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#92 ピャッと行ってチャッとやる【書評】OODA LOOP

◾️要約

ハード面で劣る相手に勝つにはソフト面を強化する。
焦点と方向性(ビジョン)を定め、そこに向けて各人が相互信頼のもと、現場が適切に意思決定し、行動できるようにすべき。
そうした組織文化が醸成されれば自主的にOODAループが回る。
スピード重視で未開の地を耕し続けることが組織の繁栄につながる。


◾️感想

勝利に向けてPDCAよりも素早く、現場で臨機応変に動かないといけない。
世の中の流れは早いから。
しっかりと計画を立て、承認してもらって、その通りに動く。
そしてまたその振り返りを行い、アクションを決めていく。
それもそれで必要だが、それより(それと同等くらい)現場で見て動くことも必要。

◾️要約(詳細)

◆第1章 強いものが戦いに勝つとは限らない
規模や武器に勝るものが常に勝つわけではない。軍事だけでなくビジネスでもそうである。
その際にポイントとなるのが戦略であり、さらにスピードに関する戦略である。
スピードに勝ると相手を混乱に陥れることができ、ビジネスにおいては相手の顧客との乖離を助長させることができる。
勝つためにマクロ的なシステムとしての戦略からミクロ的な行動としての戦略をもっと真剣に取り上げていくことが必要になってきている。
※機動力を活かし短期間で決着がついてしまう戦いのことを電撃戦という。電撃戦がポイントです。

◆第2章 目に見える数字だけでは最悪の結果を招く
兵器数が半分だが兵器効率が2倍とすると理論上、一回の損失は同じ(兵器数と兵器効率の積になる)。
しかし、実際にやっていくと数が少ない場合すぐ潰える。
回避するためには兵器数が相手の半分だとすると効率は8倍から10倍、ケースによってはそれ以上必要となる。
これはかなり高コスト。
しかし実際にはもっと多くの規模と効率に劣る集団が勝利している。
そのためなんらかのソフト的な要因が(勝負を決するために)重要と考えられる。
ハードを偏重する従来型の思考に捉われてはいけない。
心理的要因、つまり組織文化やリーダシップなどのソフト要因が重要である。

※そのソフト要因についてまとめられたものがOODA LOOP

◆第3章 OODAループ 勝つべくして勝つための最強ツール
大規模で資金豊富な敵対者に対して規模の劣った組織が勝つこともある。その発生確率は25%くらい。
それを実施する組織は軍隊として4つの組織文化がある。
 ・相互信頼(Einheit):一体感、結束力
 ・皮膚感覚:複雑で潜在的に混沌とした状況に対する直感的な感覚
 ・リーダーシップ契約:現場の主導性を高めるミッション(上官と部下との間の契約)
 ・焦点と方向性:オペレーションを完遂するためのブレない軸 
これらを持ち合わせ、実際に行動することでハード的に劣った組織が勝っている。
例えば”性能が劣るF-86がMiG-15に圧勝した”ように。

ポイントは「非対称的高速遷移」であり、これをやることで動きの遅い敵の心理状態を悪化させることができる。
まさに戦わずして勝つ(ことにつながり)であり、ボイド氏はこれを理論化した。それがOODAループ。
観察 observe 環境を観察しなければならない。自分自身や敵、物理的、心理的、精神状況、潜在的な敵味方が含まれる。
情勢判断 orient 観察したもの全てが何を意味するのかについて情勢判断し、自らを方向付けなければならない。
意思決定 decide ある種の決定を行わなければならない。
行動 act 決定を行動に移さなければならない。つまり、行動しなければならない。

◆第4章 OODAループはビジネスに何をもたらすのか
戦わずして勝つことが一番良い。それには戦略が必要。
戦略の前にどういきたいか 自ら望んだように生き残る とは何かを考えることが必要。
これはビジョンでありミッションステートメントである。
そしてそこへどう到達するか計画を積んだ時のその背後に流れる心理的タペストリーこそ戦略と呼ぶもの。
勝つべくして勝つ戦略とはOODAループが組織文化に組み込まれて、その文化を強化できることである。
それはビジネスにも適応できる。
目標・未来が変わっていくなら、その目標・未来についていき、そこに至る戦略を変えていけば良い。

