#71 その先へ【書評】アフターデジタル
■はじめに
第1週は時代の先端を切り拓く人たち。
ということでIT評論家の尾原 和啓さんとビービットの藤井 保文さんの共著「アフターデジタル」。続編もありますが、まずはこちら。
◾️要約
全てオンラインの前提でオフライン接点をどう使うか。いかにレアな接点を生み出し、体験価値を高めていくか。そのために行動データとエクスペリエンスのループを回して、適切なタイミングでコミュニケーションしていく。そのためにビジョン、組織構造、事業戦略、ビジネスモデル全てを変えていく。
◾️感想
データを活かし、UX改善に繋げる。
もう何回目かわからないが、行うは難し、である。
それを早く回すための情報基盤も必要だろう。
スタートは小さく、徐々に大きくしていくのだろう。(最初から大きなことはリスクが大きいから)
自分は何ができるんだろう。ちゃんと理解できているのだろうか、この思想を。
そういう企業に身を置くべきか。
知識を得るとともに不安にもなった一冊。
◾️要約(詳細)
◆第1章 知らずには生き残れない、デジタル化する世界の本質
オフラインを活かすためにオンラインを駆使する、のではなく、全てオンラインの前提でオフライン接点をどう使っていくか、を考えることが本質。
オンラインのデータを可視化し、定量化、改善ループさせることはオフラインにもできなくてはいけない。
※デジタルでない時代は店主が顧客の行動を観察してアイデアを導くことをしてたんだろうな。
◆第2章 アフターデジタル時代のOMO型ビジネス 必要な視点転換
オフラインのアセットが大切ではなく、全てがオンラインの前提で、あえて物理接点でやることはリアルでないと伝わらない、得ることができないもののみ、という考え方の転換が必要。
※アセットを持っていることが重荷にならぬよう、考え方を良い方に持っていかねば。ときにはアセットを捨てることも。
◆第3章 アフターデジタル事例による思考訓練
OMOの視点で考え、データのフェアネスを意識し、レアな接点を生み出し、そこで技術を生かした今のおもてなしのさらに上をいくサービスを提供し、体験価値を高めていくことが必要。
物づくりでさえ、高速化・細分化・ボーダレス化し、最適化されていく時代に、おふざけや温かさという日本独自の強みを生かし、感動体験をユーザが自発的に生み出すプラットフォームを作り上げていくことが重要である。
※日本独自の強みをどれくらい意識できるかは、世界を見たことがあるか、による。世界のみんなもある程度おふざけするのではないか。
◆第4章 アフターデジタルを見据えた日本式ビジネス変革
行動データとエクスペリエンスのループを回して、適切なタイミングで適切なコミュニケーションで提供していくことができるようにすることが大切。
そのためにビジョン組織構造、事業戦略、ビジネスモデル全てを変えていく必要がある。日本ではボトムアップで進めるのが良いのではと考える。
UXグロースハック(行動データを取得し、エクスペリエンス改善に繋げれるように)し、UXイノベーション(顧客接点を増やし、コア体験を提供)する。
それをグロースチーム(少人数で同じビジョンで早く体験価値を向上させることのできるチーム)で行う。
日本の手厚い個別対応と組み合わせれば世界最高の体験も提供できる。
※希望に満ちた提言がある本の方が好きです。前向きになれるから。
◾️アクション
提供するサービスのユーザー体験を上げることができないかを考える。
◾️読みやすさ
★★
■まつわるストーリー
「ECのお勧めとか”他にこんなもの買ってます”ってやつあるじゃん。あれ昔はなかったんだよ」
「そうなんだ。あって当たり前だと思ってた。リアルだと接客してくれる人とかがいればお勧めしてくれるよね、コンシェルジュ的な人がいれば」
「だね。そっちの方が嬉しい気分になる時あるよね。”あーいいサービス受けてるなー”って。」
「うん。一方でECでポチってすぐに欲しいものもあるけど」
「つまりはその人の求めているものによるわけだよね。」
「うん。」
「ユーザーにフォーカスしてその人がどうしたいか、その際にどうすれば価値を素早く提供できるか、を考える。それが大切」
「チャネルじゃない」
「そういう意味ではオムニチャネルってことかもしれないけど、それはあくまで効率化の話になっている気がするね。バックヤード的な。」
「ほうほう。」
「ここで大切なのはユーザーのために、という一気通貫した考え。チャネルは溶けてしまうくらいに。目的ではなくそれを成り立たせるための手段という意味で。」
「ふーん。」
「朝起きて、出社に立ち寄る時はネットオーダーしてリアル受け取り、帰宅後のんびりしたいときに必要なものはネット配達、一連の体験をどうストーリーとして紡ぐか。」
「便利なだけじゃない」
「そう、それをやって顧客がどう感じるか、またやりたいと思える体験を提供しないと」
「トータルでのブランディング、ってことね。お家で待ってるだけで満たされるものは限られていると。」
「そう。便利なだけじゃジリ貧になるから。」
「変わり続ける世界で何を軸に考えるか、だね。」
◾️ハッシュタグ
#藤井 保文
#尾原 和啓
#UXグロースハック 、UXイノベーション、グロースチーム