誰かの物語に途中参加する僕たちについて

なまちゃと申します。自己紹介を兼ねて、昔書いた文章を投稿します。これからよろしくお願いします。

僕は小説が好きだ。
小説の中には人生がある。小説は、登場人物に没入することで他の人の人生を体験できる素晴らしい娯楽だと思う。
小説には大きく分けて三つある。
ハードボイルドに代表される自己の心情が地の文で語られる一人称視点、
それぞれの心情が描かれずに情景描写と台詞だけで心情を表現する三人称視点、同時に何人かの人間の心情描写が描かれる神の視点。
 
あなたはきっと、普段一人称視点で生きている。
あなたは目の前に現れる描写を読み取りながら、人生に登場する他の人たちの心情を読み取っているだろう。
 
僕が誰かに声を掛けた時、その誰かにとって僕は何者に見えているのだろうか。
僕は突然声をかけてきた得体の知れない怪しい男。
相手には一体どんなモノローグが?
僕はどんなセリフを言えば、相手の物語に途中参加する素敵なキャラクターになれるだろうか?

人は誰でも、そしていつでも、途中参加の登場人物だ。
あなたはどうやって他人の物語に参加するだろうか。
 
踏んだり蹴ったりだった一日の終わりに、少し明るい気持ちになれるように。
最高の気分の日に、一緒に分かち合えるように。

 「こんにちは、素敵な鞄ですね」
「…え」
「すごく似合ってるなーって」
「…うん、ありがとう!」
「きっと選んだ人はすごくセンスいいんだね」
「彼氏が選んでくれたんだ」
「…彼氏さんの理解の深さを感じる」
「笑」
「これからどこ行くの?」
「彼氏んち」
「そっか、楽しんできてね!」
 
僕の人生に、あなたの人生に、誰かの人生に。
素敵な途中参加を作り出すのは一歩踏み出す勇気だ。

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