刺激
この記事は先日行われた某対局の私の感想です。オチもないとりとめもない感想ですので手持ち無沙汰な時間にでもお読み頂けましたら幸いです。
最高位戦日本プロ麻雀協会に所属し、今ではAリーガーとなった友人2人、山崎淑弥選手と牧野伸彦選手が実績ある大先輩達から推薦を受け出場が叶ったとのことで、私は50%の称賛と表現し難い感情50%を胸に2人の幸運を願いつつ対局を見守っておりました。
この記事は観戦記ではなくあくまで私の感想メモでしかない為基本的に友人2人の選択に注目して観ておりますのでその点は悪しからず、予めご了承のうえご覧くださいませ。
予選A卓
この対局は8名で行われ、A卓の4選手、B卓の4選手が各々半荘1回対局を行い上位2名が決勝戦へと進出します。ルールは一発裏ドラ有り、赤ドラは無しです。
東1局ドラ九
4巡目に山崎が立直を宣言。
情報量は少ない。發北手出しの後の3巡目に少考気味に⑦をツモ切り4巡目に七を捨てて立直宣言。
この立直を受けて牧野の選択。
ニニ六②②⑥1366778にツモ②。
解説者は「いきたいですね」と話していたが私は牧野と同様に積極的にはいきたくない。
聴牌する為には2筋にかかる六と⑥を捨てねばならず、それらを押しても聴牌する保証がなく、仮に最速で聴牌したとて一発や裏ドラが無ければ高目2600。待ちが良さそうというような要素は全くない。
2人勝ち上がりの対局の東1局でこの手牌から通っていない牌を何種類も捨てるのはリスクに対して得られるリターンがあまりに少ないのではないだろうか。
牧野は6のワンチャンスの外側8、7、7と捨てて凌ぎ情報が増えるのを待ち、その後は危険牌を捨てることなく15巡目に役無しながら追い付く。
ニニニ六②②②1234566
この時点で通っていない無筋は残り6本、字牌はといえば1切れの白のみ、ドラは通っていて2枚見え、④が4枚見えていてるので234.345.456の三色と筒子の一通はない。
残りツモ2回で打点は1300の手牌ということもあってか立直は選択しなかったが打六とし聴牌をとった。立直をかけるほどではないが、聴牌の価値は高いとみたようだ。
さて私が座っていたらどうしただろうか。聴牌をとる、とらない。とるならどちらでとる。とらないなら何を捨ててまわるか。
考えてみる間もなくこの局は山崎が2000.4000のツモあがり。
東2局ドラ④
牧野が4巡目に一向聴。
一ニ三七八①③⑤⑤⑨123
九のチーテンをとらず(あたりめーだ)、7巡目にカン②待ちで立直。追っかけ立直を選んだ親からロンあがりで5200+1000の加点。
個人的には何巡目の関連牌何枚目まで我慢なのか、他家の手牌進行をどう考えてどこで値段と速度の折り合いをつけるのかの選択を観てみたかったがそれはまた別の機会にお預けとなった。
はからずも応援している2人が幸先の良いスタートをきったことが素直に嬉しかった。
一方で私は自身の体験を思い返してみた。
2020年に同様の対局に出場した際にはあがりがないいわゆる「ヤキトリ」でという状況のまま南4局の自身の親まですすみ、みストレスで再び胃に穴が開くのではないかと思う程穏やかではない経験をしたので対局開始から所作も落ち着いている2人の姿を観て全くもってえらい違いだなと自虐的に苦笑していた。
東3局ドラ發
山崎、牧野ともに仕掛ける。
ラス目も一手変わりの対々和をメインに仕掛け三者聴牌となるが山崎が1000点のロンあがりで局を消化する。
この局は特に山崎の仕掛けを見て思うところがあった。ドラの發を1枚抱え、守備力もドラが複数枚使えないと打点もなく聴牌も遠いが仕掛けていく。大きな舞台であればあるほど、普段通りに打つのは難しいもの。最近特に日より気味の私が山崎の席に座っていたらポンの声が出せただろうか。以前は良いか悪いかは別として自信を持って鳴いていたが、今は自信がない。
