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SS 無頼ママチャリ#毎週ショートショートnoteの応募用

 無頼ぶらいママチャリ、彼は私にそんな変なあだ名をつけた。

「坂道のぼるのが早いよな」
「アシスト自転車だもん」

 普通の電気自転車だ、坂道には強い。私の通う学校は丘の上にあるので自転車で登るのは大変で、みんな自転車を降りて昇っていく。私は電気式なのでスイスイ昇れる。幼なじみの男の子は、アシスト無しの自転車なのに私と併走へいそうしようとする。

「疲れるでしょ? 」
「平気だよ」

 ゼイゼイ言いながら息が上がり坂の途中であきらめる。

 一足先に教室で待っていると、明日は負けないぞみたいな捨て台詞で自分の席に戻る。いつから勝負が始まったのか判らない。

「次の日曜に勝負だ」
「はぁ……」

 彼は新しい自転車を購入した、そして勝負をいどまれた。日曜におめかしして自転車に乗る。

「この丘で勝負だ」
「いいわよ」

 先に丘の上の展望台についたら勝ち、もし勝ったらお願いを一つだけ聞く。私は面倒なので、アシストを切って自転車に乗る。多段変速なのでゆっくり昇れば負担は少ない。彼の願いを聞けば気がすむ筈。

 うさぎと亀だ、彼は新品のロードバイクでグングンと登り始めた。これならアシスト切らなくても私の負けだ。でも途中で彼が止まっている、トラブルだ。ギア切り替えで失敗してチェーンが外れた上にパンクした。

「修理道具ないの? 」
 半泣きの彼に代わって、私はメンテナンスキット使い応急処置をしてチェーンをはめる。驚いている彼には秘密だ。私は自転車が大好きで、修理セットは自転車につけてる。展望台まで昇って、彼は観念したように私の顔を見る。

「俺の負けだ……、なんでも言うこと聞くよ」
「そうね、じゃあ毎週サイクリングしましょう」


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