◆第5章 OODAループを高速で回すための組織文化
ビジョン、つまり組織の焦点と方向性を与え、
相互信頼があり、ミッション型命令によってリーダシップを発揮し、
さらにその業務にたけ、皮膚感覚もある組織では
OODAループを高速に回し、規模や技術で劣る状況であっても勝利に導くことができる。
そうするためにはマイクロマネジメントではなく、自発的に焦点と方向性に向かってリーダシップを発揮するよう部下に伝えることが大切。

◆第6章 機動戦の原則をビジネスに応用する
OODAループを用い、正と奇を相互に作用させ、顧客を動かし、市場を形成する。
そのことに焦点を与えるべき。
望む便益(正)に加え、サプライズ(奇、魅力的品質ともいう)がないと顧客に選択してもらえない。
正だけではいけない、時に正は奇に変わる。
奇襲した機動力のある部隊が助攻から主攻になることもある。

◆第7章 OODAループで実際に何をするべきか
市場の形成、これに焦点を当て、スピードを最重要とした戦略をとること。
そしてそれを学び、強化し続けることをすべき。
処方箋はいくつかあるのでそれに従い、学び続ける。

※新しい市場を創出、そしてまた別の市場を、生み出し続ける組織はそりゃ強い。マッキントッシュ→ipod→iphone→ipad
そういうことですね。

◾️アクション

観察して、判断して、意思決定して、行動する。

◾️読みやすさ

★★★
※少し難しい単語が出てくることもあり、読みやすいかというと疑問。読み応えあり。

◾️ハッシュタグ

#チェット・リチャーズ
#ジョン・ボイド
#OODA LOOP
#PDCA
#観察 →情勢判断→意思決定→行動
#観察observe
#情勢判断 orient
#意思決定 decide
#行動 act
#orientってなんだ

◾️

「えー、今回読みやすさについて星を3つとさせていただきました。星三つです!」
「いいこと?それ。」
「どちらかといえば良くないかも。読みにくいというか。。。」
「読み応えがある、と表現すればいいのでは。前向きじゃん」
「そうだね。理由は表現の難解さからです。」
「どういうこと?」
「使われている言葉が、心理的タペストリー、電撃戦、機動戦、相互信頼などちょっと難しめ」
「なるほど」
「なんとなくわかるんだけど、本当にあってんのかな、ってちょっと不安。心理的タペストリーってことはタペストリーつまり、織物、編んだ結果のようなものが心理的にあるってことかな、とか。電撃戦などはウィキで調べればいいのだけど。」
「もともとが軍の考えだからね。」
「そうなのよ。もちろん、それをビジネスに転用はすることができるよって書いてはあるのだけど。」
「必死さが違うよね。経済において、ビジネスにおいても戦争という表現はあったりするけど」
「そうね。もちろんビジネスも必死なんだけどさ。」
「うん。」
「んで、状況は刻々と変化するわけで、それに対処することが求められる戦場での考え方としてOODALOOPというものがあり、それがPDCAより優れているということです。」
「どんな点が」
「PDCAはあるプロジェクト通して一貫して行われるもの(と一般的には考える)。それだと途中で状況変わってて、もはやプランが成り立たなくなってしまっても、DOしないといけない。その後のチェック、アクションで持って初めて次の行動が変わるでしょ、普通」
「うん。」
「ではなくOODAの方はそれを戦況見ながら場合によっては現場でDOの内容も変えていい、むしろ変えろというもの」
「なるほど」
「別の本でそのPDCAを毎日繰り返す、頻度を上げてやるという鬼速PDCAというのがあったけどそれと近いかも。」

「ふーん」
「現場がそれをやる、その上で大切なのは目的、そして相互理解。目的が一致していないと、または信頼していないとそれは成り立たない。」
「なるほど。そりゃそうだ。好き勝手やられては困るし、違うところ行ってもらっても困る。」
「好き勝手やってもらっていいんだよ、ベクトルがあってれば、ということ」
「コントロールとは何か、問われている気もするね」
「そうね。マイクロマネジメントして支配した気になっている人もいるからね。ほんとは部下の能力を出させないといけないのに」
「howを言うな、考えさせろと言うやつだね」
「そうっす。大事な時や困難にあった際に思考停止しないように」
「自分の命がかかってたら、いろんな情報を冷静に注視して行動をしていかないといけない。なのでコックピットの写真にしました。」
「へー」

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