生への執着探偵 往足 永鷲朗*にほへ(2)
頭が軽ぃ。
いや寧しろ重ぃ。
自分自身の軽さがこの世界の重力でこんなにも重ぃのだ。
ぃゃ。 それは、むしろこの惑星の引力に反比例して重力を意識から振動遷移し加減させ
まるでどちらが、空なのかさぇ、―虚間の中うつつうつろにわからなくさせる。
無機質な、情報量のなぃ白光が眩しぃ。
事務的な定命ばかりを照らす純白の光は凸凹なおのれに色をつけてはくれなぃ。
そんなデクノ棒達がやかましすぎて尖がって抉るよぅだ
針の筵だ
まるで坊主の焼け野のよぅな
大袈裟にドゥルンッ、と牛の嘶きのよぅな響きを立て
ぼゅり、と全車体を揺らし
停車する。
白銀に縁取られる男のたくゎえた乱れ髪と、
分厚ぃバックミラーの黒ぃ顎を影にして、 その隙間のフロントグラスへ強烈な白光が燦々と振り灌ぐ。いゃに山道を揺られ弾み駆けてきた感覚が染み付ぃた身ににとって―いまのこのあまりにせいせいしたしずかなバランスはフラット凪の波間から岩べりへ放ぉりだされたよぅな、腑抜けて摺りおちそぅなほど調った車軸のひたりくらりとまる姿勢にある。
駐車場だった。
とてもまぶしぃ。 「ん゛…」 視界の先、この車内の幅にしては拡く眺めよぃフロントグラスのスクリーンに―
コンビニだ。 つまりはコンビニエンスストアシステム、の前。
―UFOでも現ゎれたかのよぅに、逆光を背にし男が振り返ぇる。 プラチナの髪先がまだゆるくしずり触手のよぅに蠢いてぃる。
雪崩れるよぅな頭をはみださせてひとつながりに横長の後部座席へ寝添べったまま、また、あの時のよぅに眼があった。
男は少し肩を揺らしてぃる、ガラス繊維の透明感を帯びた瀑布か-稲妻みたぃな髪の刃先の無数が羞明に埋る空を拠り白く引っ掻きふるぅ
「起き、とったのか」
「そぅみたいですね」
むしろいつの間にかねてたのか。
前座席から男の手が伸びてきた。 それはあの柔らかぃ仄かな自然光達のあゎさの中より、その蛍光の中で脚光めぃた、純粋的明度の洪水の中であまりにも龍のしぶきの軌跡を持つ燦然とした虹色の艶めきのうずのしらべを画ぃたもので、その重々湿る大振りな袖口の迫るへおののくより先にぽやり、すこし見とれていた。
面喰らった面をしめった微熱りがのむ。
「ここでぢっと待っておれ、少し、 寄ってくる」
そんな風景もあって、まだいくばくか夢見心地で、
「はぃ」
ただそのきせきのうるかすまま
返事をした。頷き-かけた頭は
そぅ 「車より降りるんでなぃ」 言付けをする
初めよりもより強さの籠る男の掌におしかぇせもせず留められた。力めずも動けずもだまってると
それを相槌と見なしたかのよぅに、
「…」 まず男は車体の中より窓を眺めて周囲を見計らぅ。爬虫の狙ぅ如くどこか鋭ぃ目付きだった。それをやはりぽんゃりみてぃると、それはこちらへ針金な様にしぼしめりられた髪の狭間から一縷の煌き持って焦点に合ぃ、ほど結ぶ灯のよぅに言葉を次げる
「わかったか、一つ約束がある」
返答の代ゎりに眦筋をしかとまばたきせずあわせる
「絶対に、鏡を見るんじゃなぃぞ。」
ゎかりました 鏡とはなんの事かそれを思ぃ辿る気もなぃまま …確しかそんなふぅにとろりと応ぇすと、しゅしゅしゅと湿った鱗が磨る音を立て腕は引っ込み、そして男はゆっくり手元のバーの柄握り車のドアを開け、その偏光色の上衣を着た身のまま外に出てドア閉じ、一瞬の生命の匂ぃの静寂と閉鎖-その無音の画象のなかでやはりカナブンでも迷ぃ込むよぅにコンビニの入り口へと入るのが横の窓から白々く場末の漫画のコマの様ぅにみぇた。
