エッセイ 天空の星【#はじめて切なさを覚えた日】#青ブラ文学部参加作品
郷里のトイレは古いので外ですることが多かった。高台の家で、空には満天の星が見える。ある夜の事だが、星が密集して光り輝いていた事があった。
後で知ったのは、異常気象の一種で上空の温暖差で星が拡大して見えるらしい。新聞に載っていたのだが、非常にめずらしい現象なのに、現象の名前が記憶にない。
あまりの奇妙さに天を見つめたまま動けなかった。家族も心配して外に出て驚いていた。しばらくすると冬の寒さで、みなが家に戻ったが、自分は一時間以上も立っていた。最後は無理に連れ戻された。
天空に広がった星は、数倍にも光り輝いていた。きっと宇宙空間で見た星の多さだと思う。
色々と調べてみたが、そんな現象が本当にあったのかもわからない。当時の地方新聞の片隅に、その現象の名前があるのでデータベースになっているならば、探せるかもしれない。
はじめて切なさを覚えた日は、あの星を見た後の事だ。叔母が心配そうに横に立っていてくれたが、薄い寝間着姿は、非常にエロかった。自分との年齢差は六歳くらいで、叔父と若いうちに結婚をした彼女は、まだ子供のようにも見える。
なぜ切なかったのか、当時は星のせいだと思っていた。それから、たまに夢を見ると満天の星空をみつめる叔母と自分が出てきた。