SS 火星の別件逮捕 #毎週ショートショートnoteの応募用
「火星の別件逮捕? 」
有馬火星が逮捕されると、安楽椅子探偵のMは目をつむる。私は事件のあらましを伝える。殺人事件の容疑者となる火星は、親友と二人で寝ていた。翌朝になると隣の親友が死んでいる。外傷は無いが警察は火星を逮捕した。
「解剖で疑惑が出たのかも?」
Mは薄く眼を開くと一言だけつぶやく。
「犯人は君だね? 」
Mはゆっくりと真実を追究する。
「君と火星の親友の勇は兄弟だ、勇は勝ち気で賭博癖がある。資産家の息子の火星から、金を引き出そうとしていた。君はそれを止めたかった。双生児の君たちはそっくりだ。そこを利用して、君が火星の部屋の鍵を入手して、部屋に隠れていた。」
私の名前は和、平和を愛する小心者だ。安楽椅子探偵のMに真実を見抜いて欲しかった。
「はい、その通りです、Mさんならきっと判ってくれると思った……、有馬火星を助けてください。僕が犯人です」
Mは、またゆっくりと眼をつむる。
「違うな、君は勇だ。和は、ひどく臆病な性格でショック死させる事は可能だ、君が脅して彼を殺し、隣に寝かせた! 情状酌量で軽い刑で服役した後で、君はまた火星に近づくつもりだ」
Mは安楽椅子から立ち上がる、俺はナイフを取り出す。だが安楽椅子探偵は強い、普段から部屋でベンチプレスをしている彼には勝てない。
「無念! なんで判った」
「和なら、今回の件で恐怖で部屋から出られない筈だ……」