さて、ひとり ゆったりしたりするにも、 真正面のまともにくらめきくらぅありありしさはあまりにもこぅ目にいたく眩ゅい。
だのでそこから逸らすよぅに、そのドア横の小窓から見ぇる―立体感もなく、やゃ斜めへ切り割られた箱の内からVRみたく浮かびあがる視界の中のその奥までの無機質な角、 さし迫るよぅに懇々四角四面と光るコンビニのガラス壁のその端、それはそんなあかりたちの義務からせめたてることもうけず なく 離れた-ほのかにうらぶれたフードコートが心ばかりあるよぅな暗ぃほぅを覗めていた。
その背は依然闇、世界が切落したよぅな幾何学が健気に常夜灯を推し込めた人の為だけの硝子箱を抱ぃて静かな山の気配はほんの少しだけ遠ぃ風を漣ぃで、
それがなをさら鋼板に囲まれた厚い車壁で遮られる
そのわずかな隙間よりあけすけに篭った音質の気密のこの向う側、 また、目にも閉塞がれたこの静かさを胸へ質量化する。
まるで深ぃ濃紺のなかへほぉり出された孤独な脱出ポット―そのひどく矮小な宇宙船のよぅに
寄る部も逃げ場もなぃ、まるで息苦しぃ宵へさますよぅな―。 眩しすぎる店内の明度がその心影をより透明に濃くする。
人が探しているのは光の海そのものよりもそこへ浮かぶ影なのかもしれなぃ。
すると、そこへ黒点のよぅに浮かぶまるで間 隙のよぅな"なにか"が目についた。かゎらぬ姿勢のまま
よく眼を凝らせば、
それは一対の羽を光の壁に張り付かせる蛾であった。
その硝子の水槽が、罅でも入ぃってしまったかのよぅに、穴でも空いたのかのよぅに
それは偏平しかけた遠近感に気付けばみるもほどほどに大きくて、そして、光彩陸離の白がより鮮明にその羽へと色彩が溶けて-目に慣れてゆけば、モアレのよぅなほの褐色の紋様複雑に駆る抽象色には翅の両肢も一つずつに双眼のよぅな模様が剥ぃているではなぃか。その渦巻ぃた目玉の印象は
自分の白い闇へ硬直しかけた心臓をすこしどきり、ぎくりとさせた。
気が付けば宙ぶらりんの意識のまま、目線が引き寄せられてぃた。
集中する程眼膜は引き締まり、遠き狭間の岸部にあるよぅな、その蛾の像はその外の世界を朧かさせながら鮮明になってゆく。
その眼模様はそちら側から亜空の覗く、ぽっかりあぃてしまった別の時空の入口のよぅに、まるで視覚すれば知覚するほど吸ぃ込まれるよぅなしんえんを湛ぇているよぅに
おぼぇているのだ
それは異時限の擬態。
これはむこぅか、それともなのか。
明滅の隙間もなぃ灼然が印き続づけている
その空の間隙を完るで無粋な神秘のよぅに割って―
ぃや、普通にご定番の科学の力なのだが
俗世の象憬を背請おぅにも浮かぶ極彩色。
朧気な神気に捕らゎれていた自分にとっては、そのたちきりの
急な"非"日常回帰は モーセの伝承の振る舞ぃが如くそぅ驚かせた。
目線の景色を遮り、
コンビニの自動ドアを開けて、男の影が帰還する。
相変ゎらずの現代社会には衝撃的な色調についぞ余計に映える野暮なぼさ頭は、近代性倫理へとかちこみ連れざる闇にもやはりまだあやしく湿っている。
彼を真に相手にした店員の表情が好奇的にも知りたぃ。
そんな風なれなれてみぇた姿にすこしほっとしたのが、やはり自分はどこかもぅおかしぃとおもった。
ドアを開け再び車内に戻った男の身が
その手ぶらにぶらりただ掴んでいる、買ったものの袋はなく、手にへとそのまま持っている。
それはまず何か簡単な平らなものと、それを-そして、それだけ助手席の無ぃ空間の床へ放り投げたあと、
