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青の洞窟:青の洞窟【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(20/50)

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第四章 青の洞窟
第五話 青の洞窟

 あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に居た黒髪の少女レオノーアに出会う、ミナリアは封印を解く仕事をまかされて【赤の洞窟】の攻略を成功させた、次の攻略は魔王の墓と呼ばれる【青の洞窟】を向かう。マルシアを説得したミナリアは洞窟の攻略を始めた。

 老剣士のマルシアさんに【青の洞窟】の前で怒鳴られると、私は泣いてしまう。ずっと我慢してきたのに、と思うともっと泣ける。涙がボロボロ出る、うえぇーんと泣くとまるで子供だ。

「ごめんなさい」

 自分でも誰に謝っているのか判らない。感情がコントロールできない。老剣士のマルシアが必死に私をなだめてくれると段々と落ち着いてきた。

「ここは危険なので村に帰りましょう」
「判ったよ戻るよ」

 マルシアが納得してくれる。私は心の底から嬉しくなるとにっこりと笑う、マルシアさんも安心したのか笑顔だ。このやりとりを見ているクリスタルの洞窟の主のレオノーアは、うんざりした顔でつぶやく。

「本来の目的を忘れないで」

 私以外は姿形も声も聞こえない霊体のレオノーアは、青の洞窟の攻略を教えてくれる。この洞窟は侵入者を徐々に小さくする呪いがある。トラップとは異なり呪いのため気がつかない。

「あなたの七色の指輪は、呪いに抵抗できるわ。」

 レオノーアからあずかって私の左手の指から抜けない魔法の指輪。赤の洞窟で得られた宝石の力で莫大な魔力をためている。私は洞窟に入ると老剣士のマルシアさんが心配そうに、護衛してくれる。彼はとても優しい、仲間を大切にしていたと感じる。

「あっち通って、次はこっちよ」

 霊体のレオノーアは指図しながら、呪いが薄い部分を通過させる。呪いは蓄積するので薄い部分を見つけて歩けば効力が落ちる。私達は少しずつ小さくなっているのか、周囲の道が広がり、天井が高くなる。歩いている距離がどんどん短くなる、これでは時間を使っても大人一歩分の道を何倍もの時間を消費する事になる。

 大きな広間に出ると、本来は普通の部屋の筈が巨大な洞窟のドームに居るような錯覚がある。遠くに巨大な青い光が見えた、サファイアだ。

「敵が来るぞ! 」

 銃使いのオスカーが怒鳴る、老剣士のマルシアさんが剣を抜くと昆虫型モンスターを倒そうと前に出る。オスカーは片肘を付くと見た事が無い長い筒をモンスターに向けた。瞬間だ、何かが赤く光ると遠くのモンスターが爆散した。

「何あれ? 私があげた宝石で銃を作ったの? 」

 オスカーは宝石銃で敵を倒し始めた、遠くのモンスターがどんどん消える。

「ミナリアは、指輪の魔法でサファイアを壊して」

 霊体のレオノーアが叫ぶ、オスカーが倒しきれないモンスターが増え始めた。老剣士のマルシアさんの近くまで来る。サファイアを破壊しないと敵は減らない。この洞窟の呪いを維持するのは青い宝石だ、私は左手を遠くの宝石に向けると魔法の呪文を唱えた。

灯火ともしび霊鳥れいちょう

 指輪から美しい小鳥が現れて赤く燃える。命令された方向に飛び立つと、サファイアめがけて飛んでいく。

 瞬きをする時間で、とても遠くで青い光が広がると同時に、私達は元の大きさに戻っていた。狭い部屋の中で立っている、そして足下には蟻が死んでいた。

「モンスターの正体は、蟻…………」

 老剣士のマルシアさんは、呆然とつぶやく。

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「仲間の敵討ちできたよ」

 マルシアさんは、私の手を嬉しそうに握ると村に戻っていく。私は、こぶしくらいの大きさの青い宝石を手に入れた、私は鞄に大切に保管する。この宝石も七色の指輪に取り込もう。残りの封印はあと二つだ。


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