SS プールの紅トーナメント #毎週ショートショートnoteの応募用
「プールの紅トーナメントを開催する!」
「女子ランキングするの?」
じりじりと暑い神社の境内で、いつもの三人組が漫画を読んだり、ボールで遊んでいる。小学生の夏休みは最高だ。
「紅って女の子? だれが好きか告白?」
「トーナメントだから、投票?」
小太りの子が、ひょろい子に聞いている。眼鏡の僕は黙っていた。ひょろい子は、早熟なのかクラスメイトに興味津々だ。
白黒テレビで美人コンテストを見たと思う。早速みんなで美人と思う子の名前を告白する事にした。
「プールで見た時、A子は足が長かったよ」
「B…子さんは、胸が……」
小太りの子は恥ずかしそうだ。
「お前は誰がイイんだ」
「……髪の長い……お姉さんかな」
二人が僕を見ながら変な顔をする。
「髪が長いってC子?」
僕は頭をふる。
「じゃあ、誰だよ」
「二十歳くらいで、顔半分が無いんだ」
「……またお前は怪談話か、好きな子の名前を言えよ」
僕は笑うだけで沈黙を守る。彼女が二人の首のあたりを両手で握っていた。
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今は僕一人で境内で遊んでいる。プールの水が紅に染まって自殺をした女性は、僕の首もつかんでいるが、とてもやさしい握り方だ。
いつか僕も彼女と一緒になれるのかな。