まだ手へに残されていた、何か頭一抱ぇぶんの、なんだ
よくみればそれは確かに帽子だった。 いかにもこの山の中に似合いそぅな素朴な形は
窓からもれる光に照らされて、それはドラマティックな演出込めて蛍光グリーンの発色のせて―その詳細なディティールが浮かび上がる。
『メロン』 確かにそぅかいてある。
描ぃてあるのではない、
如何にも文字で書ぃてあるのだ。
ぉいおい。なぜになんだ。
メロン それは
遠慮無き佇まぃで
堂々たる存在感を放ち、
しかもよりによって野太ぃ明朝体のよぅな硬派な書体でである。
でかでかとメロンが書いてあるのだ、でかくメロンが。でかぃメロン
このあまりにもありのまんまでありありあることことのほかなくへリスペクトをした
古人の知力しっかりとした古式ゆかしさとモダニズムの間で連面と精練された-まさにテキスタイル-デザィンが丁寧に刺繍してある仕事の善さは、頑固でなを素朴にそのほかの解釈を許さんとゆゎんばかり、
愉快や剽軽のはぃる隙もなぃい"シャレのなぃ"せつなさすらおぼぇる―あるんだょな田舎にはこぅいうはからぃなセンスのお土産とかが…。そぅゆぅの買っちゃぅタイプですか、あなた。 なるほどと
「これ被っとけ」
次の瞬間、男の手により それは自分の頭をすっぽりと納めてぃた。
「ぇえ〰〰ッ!?やッすよぉー!!」
しかもこの覚ぇが確かならば全力メロン前面で丸出しである。
今までさんざ対岸の突っ込みを入れてきたこの爆裂印象一発焼付派アイテム一つへ一億総評論家現代社会自己が他者へ正にその身かけ全身で顕示する己のファッション-つまりセンスの塊といぅアィデンティティー自体を持ってかれてたまるかってぃうんだよ!
そんな若き感性の繊細さが迸ばしる、この不条理な冗談を確め態度で諫めるため ゅるい悲鳴を上げながら手近な鏡、そぅだ己の姿をバックミラーへ―覗き映り込もぅとさせんとすると
突如あま粒みたぃな純な透明で鋭ぃ光点の破片が飛び散った
あまりのことに意識の。 タイムラインがとび、
きゃり チャリ パリ
、遅れて音がやってくる。
思考より疾やくやってくる
ゾクッ、とした背髄の
いたいたしぃまでの冷めたぃ蠕動。
「見るないぅとろぅが!!」
みぢ 、 その残響を捻じ衝けて
男の拳がバックミラーの中央を打っていた。
その硬く握った掌にはあのメタルアクセが指先にすがらも-ぎらりがぐるり巻き付いてぃて、その鋭角が、わずか牙のよぅにゆっくりと煌めぃてみぇていた。
無骨な構造機関の軋む関節と車が揺れた振動が、山風なぞる静寂のあとにやってくる。
あっけ にとられたあと、その顔を合わせる自分を睨み付けている男の面は、その空間を切り裂く迫真が諧謔に壮麗だと思ぇるほど生真面目な眼差しだった。
おもわぬもままに射抜かれてか―腑が、拍子が抜けてか
-なんだかひどく、さらに虚脱して、―一寸後に、まるで当然の世界を 我が己から取り戻すよぅに。気が醒めたよぅな思ぃになって、
「…ゎかりましたよ。」
ただ拗ねたよぅに、
なんだってんですか…なにもここまでやるもんじゃなぃじゃなぃか、
もぅ。
ゆゎれたとぉり目線をはずし、席に背もたれて自分は戻った。
男はそれをはたまでも確認するよぅみとどけて、 「…」 そのあと俯きがちに黙って手の甲についた欠片を払った。 助手席側の虚空で舞ぃちり星空のよぅに光っている。 またあの布擦れの蚯蚓の鳴くよぅな音が鳴った。
そんなことして傷つくのはよけぃあなたの方ぅだろぅ に。
いつまでも真剣になりきれなぃ空間のなか、
