてくる。
沿道では女の子たちのチームがパフォーマンスをやっていて、一緒に踊ろうとしきりに誘ってくる。僕たちは先を急ぐのでと断って車を出そうとするが道がふさがっていて先に進めない。
しかたがないので車を降りて近くにあった建物に向かう。そこではガムランの公演をやっているようだ。中には人がたくさんいて、いつのまにか家族とはぐれていた。ガムランかと思っていたらどうやらシェークスピアのマクベスをやっているらしい。あまり面白くもなかったので、家族の姿を探しながら出口に向かう。
出口で靴を探すのだが見つからない。そのうち公演も終わってほとんどの人が出て行くのだが、僕の靴はまだ見つからない。誰かが間違えて履いて行ったのだろう。その時点で僕自身どんな靴を履いて来たのかまったく思い出せない。
車に戻ると、なんだか様子がおかしい。どうやら車上荒らしにあったようだ。ドアが壊されている。
積んでいたカバンも全部鍵が壊されていて中身はすべて盗まれている。僕のショルダーバッグを確かめたら、サイフはあった。中身もそのまま。後部座席でカバンに埋もれて娘が寝ていた。無事だったらしい。強盗にも気づかなかったようだ。
以上のような夢を見たと言うことを僕は誰かに話している。
夢の部分は確かに夢としてみて、その後その夢の記憶を誰かに詳細に語っていると言う夢。最後までは語りきれずに目が覚めた。
夢日記 「愚者」第四十五夜
山を歩いていたらどこかの村に迷い込んでしまった。知らない村。りっぱな木造建築がぎっしりたちならんでいて、ひとつひとつがとても大きい、白壁と黒い瓦葺きの木造建築だ。僕は屋根つたいに移動している。それぞれの建物の屋根には龍の彫刻がちょうど鬼瓦のようにとりついている。焼き物の龍の半身像、魔除けなんだろうな。大きいものは、2mを超えるものもある。その時僕はたぶん空中を飛んでいたようだ。黒々した屋根の連続を僕は大きく飛び移りながら、村を空中で縦断する。下界にもまったく人の気配が感じられない。みなどこか他所に出払っているようだ。
そうして僕は探していた旅館をやっと見つけて玄関に降り立った。
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