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将星決定戦敗戦記④

皆さんこんにちは。競技マージャンのプロ団体「麻将連合」所属の岩瀨航です。
今回の記事は先日行われた将星決定戦の対局を振り返る備忘録代わりの簡易自戦記④です。
面白おかしく書いてある観戦記とは異なり岩瀨のメモ代わりのものですのでクオリティーはお察しくださいませ。
とりあげた各場面にご意見等頂戴出来ましたら幸いです。お時間がある方はぜひ①②③も合わせてご覧くださいませ。

4回戦むかえてのトータルスコアは以下の通りです。

川崎、梅村、私の中で着順が1番上で松山に17.8差を逆転されなければ優勝です。(同点の場合は決定戦通過順位で上の松山の勝ち)

つまり私がトップor私が2着で松山が9700点以内のトップの場合に優勝。(但し川崎と同点2着は負け)

東1局ドラ五

4巡目ツモ五(ドラ)
混一色はもちろん立直ツモ白ドラでも満貫コースの良い手牌が9巡目に嬉しいツモ⑦で聴牌。立直して九をツモれて2000.4000。

東2局ドラ中

二の矢を打ちたい親番の配牌…。
チャンタ、三色、国士、七対子狙いで打4から。その後のツモと鳴きが噛み合って⑦チー、③チーでカン8のジュンチャン三色聴牌。この2000allが引けたら…なんて考える間も無く川崎がツモ。300.500。

東3局ドラ9
7巡目で七対子の一向聴
10巡目に↓の手牌から1枚目の發をポンして一向聴変わらずだが面子手の一向聴へ。

ここでの判断はどうだったろうか。

A.ポンする
B.ポンしない

Aを選んでポンした場合の打牌は
C.打2or3で両面両面の完全一向聴
D.打7で対々和の一向聴

満貫ツモ分リードをしているとはいえ全く安心できる点数ではない。ドラも受け入れられるし守備的な意味でも安心なのでA(そもそもポンしない)を選ぶこともできる。

B(ポンする)の場合であってもより打点意識を強くして対々和を狙うこともできる。対々和を狙ったうえでツモ14での両面待ちは採用する2段構えにすることもできる。

梅村の3巡目ドラ9手出し(早そう)や親松山の86カンチャン手出し(手牌整っていそう)と早い巡目から煮詰まり始めている気はしていたのもあいまって攻めるにも守るにも中途半端な選択だったような気がしてしまったが剛さんはじめ複数名の先輩から「10巡目ならややポン。」「とりあえずポンするがむずい」「岩瀨は鳴け」等々とのことでしたので鳴いて良さそうでした。
私は早さを合わせて他家のあがりを阻止することに重きをおいて打2でドラも受け入れられる一向聴変わらずのポン。
結果は9をツモって改心の700.1300。
その時点では選んだ選択が最高の結果だっただけにツモにも力が入って縦回転していました。(気が付いてくれたDさん、Sさんありがとう)

東4局ドラ七
親梅村が11巡目に立直。
これに対して南家川崎が③、4と無筋を捨てていく。梅村は立直の時点で両面で9/18通っているので③だけならまだ「川崎も聴牌かー」くらいの感覚だったが次の4は2/8。さすがに手牌が高得点でなければ押すような牌ではない。私に見えないノーチャンスがあるのやもしれないがそれでもベタオリで出てくるような牌ではないので警戒度合いが高まる。その後川崎は1切れ西、初牌中をツモっ切って押した後16巡目にに少考して手出しでゲンブツの⑧。ダウト。
全くオリたように見えなかったので川崎の海底をずらすチーをしておく。川崎が捨てた中を松山はポンせず手出しで2つ捨ててきた(=親立直にとんでもなく押している川崎の海底を消しツモ番を1回減らしていない)ので、中以外に2人に対する安全牌がない可能性もあるため消したりずらしたりするのは期待が出来ないからである。(今通ったからの安全度重視の可能性も勿論あるが。)なにはともあれこの局は流局。

東4局その2ドラ三
川崎マジックが発動する。

この手牌が

こうなって梅村から3900点+供託1000点の収入となる。川崎は→⑧ポン打⑤→8ポン打⑦→八ポン打⑨で順子をぶっ壊して三色同刻を作っている。これを岩瀨目線で仕掛けはじめた牌姿に戻すと

八八⑤⑦⑧⑧⑨88+ABCDなのだが

a.対々和シャンポン待ちの場合
八八⑤⑦⑧⑧⑨88+対子+対子

→七対子の一向聴から高め三色同刻の対々和のために⑧ポンしたのか?しないよね?