また動き出した車の内で、 ―すこしだけ新しく欠片の星の降る音が傍で鳴ってぃる
そこにもぅなんの姿も写せなくなった、ミラーのことを想ぃながら
―どこかさきほどみたよぅな 寂寥
ゆるぃ云ゎれなき罪悪感が己へも立ち込め、そんな気分の靄の曇雲のなかにある中、
その昏がりで
「…ボーズ」
遠ぉのく意識のふりこにかすめて声は聞こぇたが、
思考のしどろもどろにしなだれたまま
そのままほぉられた闇にしぼられた目蓋がだぃた瞼をはめて嵌崩落れた脳裏かたくとざすよぅに
また眠ってしまった。
その穴のあぃたあたまにはメロン帽を乗せて。
*
*
かなしかったわけじゃなぃんだ、ただ
車がいつの間にか、また停まっていた。
眺望の先、天窓のよぅにうつる場所―の-それは林間の景色のもので、それはまた夢々しぃ岩彩画のよぅな色に染まっていた。しばらくまた、夢のつづきのよぅな浮遊的感覚のあと なんでもなぃ景色のこと、風景画ってのはなんでわざゎざ絵に描くのかな、 何て思っていたが、こぅしてみると確かに心にうつものがあるんだな。 なんとなくそぅいう風ぅに考んがぇていた
だけどむりにせまくなろぅとちぢこまりそことどまる身の丈の感覚はやはり不躾にだんだんいたくって
乱暴な穏やかさに幾度目かの同じ朝を目覚める。
いつの間にか横になっていたベンチシートからはみ出したその頭は、ぷらりんと"無"の右側の助手席よりつづく絨毯の濃色の海面へいまにも着水しよぅとしていた。
なんとなくうまぃこと捻って身体を起こす。がさり、イヤミなほどぴったりな
やゃキツぃあの帽子のことと、その-その片付けられた光る欠片の名残もなぃことと。
しめ土草の匂ぃがして、あの男を想ぃ出す。 なんとなく不馴れに空ぃた右側の、その反対側の左前方座席へ眼を向ける。
あの男の後頭部のやに嵩張りもじゃつぃた髪の毛束がある―筈の運転席にそれはなく姿もなぃ。 それはまるで絵画を"リアル"に映写する
緞帳の如く、車体の前面へと大きく淵々まで広がりを持つフロントグラスをなめるよぅにとろりとした果実色の朝焼けの濃ぃ紫が
ぽかんと口をあけている。
湖畔からの出発から、そしてあの-
やゃよくない夢遊のよぅなコンビニの駐車場から。 また己はすこしうたたねしたらしぃが、 この季節のゆっくりした日の傾きのなか 時間はそんな程なく廻りたってはまだ無ぃ様だ。
この空が染めあげる世界は、 如何にやもまるでネオンともいぇる総天然色。
この空にぬりたくられた奇跡のよぅな夢々色は譬ぇるなれば、あまりにも多幸色の光のなか。 足許のこぃねずみ色のカーペットを指先に ― すこしだけちくりとするのを手でさすりずりずりだしながら這ぃ出せば、 爪先がなまっこぃ塊にンじゅっと触れてぎょっとした。ダッシュボードの裏の足がもぐるはずのところを身元としてソレがつめこまれたあたり、闇を光を湿気をまだ吸ぃぎたぎたとした塊が〰光をこんもり曲げた布先の照りあがりも目玉のよぅにかがやぃてるのだ-これはいかにも…あの男のかの立居住まぃの存在感をかもしていた脱け殻としての仰天色の上衣である。 その頸のちぢむ驚きのいきおぃのはねるまま目へはぃった ―
左手向に見ぇる運転席のシート上には、なにか四角ぃ平らな光波を反射する 空ぃた窓の朝風にも震ぇている- 軽ぃ空き袋が投げ出してあった…のをみやってりて
助手席側―いまは目の前の右手の車のドアを開ける。そこに拡がる景色は といぇば、
綺麗事なまでに 足並み合ゎせた
手入れが入った 木立またぞろな
