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Canon EF16-35mm F2.8L USMのズーム不良を直してみた

キャノンの広角ズームレンズが、ズームリングを回してもズームできなくなってしまいました。
一回中を見てみようと開けたら直せちゃったので、同じ症状の方向けも兼ねてメモしておきます。


事の発端

その時はたまたま人に貸していたのですが、返ってくるとズームが動かず。

使っていたらズームリングが急にスカスカになり、ズームができなくなってしまった。落としてもいないし、それまでは特に調子悪かったわけじゃない

とのことで、年季も入ったものだし寿命かあ~~~と思ってました。

いろいろ触ってみると、

  • ズームリングが、まるで内部機構とのリンクが切れたようにスカスカ

  • 回してもズームできない

  • 振るとカラカラ音がする

  • (それ以外は異常なし)

という状況。

あれ?これもしかして中のネジ外れてんじゃね??

どう考えてもそんな感じがする。バラしてみるか…

その前に!ノリでレンズバラすほ自分を信頼できなかったので、ネジを外さない範囲で見てみました。
ズームリングのラバーを下にずらしてみると、カムの穴みたいなやつが見えました。

この感じ、ここについてた何かが外れて中で転がってそうな感じがする。
ということで、やはりバラすしか無いようなのでやります。

分解

1.マウントの取り外し

マウントに十字状にあるネジを外します(赤丸)。
かなり固めなので、舐めないように気をつけてください。
「押す力:回す力=7:3」の鉄則を忘れないように。

次に、通信端子が固定されている二本のネジを外します。
ネジがここから増えていくので、ある程度、どこに使われていたネジなのか覚えておくようにしましょう。それか写真を撮っておくとか。

2.プラスチック保護部品の取り外し

金属製のマウント部の内側にある、プラスチック製の遮光部品を外します。

ここが一番の難関です。
金属マウントの裏に、ツメを4箇所引っ掛けるようにして固定されていますが、これが接着剤で固定されており、かなり外すのが大変です。
30分以上格闘しました。

まず、一個前のマウントのネジを外した段階で、マウント部分を含めたレンズ下部が動くようになっていると思います。
そのとき引っかかって完全には外れませんが、絶対に無理に外してはダメです。端子へのフレキシブルケーブルが切れます。キャノンレンズはここが切れるとどうにも動かないので気をつけてください。

(これは外したあと)

写真のように、少し浮かせた状態で、赤丸部分にあるツメを見つけてください。ライトを照らすと分かりやすいです。

そのツメの隙間に、精密マイナスドライバーのような柄の細いマイナスを差し込み、テコの要領で外します。

赤い斜線で指した隙間に、ドライバーを突っ込みこじ開ける

うまくいくとその部分のツメが外れます。
その状態でマウント側からコジると外れると思います。

(組み立てたあとに写真見てて気づいたんですが、多分外したときにツメ一本へし折ってますね…今のところ不具合無いからいいや…)

プラパーツが外れると、端子部分のパーツも外れます。
そうするとマウント部分が外せます。

3.フレキコネクタを外す

そーっとマウントを持ち上げると、5箇所のフレキシブルコネクタが見えます。これを外します。

銀色に黒の留め具のコネクタ…黒い留め具部分を、マイナスで左右交互にズリズリと引いてください。引き出しきると、フレキケーブルがリリースされているので抜きましょう。

茶色に白の留め具のコネクタ…黒留め具のコネクタと同じ手順で抜きます。

茶色オンリーのコネクタ…そのまま引っ張ります。

赤丸の部分をメインでズリズリと引いてください。焦ると断線の原因になるのでゆっくりと!

4.基盤を外す

赤丸のネジ2箇所を外します。

基盤と絶縁カバーが上向きに抜けます。

5.レンズ後半外装パーツを外す

赤丸の4箇所のネジを外します。すると、レンズ後半部の外装パーツがまるっと抜けます。

下のフォーカスリングの方を持って引っ張り上げてしまうと、余計なところまで抜けるので、上側だけを持って抜きます。
AF/MFスイッチのフレキは外装側についていくので断線しないように注意。

6.原因を探す

バラした実感が強い

色んな方向から眺めてみると、すぐに原因がわかりました。
ネジとそのセットの金属部品が、明らかに変な場所にあります。

なんでお前そこにいるんだ
お前も

ということで、今回の犯人を捕まえました。

この2セットが、外れてあらぬ場所に行っていたため、ズームリングとの連携がなくなりズーミングが行えなくなっていました。
ということで、これを正しい位置に戻し組み直します。

組み立て

基本的には、分解と逆の手順で組み立てます。

というものの一つ注意が。
先程のネジのペアは、外装パーツを組んだうえで外側からねじ込むものです。分解した時点でそれっぽいネジ穴がありますが我慢してください。
外装パーツより先につけてしまうとおかしなことになります。

外装パーツを戻したら、外れていたネジを付けます。
その時、焦点距離を16mmのところにしておかないと、外装のネジ窓からネジ穴が見えません。
もし16mm位置でないなら、力技ですが後玉ユニットを引っ張ってください。ネジ穴が見えると思います。

この組み合わせでねじ込み固定します。反対側のネジも忘れずに。

ねじ込むとこんな感じ。

あとは、分解と逆の手順をたどればOK。お疲れ様でした。

参考にさせていただいたサイトなど

・あるふぉと!様
 「EF17-40mm F4Lのズーム機構が壊れたので、分解してみた話。」
 焦点距離違いのレンズではありますが、ほぼ手順は同じようです。

・YouTube - 「Disassembling a Canon 16-35mm F2.8 L Lens」
 
リアの分解方法が参考になりました。

YouTubeより。2:08

この方は、私も苦戦したプラスチックの遮光パーツを、裏側のツメを外すアプローチでなく表から!食事用ナイフで!テコの原理で無理やり!外してます。ツメを丁寧に外しても一本へし折ったのに…こうしたらツメ全部折れそう…

・YouTube - 「How to repair Canon lens EF 16-35 F 2.8 L Broken zoom posts( collars)」
 
同じく、リア周りの分解方法が参考になりました。


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