SS ガヨクから見た世界 ワールドザワールド
ガヨクは幼い頃に女神を見ている。
初めの印象は人間と変わらないと感じた。
貧乏な家で育つ彼は、頭が良いせいか不合理な世界が見える。
「あいつは無能なのに金持ちだ、親が金を持っているせいだな」
幼い彼には、有能だから幸せになれると信じている自分のことは見えない。
この世界は偶然で幸運を得られることを、直観では理解できない。
優れているから自然と幸福になれる
そう信じている。
歳を重ねると、偶然手にした功績で女神になる彼女たちへの嫌悪感が
地層のように積みあがる
「なんでもできる能力を持ちながら、怠惰に暮らしているだけか」
自分ならその力を手にして、世界をより正しくすることができる
自由と平等の世界
能力があるのに使わない女神は、なまけもので
そんな奴らが支配する世界が、嫌いでたまらない
俺なら、俺が、俺だったらそんな空想で計画を立てる青春。
「ガヨク、横流しした酒だ、安く売れ」
手っ取り早く金を稼ぐのは、当然のように悪事を働けば良い
最短のルートで儲かる。
ガヨクは彼の頭の良さを、自分のために利用する、それが合理的だ
ガヨクが言う自由は、ルールに縛られない自由
平等は、だれもが豊かになれる平等
「まかせてくれ、取り分は6:4か?」
「そうだ、俺が調達した」
ガヨクを相手を見ながら、いつ始末するかを考えている。
罪悪感はもう無い、いや初めから無い。
世界の仕組みを、呪った時から道は決まっている。
「あの女神候補の娘の名前はヒサギか」
今は、成功して石で組まれた城に住んでいる。
部下も持てるようになった。
「ツキヨ」
呼ぶと、まだ未成年の娘が現れた
「何でしょうか?」
この娘は忠誠を誓っている。
俺の為に命を投げ出す覚悟もあるようだ。
「ヒサギという娘がいる、行動を探れ」
端正な顔は、結末を期待して口元が歪む。