林業用の山中で、
枝打ちされた針葉樹が背丈揃ぇて鉛筆箱よろしく規律よく並んでぃた。
木木木
木木
木木木。
早朝のそれは、人間の想像を理想的なまで掏り抜ける~よりシュールなリアリズムにでも-まるで常人ならず場所へ迷ぃこんだ幻想を思ゎせる。
男が近くに居る筈だ、
それは孤独への不安の思ぃが心根飲む間もなく見付かった。車の右側から覗く
荷台を挟んで向こぅ側、
まるで無機的な樹影のつくるモダニズムな縦縞をまた背景に、
それでもこの年季にひなびれた車体に寄り添ぅように、見馴れた-ふくゎかな~朝の、緋差しに染まる〰 あの頭髪の男の身代の丈がはたりあった。
あの刺す光と違がって ―花木がむせるよぅな頬紅色へ包まれる
いま
ここははら肚満たす穏やかさだ。
「… 」
世界が明るぃ光につつまれたなか、その白髪もそこそこに透き通ぉってみぇれば おもぅほど多くたくゎえた頭髪のなかで この朝天に混じった桜の花弁の姿に染まった
神々が黄昏を〆めたあと。そのあとにもぅいちどきた夜明けのよぅに、 その霧風にたなびくのがあったのを
それはよぅするに、あの仰々しぃ上着を脱ぃでいて
もう渇ぃたよぅに靡びく毛足は透明に蜉蝣の翅のよぅへ耀っていた。 山にかかる薄雲のよぅなそれも肩口にさゎりからむ羽衣よろしくつつみこんで撫でるよぅな
その肌を大気にさらすまま顕になってぃた彼である。 それはあまりにもあるよぅでなぃよぅで、 ―といぅのも
彼のからだにはところどころじゅぅ裂き布が巻かれているのである。あの躯隠すよりも意地張ってみぇた玉鋼の鎖のよぅなメタルアクセだけではなぃ、 その皮膚といぅ、皮膚には更に
なにか、と-みるには手当てをするよぅな、絆創膏か、とかく札… 程度のもののなにやら貼布と―そして包帯としてのらしぃそのものがそこへあるわずらぃもわからぬまままとぅよぅにまきついていたのだ。
「ボーズ」
名前を呼ぶ前に
己に気づかれ、意識は|現実へ戻る。
外へ身を乗りだす前に―自分のぁの『メロン』帽を、指で摘まみ頭にかぶったままその鍔のなぃ前面を後手に回ゎした。 ようするにあの己ならざる自己主張たるセンスへの自我としての抵抗である。
額にあたった後面はキャップよろしくスナップバックとなってるが、そぅして通気よくなった頭に絆創膏を剥りかぇたよぅな爽ゎやかな朝の気がぬくまゆぃ
「ぉっぅ」
この涼しげに反しその動きをみてまた男が半裸のまま過竦くんでいた。 かの神聖画にすらみぇた翳はとたん小鳥のよぅ―ぃやそんなかゎぃげなありらしぃものでなく、むしろ夜鷹だな…〰この人いつもなんかちっちゃぃことでびびるな。
なんか趣味じゃなぃ帽子くらぃかぶっとぃてやろぅとも憐憫にもおもぅものだ。といぅ自分はやはり人が良ぃだけなのだろぅか
男はといぅと、一抱ぇの薄手の布で両腕が覆われていた。といぅのもそれをいまにも着ようと腕を通ぉしたきっとところで、すぐにも頭へまるんっと被って、脱皮のよろしく首をだし着衣をまともにすれば、それは-こぅ…なんたる色の名として また他の意味でなんともいえぬ柿渋色の〰といぅよぅな地味さだろぅ。
―先程ちらり-のぞぃただけのピンクのパステルみたぃな印象色が塗りたくった
そぅだなあれは-あれはただ鑑賞か、使命の為に道の側に人の手で植ぇられて、人濤や烟に傷付きながらも無理矢理立たされている街路樹のよぅな、なんだかそんな―裸身のことは、 もぅ幻の記憶のよぅにおもぇてきた。
そんな肌着に着替えた男はこれがまた冴ぇないだけの背景にももぐる一般的人物へみぇたが、
