【ショートショート】#104 音姫
昔々あるところに音姫という笛の演奏に非常に長けた
麗しい姫がおりました。音姫の弾く笛の音色は
どんな汚い音も浄化してしまうほど美しいものでした。
音姫の住む都にはある言い伝えがありました。
それは近くの山に若返りの花が咲くというものでした。
音姫は病気の母のために花を探す事が日課でした。
ある日音姫が山を歩いていると
黄金に輝く花を見つけました。
しかし音姫が摘もうとするとすぐに枯れてしまいます。
そこで音姫は笛をその花に聴かせました。
すると花はさらに輝きを増し茎から離れ
やがて音姫の手の中にゆっくりと収まりました。
その花で作った薬を母に飲ますと病気は治り
音姫と姉妹に見間違えるほど美しく若返りました。
その噂を聞きつけた都の嫌われ者のばあさんは
急いでその花があったとされる山に入り
強引に摘み取って持って帰ってきてしまいました。
急いで薬を作り、自ら飲みましたが
枯れ果てた花は逆に老化する薬になってしまいました。
ばあさんは老化する薬を「玉手箱」と呼ばれる箱に隠し
自分の娘に託しましたとさ。
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