いま日本で起こっていることは、7年前に韓国で起こっていた。
新型コロナウィルスの感染が拡大し始めてから、約1年半が経ちました。毎日拡大状況は悪化し、政府からの発信はどんどんずれていて、国民の怒り、焦りも加速していると思います。国は国民を守ってくれるはず。そんな思いは日々裏切られてきています。
実は韓国国民は、10年前に国から裏切られる壮絶な経験を既にしています。「セウォル号沈没事件」のときです。(意図的に「事故」ではなく、「事件」と書いています。『目を眩ませた国家』という書籍で〇〇さんが書いていらっしゃいますが、あれは不慮の事故ではなく人災の事件です。)生存者情報の錯綜、救助活動に関するごまかし、指揮系統の不在、政府の対応のずさんさ…国は助かる命を助けませんでした。
あの事件だけが問題だったのではありません。そこに至るまで実に様々な政治家の権益搾取、汚職などがあったのですが、あの事件で国民の怒りは爆発しました。結果、朴槿恵大統領の弾劾裁判になり、国民がしっかりと大統領を引きずりおろしたのです。
多くの国民が、ある意味「被害者」となっている日本の新型コロナ対策ですが、韓国では240人以上の高校生の命が失われた事件に対して、まさしく全国民が一丸となって政府と闘いました。この動きを見ていると、韓国国民のエンパシー(感情移入力)の高さを強く感じます、なんの根拠もないのですが。
いま、日本政府のやることなすこと全てに絶望を感じている皆さんは、是非一度「セウォル号沈没事件」のときに韓国で何が起こったか、調べてみてください。上記で紹介した、『目が眩んだ者たちの国家』はすごい本です。
韓国を代表する気鋭の小説家、詩人、思想家たちが、セウォル号の惨事で露わになった「社会の傾き」を思い思いに言語化しており、いまの日本国民が抱えているモヤモヤも、一部代弁してくれるような気がします。