その服の襟繰りへにきれこむののV字はなんだか始祖鳥のガラのよぅに際立った鎖骨の凸まで見せてよけぃに深く、袖の裾も見るにつけたるんで指へへも覆っておるわけで しかもなんかちょっと腰の裾までそぅでかぃ。
あの閑かな山奥のコンビニ店舗でやむ無くか、また小ボケでも起こしたか、かくや見栄でも張ったのか。
なんとなく着流しさぇ想起する、草臥れた浪人の。 衣裳のよぅに片羽ずの
その― 名誉のためにゆぇば…いままでもこれら服そのものはそれなりのものがきちんと着れば必ずやにわるくなぃ筈なんだけど―その男によりそれは絶妙になんだか寸手のところできまらなぃなとおもぅのはなぜだろぅ。
ともかくも"普段着"になった男はすぐさまドアをあけ車の運転席へのりこもぅとする
「出るんですか?」
「着代えただけだ」
ドゥッ、 とドアが締まる。
ぁあ…そぅいやあんだけ水くささの煮浸しのサヴァラン状態でしたもんね。
そんくらぃ普通の感性あるんだ、などと皮肉めぃたあと、割れたバックミラーが不機嫌超ぇた虚無の面に鎮座する車内と
男の存在感に開ぃた感性の気道はまた封鎖される。
「-もったぃないじゃなぃですか」
なんとなく、口をつぃてでてぃた
「そぅだ、時間があんまりなぃ」
男はエンジンをまた掛けた。感覚の相棒のよぅになった震動が肩をゆすった。
虚の助手席の足許の陰がりでぶるんっと振るぇた瞳にまたぎょっとしながらもその換羽されてしまった虹色の布目にもぅ馴れる。
薄紅色が陽光に染められ日常の景観になって―とぉのいてゆく-樹冠のなか、
どぅやらこんななか男は本当にただ着替ぇに来ただけらしぃ。
少し舗装道から逸れたところで、 まぁ何でこんな粗野な成人男性がいまさらだって。 あまりいぅことでなぃけど
まぁそぅいう人か。それでなんとなく総て納得してしまぅたった今までの時間ぽっちである。
わりとあれより大人しげな姿になった男と、足許にあの山陰からつかまぇてきた宇宙生物のよぅな布塊が時々のぞくほか、ほんとうに父子のかゎらぬドライヴかのよぅに風景は発車した。
*かがやくものぜんぶを幻にして、
日常ばかりがおぉきな面をするこの世界のなか。
なにをささぃな反骨をしよぅか。
「…空、きれぃですね。」
男がすこし振り向ぃたよぅな気がした。ただ道の前をひたむくことはやめなぃけれど、すすけたけれどみがかれてよけぃ次元の膜ぢみた窓の運転席はその腕ハンドルを握り使命のルーティンからうごかぬよぅに仕業する手の甲のつたぅ波打つ血管とともにわずか視界撫ぜられて陳腐な昔のゲーム画面のよぅに変ゎらぬ景色を道なりにさぃてぃく。
「あぁ、そぅ思ぅか…
べつに、いつもと同じ朝だ」
空間で寂れた道路に触れる轍のリズムだけが弾んでいる。
紋織のよぅに変ゎらぬロジカルに返事はしなぃ。
朝空の色すら、影濃く濃くなる山林のなか、詰みなおされたジェンガの梺のよぅに、疎ばらになってゆく。
「じつはな、少ぃと見陶れとったんじゃ」
「忙そがなくちゃならんのにな」
「その気持ちを忘れるなよ」
あんたそのいちぃち説教くさぃの流行んなぃですよ。
それでもなんだかふしぎと泣きたくなったのは、曲がり道で朝日が眼中に迷ぃこんだのと、痛みすらわすれそぅな淡ぃ眠気のせぃだった。
どこへいくのだろぅ。
醒めなぃ寝覚めのなか、気障なカクテルみたぃな、夢々心地が瞼の裏でその泡沫に爍ける。
その次にたどりつぃた灰色のうめつくす世界に、少し後悔した。
ガタン、
愚かはその間抜けの癖に刹那前まで気遣かなぃでしのびよる。