SS 昨日助けていただいたミジンコです。#ストーリーの種
「昨日助けていただいたミジンコです。」
おじいさんは、少女を見ている。年頃の十七歳くらいの娘がニコニコと笑っている。ミジンコ?そんな名前の村の子は居ただろうか?
「どこの子だい?」
「私を助けてくれました」
「いや礼はいいよ、歳なので何をしたのかは忘れた。もうお帰り」
おじいさんは助けた覚えはありませんが、礼儀正しい娘だと喜びます。娘は恩返しのために食事を作るから住まわせてくれとお願いします。まぁそれならと言う事で一緒に暮らす事にしました。ミジンコ少女はおじいさんを大事にして下の世話までしてくれます。
それを見ていた隣の意地悪な金持ちじいさんが不審に思います。
「若い娘を連れ込んでいる。けしからん」
ミジンコ少女が洗濯している所で話を聞いてみます。
「お前は、なんであの家に居る?」
「おじいさんが古い桶の中に居た私を池に戻してくれました」
無邪気に質問に答える少女を見ていると、これは恩返しだと直感します。意地悪じいさんは、桶に井戸の水を入れると放置しました。
「なにを助けたのか判らんが後で池に水を戻すか」
数日してから水を池に戻します。意地悪じいさんは期待しながら待ちますが、昔話の失敗の轍を踏んではいけません。強欲で意地悪ですが知恵は回ります。少女達を決して粗末に扱ったり、余計な願いは言わないと硬く誓います。
「若い女の体だけで十分じゃ」
次の日に若い娘が来ました。
「昨日助けていただいたミジンコです。」
「昨日助けていただいたミジンコです。」
「昨日助けていただいたミジンコです。」
続々と若い娘が来て恩返しと告げると強欲で意地悪なじいさんの世話をします。しかし家に充満する程の娘達は、それだけ飯を食うため、家は一年もしないで傾き、じいさんも娘も隣の家から消えてしまいました、一説では毎夜のように頑張ったので寿命が尽きたとも噂が………
めでたしめでたし。