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SS 熱い太陽【満月ガスとバス】 #毎週ショートショートnoteの応募用
「バスが来るのか」
月夜のバス停には、誰もいない。薄暗い照明の下でベンチで休む。どこに行けるのか時刻表を見ると深夜にしか表記がない。行き先は太陽だ。
(遠いな……)
道路が明るくなるとバスが来た。興味があるので小銭を出してバスに乗るとスイスイと空を飛びはじめた。
「お客さん、お客さん」
「なんだい」
車掌が呼ぶので運転席に行くと、燃料がないという。
「燃料の満月ガスとバスメンテのために月に行きます」
「かまわないさ」
ハンドルを月に合わせて満月を目指す、月の南極でガスを充填すると太陽を目指す。
「熱いな、なんて大きな輝きだ」
赤く輝く太陽を見ながら、汗を一杯かいた。
xxx
布団の上で目が覚めると体が濡れている。
「ぼっちゃん、熱は下がりましたよ」
「変な夢だった、バスで太陽に行くんだ」
下女が笑いながらタオルで体をふいてくれる。バスが太陽に到着していたら……死んでいた。
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