加えて川崎は八ポンで4cmになった後に手牌の右側の2枚を入れ換えていたので実際に対局していた際には「対々和でシャンポン待ちなら並びを入れ換える必要ないから対々和ついてないんじゃないの?」なんて考えておりました。

b.対々和が暗刻+単騎待ちの場合

八八⑤⑦⑧⑧⑨88+暗刻+単騎

仕掛けはじめる直前の手出しが6なので面子手で立直を目指すなら⑤と6の残し方に違和感がある。(⑤は親のゲンブツで場1、6は初牌)
となると単騎候補は打点でドラの三か?
そうなると仕掛けはじめた牌姿は

三八八⑤⑦⑧⑧⑨88+XXX

となる。ポン出しの筒子の切り巡でタンヤオ三色同刻を狙っていないように見受けられるので3種の8を全て刻子にする&ドラを対子にしてあがる跳満コースを夢見ていることになるがそれなら仕掛ける前から七対子の二向聴なのでこれもなさそう。
となると対々和はなさそうだが、例外はあるので絶対とはいえない。上記のパターンでない場合や私の記憶違いもあるかもしれないし並べ方にしても例外のケースがあるかもしれない。
例えば対々和の暗刻と単騎で単騎を外端におきたくないとかそもそもシャンポン待ちでも鳴きシフトにしていたのを聴牌して並べ直すこともあるかもしれない。
思い込みは良くないが、考えてもその考えが活かせなければ意味はない。
結局のところ私の手牌は川崎に押し返すに見合う価値はないので撤退。
強いていうなら考えたことの答え合わせができるのが放送対局の良いところ。
手牌も思考も同じ。考えを積み重ねては壊すの繰り返し。楽しいね。

南1局ドラ六

親川崎が中ポン打北、次巡手出し六(ドラ)
そこから川崎は全てツモ切り。13巡目に松山から出あがりした⑨は中対々和の7700点。
これで岩瀨川崎の差は1200点。リードはほぼ無くなった。

南1局その2ドラ西

9巡目で私の手牌はドラ2の二向聴

789三色をみるなら打六だが安全度重視で打九。次巡ツモ2打5、12巡目にツモ⑥、七が3見えになったので打八で一向聴も聴牌せず流局。

南2局ドラ八

川崎とは1200点差。
4巡目西家梅村が少考して打②で立直。
6巡目ツモ③もこの手牌ならと一向聴プッシュ。このときはまだ闘えていた。

直後に梅村がツモって700.1300。
これで川崎とは600点差。

南3局ドラ北
13巡目、親松山が立直。
同巡、北家岩瀨聴牌。
この決定戦最大の敗着と多方面からご指導を賜った場面がこちら。

北家なので役なしドラ2の聴牌。
立直をかけた松山は親。
立直を宣言すると供託の1000点で着落ちするが、冷静に考えれば役なしドラ2で立直をかけない場面はほとんどない。
連荘必須の親松山の立直のレンジは広い。
ドラも持っていない。ここでめくり合わないでどこで闘うんだという局面にもかかわらず立直の声が出ず。松山がツモ切る③⑥をあがらないでどうするつもりだったのかとあの瞬間に戻って自分を問い質したいがそれは叶わない。

結果は次巡僥倖ともいえるツモ⑥で1000.2000。この幸運を活かせず、優勝できなかった腕のなさを恥じ、あえて記す。

南4局ドラ2
あがって優勝。
親の第1打の西をポン。
4巡目ツモ8で打⑦。

7巡目に聴牌の後
12巡目にツモ②。
梅村の7巡目、松山の9巡目の①はどちらも手出し。②も③も期待薄ならシャンポンへの待ちかえから索子での変化(5引き戻し)を狙った方が良かったが待ちかえせず。ここも反省点の1つ。
親梅村が粘り流局。

南4局その2ドラ2
再びあがって優勝の条件でこの配牌。
中頼みにはなるが搭子も足りていて悪くない。

問題があるとすれば、13.26では足りない2番手川崎がダブルリーチをかけたこと。
7700以上の出あがりでも優勝、私からなら3900以上でok、ツモって1632以上でも優勝。
中をポンして応戦するもののそこまで。
川崎が⑥をツモって優勝を決めた。

南3局に立直と声を出せていれば南4局は11500点差。川崎に満貫ツモ条件はなく私からの直撃期待のダブルリーチか678or789の平和三色ドラを立直してツモるかになっていたと思われる。

南3局に立直の声が出せていたとしても優勝できなかった可能性はあるが、悔いが残る選択となったことは間違いない。

思い返せばここ数年のツアーランキング戦の対局では以前よりも守備に重きをおいた結果手数が減り、その結果他家のあがりをゆるしたり、加点不足での着落ちが何度もあった。
ツアーランキング戦での松山、雑賀といった打点力がある選手の台頭もあり、そういった選手と打ち合うリスクを避け、勝ちきるマージャンをしてこなかった弊害ともいえるだろうか。

麻将連合11年目最後の対局は敗北で終わった。
振り返ってみるとツアーランキング戦は2年目に準決勝に初進出、以降10年連続の準決勝進出。決定戦は今期で3年連続3度目。μカップを合わせると6度目の公式戦決勝進出も公式戦はいまだ1勝。
今年はBIG1カップで自身初のBEST16まで勝ち上がるも認定プロ3選手を相手に自滅して敗退。
今年のμカップはin東京、in横浜、in湘南が準々決勝敗退。最後の入賞は昨年のin仙台でのBest8。
剛さんに憧れて麻将連合の門を叩いてからはや11年。自分はあとどれくらい頑張れるだろうか。
最近は対局の外でのストレスも酷いが不条理に苦しむのがマージャンの常と半ば諦めかけている。
とりあえず積み上げた積み木を壊しては積むの繰り返しが楽しい内はもう少し頑張ってみようと思っています。どこで積むかはもう少しだけ考えます。
次の機会には今よりもっと大きく積み上げた岩瀨を披露したいと思っています。

当日ご視聴くださった方、応援してくださった方、またこちらの敗戦記を最後までご覧いただいた皆様、ありがとうございました。


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