SS 強すぎる数え歌 #毎週ショートショートnoteの応募用
「古い歌ですね」
「古い歌だよ」
中東の遺跡で発見された粘土板には、くさび形文字で歌が刻まれていた。シュメール人は、このくさびの文字でモノや人を数えている。
助手が円筒形の遺物を小型CTに入れて解析する。文字がくっきりと浮かぶ。
「数える時は旋律で歌として覚える」
「たしかに文字数が同じで連続してます」
文字を画像処理を読ませると歌なのが判る。
「中東の歌だね」
「そうですね、歌です、一つの恨みは言葉で返せ……、二つの恨みは……目を潰せ……」
「呪いの数え歌か」
「めずらしいです」
助手が絶句する。PCが止まらない、解析をやめないで延々とスピーカーから歌として流れる。
「電源を……」
主任も助手も目から血を吹き出して倒れた。大規模言語モデル(LLM)がOSに搭載されていたため、自動的に呪いの言葉を世界中に伝搬した。
強すぎる数え歌は、呪いを増幅しながらPCを使うあなたの耳にも……
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