#117 幸福な結末 【書評】ラストパス
◾️はじめに
今月はサッカー本。ということで今回は中村憲剛さんです。
川崎のバンディエラ(旗手)が選手としてどんなことを考え引退に至ったのか。
◾️感想
苦労した期間が長いほど、成功してからも長く続く。
そんなことを感じさせてくれた本でした。
今や屈指の強豪として考えられる川崎にも
シルバーコレクターと言われてきた時代がありました。
そんな辛い時期を経て初のタイトルを獲得したチームの中心の方の考えはあぁこうやって組織は成功するんだなと感じることが多くありました。
◾️要約(詳細)
◆第1章 2016年
・三人目の子供が産まれてきてくれたことは本当に嬉しいことだった。
母子どちらかの命を選ばねばならない可能性すらあった。
それを乗り越えたことで周りの人の支えの大切さに改めて思い知らされる。
・風間監督には止めるの基本から学んだ。
それまでの概念を覆される感覚。
個人としてさらに上を目指すことを意識させてもらえた。
・チームとして得点力はあるものの、どこか脆さがあった。
越えなければいけない壁があり、越えたら何か掴める気はしていた。
壁=鹿島には当時の中心選手、小笠原だって交代させる強かさがあった。
◆第2章 2017年
・新しい年を迎えるにあたってキャプテンを小林悠に託すことに。
憲剛に負担を背負わせすぎないようと監督にも配慮してもらえた結果。
監督には勝つために自分を(鹿島の小笠原のように)変えてもらっても構わないとも伝えた。
・ACLで浦和に敗れた。
(替えられた)自分の不甲斐なさに腹が立った。
鬼木監督にとっても選手起用の転機になった。
・ナビスコの決勝ではセレッソに負け、シルバーコレクターから脱却できないのは自分のせいと思い詰めることもあった。
だが妻に発破をかけてもらい、奮起した。
最後はホームで相手の結果を待つ状況で、待望のタイトルは転がり込んできた。
◆第3章 2018年
・チャンピオンとして迎えたこの年、フロンターレはまたレベルを上がる。
チームが自分たちの成長に目を向け、そのために邁進する集団になったから。
タイトルホルダーになってからはそれまでの爪の甘さを指摘できる。
・これまでボールを持って相手を動かすことをしてきたが、ボールを持たずとも相手もふくめ周りを動かせる選手になっていった。
オスカルやイニエスタがファジーな感じで5レーンの2レーン目を上下し、捕まえづらくなることを見て自分が間違っていないと確信。
MVPの家長と二人でしか見えない世界を見て、こんな崩し方があるのかと楽しんでいる自分がそこにいた。
・いよいよあと2年の契約を勝ち取る。
◆第4章 2019年
・連覇をして迎えた2019年、新戦力のフィットには例年通り時間を要する。
またそんな中で怪我を繰り返し、焦る自分もいた。
ただ妻の励ましによってしっかりと2020年の引退へ向けて落ち着きを取り戻していく。
・チームは確実に次のレベルに行こうとしている中で迎えたルヴァンカップファイナル。
例年とは違った日程で行われた札幌との試合は激闘に。
ビハインドの状況も諦めず、自分たちを信じ、PK戦のすえ、勝利した。
・勝ち続ける、タイトルを取り続けることができた矢先、前十字靭帯を断裂した。
だがポジティブに捉え、前代未聞の挑戦として、自分だけの最後のストーリーが整ったと捉える。
後進のためにもやる意義があるのではと、家族、チームスタッフ、サポーター皆に支えられ手術は成功。
◆第5章 2020年
・順調に進んでは痛みを感じて停滞し、次はゆっくりリハビリを進める。
それまでのルーティーンを忘れてすらあったが家はいつでも家。
最後のシーズンと決めて、大怪我から復帰するというシナリオはついに完成。
・チームは4-3-3に変わって破竹の勢いだった。
自分ならというイメージを持ち、監督とも話しながら負傷者や連戦の疲労もある中でついに途中交代。
そしてそこで得点まで。
・喜びと感謝しかない。
さあいよいよラストシーズン。
◆第6章 2020年最終章
・チームは11連勝を目指していて相手は前回記録をストップさせられたグランパス。
稲垣祥にも復帰を伝えることもできた。
故意ではいとはいえ怪我させてしまった相手は引け目を感じていたはず自分だったら、と相手の立場に立ち言葉をかけた。
・その中でのホーム最終戦。
まさに阿吽の呼吸でお前はそこにいるー。
小林悠へのラストパスを決めた。
・引退セレモニーでは本当にたくさんの人に来てもらいDAZNで中継まで。
それはみんなの中村憲剛が、チームをさる、ということがどれだけ大きなことなのか、改めて知らされることになった。
息子の手紙に感動した後、最後に感謝を込めて言葉を送った。
◆エピローグ
・常にもう一人の自分、もう一人の中村憲剛がいた。
その人物はもっともっと、そんなんじゃだめだぞ、と脅してきた。
いつしかその人物をも超えることができた。
・自分にベクトルを向けてきた結果だ。
中村憲剛は自分の、だけでなく、フロンターレの、みんなの、存在になっていた。
それは自分が頑張ってきたから。
・そんな自分にお疲れ様といってあげたい。
次は別のステージだ。
◾️アクション
数年先のイメージをもって生活する。
◾️読みやすさ
★★
◾️ハッシュタグ
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