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#86大(おお)トヨタの大(おお)番頭【書評】豊田章男

◾️はじめに

第3週は企業系。言わずと知れた大企業トヨタ。そのトップについての本です。
創業一族による社長の復帰。そこには想像もつかない苦労がありました。
日本を代表する経営者の凄さとはー。

◾️要約

・第I部 人間
トヨタの御曹司として責任と苦しみを背負ってきた。マスタードライバーになるための場所でひとりの人間として扱ってもらい、ドライバーとして車に乗ることで無になる。そうしてバランスを保つ。孤独と戦いながらトヨタの御曹司として先代の意向をしっかり受け継ぐ。時に皆に勇気を与えてもらいながら。

・第II部 経営者
経営者として理念・大義を大切にし、リコール、震災などの逆境にも覚悟を持って立ち向かう。上から目線を廃し、様々なプレーヤーと提携し、全ての人に移動の自由を提供するモビリティカンパニーを目指す。それは織機からクルマの会社になったのと同様の改革である。それを実現しようと大組織を引っ張っている。

◾️感想

やって当たり前(成功は親の七光り)、できないと叩かれる。
過酷な立場だなぁ、と。
自分をコントロールするためにモリゾウという別人格を生み出し、無になれる時間があることが大切なんだなと思いました。
心の底からクルマが好きでトヨタが好きなんだなと思いました。

愛知県出身でトヨタのマークが車のマークだと思って育ってきた人間ですので、そこのトップの話はなかなか興味深いです。


◾️要約(詳細)

・第I部 人間

◆第1章 原質 いかに育ったのか
御曹司としてのレッテルに苦しみながらも、負けん気強く育ち米国MBAを取得し帰国し、トヨタ入社。現場で鍛えられる。新しいことを次々に実行。趣味で好きなことをやってる、トヨタがそんなリスク高いことしなくていいという逆風にも負けず事業を興してきた経験は今のトヨタの糧となっている。

◆第2章 居場所 もう1つの顔
カーガイの一面を”モリゾウ”として持つことで、精神のバランスを保っている。大トヨタの社長と無になれるマスタードライバー。マスタードライバーとして安心して長く乗れる車を作り手として厳しくみながら、それを楽しんでもいる。

◆第3章 ルーツ なぜぶれないのか
後天的に身につけたものの他、創業家として生まれ持ったものもある。
章男は豊田の創業家として佐吉、章一郎の薫陶を受けついでいる。
それは豊田綱領に纏められ、世のため人のためにつくす、積小偉大、地道な努力が大きな成果に、とするもの。
基本理念、トヨタウェイと制定されているが基本はこの綱領。
大きな転換点を迎えている今こそここに立ち返るべき。

◆第4章 心象 イチローとの対話
常に期待をされ責任を背負う立場である章男はトップアスリートと似た心境。孤独感や苦しさを味わってる。言語化が上手いイチローに気付かされることが多い。チームでありながら個人競技である部分や常に成果を求められ続ける部分、そして自分のためでなくみんなのためにという部分。似た環境にいる人の存在で救われる部分は多い。

・第II部 経営者
◆第5章 門出 逆風に抗して
リーマンショックの未曾有の危機の中、社長就任。世襲であり様々な葛藤や軋轢がありながらも、就任。現場に近い経営者、もっといいクルマをつくろう、とスローガンを掲げるも当初は世の中はあまりピンときてなかった。 

◆第6章 試練 リコール事件に鍛えられる
アメリカのリコール問題は豊田が大企業病になり売上拡大で生産が追いつかず、一番の安全を軽視した結果、公聴会まで行くことに。だがトップとして毅然と回答し、真摯に対応することで危機を乗り越えた。
また一年後の東日本大震災でも権限移譲を行い、現場主導で回復の指揮をとる。
この経験で一体感、求心力が高まる。危機が経営者を育てていく。

◆第7章 慢心 何を恐れているのか
王者であることが当然となり、それまでのTPSと原価削減の強みを放棄したら
あとは転落が待っている。それがトヨタがトヨタで無くなるということ。
根回し、会議、資料・・・、無駄はいくらでもあるので徹底して強みを取り戻そうとした。

◆第8章 転換 何を改革したのか
生産拠点を東北にも創り出した。量的な一時的成長を求めるのではなく持続的な成長を求め、ステークホルダ全体に利益を。
生産方式については0ベースで見直し、より良い車を作るためのプラットフォーム開発に勤しんだ。

◆第9章 発想 上から目線を廃す
トヨタが提携が上手くないのは上から目線の体質だと章男は考えていた。その考えからマツダとは対等にこだわり提携。モビリティカンパニーを目指し、CASEの大波を乗り越えるために、これまでにない発想と行動で章男はトヨタを牽引する。
時にディーラー、サプライヤーとも厳しく交渉しながら進めていく。

◆第10章 未来 どこに向かうか
テスラやグーグルとも協業、競争をしながら。全ての人の移動を自由に、するモビリティカンパニーへの転換を行なっている。
それは織機の会社からクルマの会社へ変貌を遂げたことと重なる。
トヨタはベンチャー精神を持って、新たな会社に生まれ変わろうとしている。
その先鞭を章男はつけようとしていて、その代表例がウーブンシティ。

◾️アクション

組織の特徴、強みとは何かを言語化してみる。

◾️読みやすさ

★★

◾️ハッシュタグ

#トヨタ

#豊田章男

#ウーブンシティ

#もっといいクルマを作ろうよ

#御曹司

◾️ストーリー

「名家に生まれたかったって思ったことある?」
「ある。」
「なんで?」
「金持ってんじゃん。」
「そうだよね。それだけ?」
「うーん。」
「それはそれで大変だと思うけどね。」
「すでに責任があるしね。追いたい追いたくない関わらず。」
「大きいよね、大きい組織の上層部は」
「権力、やれることとその影響が大きくなるわな。」
「さらに自分で0から切り開くではなく、ある程度スタートで上にいる、というか。」
「やっぱり、それはそれで大変だと思うけどね。」
「やっぱこの生まれでいいかな。」
「それしかないしね、生まれ変わりたいって言っても何もならんし。」
「与えられた場所、歩んで得た場所で頑張るしかないね。」
「スヌーピー(配られたカードでやるしかない)だね。」
「んだ。今何ができるかを考え全力を出す。これが全て」
「達観してるー。」

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