中身でいえば親牧野が捨てた3に合わせてやめたよう見えたり、スライドで自身の待ち69(親牧野の役が断么九なので特に9)が捨てられやすくなるのを期待して3のカラギリをするか否か、しなかったのは手牌構成が透けるのを嫌ったのかが気になったようなならなかったような。
東4局ドラ五
親の山崎が5巡目に立直を宣言。
南家が10巡目に立直に通ってはいない9を勝負。直後に西家が4枚目の7を捨てたことで、南家の捨てた9は他に打つ牌がなくて選ばれた9というよりかはいらないから捨てた=立直に対して押したようにも見える。
私が卓に座っていたら私にはどのように見えただろうか。やはり南家が押したように見えただろうか。
そしてその巡目に捨てられた4枚目の7を形式聴牌の為に鳴くか否かを牧野が逡巡していたのはさすがであった。(ドラ表示牌が4なのに加えどうせ5.6ともに手牌に残っても捨てやすい牌では無いためと思われる)
この局は牧野が9を押した南家へ1000点の放銃となった。
牧野も9を押した南家を勿論認識していはるがだからといって今通ったばかりでより安全な5を捨てて手牌を崩すほどではないとの判断だったと思われる。
南家の手牌が役ありのゲンブツ待ちか否か、ましやその打点など分からぬ(とはいえ立直はしないので極稀にとても高く、ほとんどの場合高くはないだろうと思われる)ので考慮しないのに加え自身の手牌を安易に崩さぬことで形式聴牌や良い偶然が重なった場合のあがりのルートを消さない姿勢は見習いたいところである。もっといえば南家が役ありならば5は鳴くかもしれないが鳴かなかったので当たりにくいし、いっそのこと山崎の勝ち上がりが決まりかねないあがりを阻止できたらと「聴牌しているならあがってくれても良いよ」との思惑もあったかもしれない。考え過ぎやもしれないが。
山崎にとっては予選突破の決定打となり得る立直は横移動で親落ちとなり、対局は南場へとうつった。
ところで牧野選手に関しては彼が新人王戦の本戦に勝ち上がり、東京に前日入りしてセットをすることになった日のことが強く印象に残っている。
麻雀が上手くなりたい、強くなりたいという直向きな姿勢の同年代の選手は私にとって非常に大きな刺激になった。
それから数年が経ち、今では彼と私では実績は比べるまでもないが、彼を含めその活躍がモチベーションになるような選手の存在はとてもありがたい。そして、それが負けていることが「悔しい」と思える内はまだ選手として頑張れる気がしている。
山崎選手との関係はお互いがプロ団体に所属する以前までさかのぼる。
共通の友人のセットで出会いその後も卓を囲んだり、同じグループの店で働き、同じ店舗のシフトに入ったこともあった。
学生時代の私には山崎とその友人(通称ちゃんなべ)は同年代で間違いなく最強の2人だった。同年代で明らかに別格に強い奴がいる。この事実は私が愛するこのゲームにのめり込んだ大きな要因の1つだったといえる。
そんな2人が画面の中で闘っている。
自分はその場に立てず眺めている。
彼らのここまでの努力や築いてきたキャリアを称賛する気持ち半分と悔しさともなんとも言えない気持ちが半分あった。
羨ましくないと言えば嘘になるが、彼らを羨ましがれる程自分を納得させられるような鍛練を出来ていない自分がいることが悔しかった。
だからこそ今回の対局は私にとってそのことを再認識できるとても良い刺激になった。
対局は南場に入りより盛り上がる内容となったのでまだ視聴していない方は以下からぜひご覧になっていただけたらと思う。
麻雀最強戦2024 最強の遺伝子 https://abema.app/8QBz
いつか再び彼らと胸を張って卓を囲めるよう改めて精進せねばと思うとともに、そう認識させてくれた2人の友人に感謝し、オチもとりとめもないこの記事の結びとします。
次の記事では再び私が所属する麻将連合という団体についてご紹介したいと思います。最後までご一読くださった皆様ありがとうございました。
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