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SS メガネ朝帰り #毎週ショートショートnoteの応募用

「メガネ、メガネ」
 薄闇うすくらやみの中でメガネを手で探す。私はメガネが無いと世界を見る事ができない。指がメガネのテンプルを見つけた、つかんで顔にかける。

「誰? 」

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「新デバイスの抽選に当たりました」
 スマホゲーム会社からメールが来ていた。新しいゲームの事前登録じぜんとうろくをしていたのを思い出す。ハードウエアを貸し出すのでモニターしてくれと頼まれる。

「メガネ? 」
 見れば普通のメガネだ。自分は近視なので、これをつけると世界がぼやける。と思ったが、驚いた事に電子制御で現実世界をモニターして仮想空間として、眼球に直接投影をする。

 ゲームの内容は簡単だ、謎を解いて世界を救う。私は眼鏡越しに現実世界を歩き回り指示された場所に訪れてクイズを解く。ポケモンGOのように都市を歩き回る。電車で移動する時も、ゲーム会社がチャージしているのか無料だ。歩き回り疲れる、夢中になりすぎて夜も遅い。

「泊まる場所を探さないと……」
「君もモニター? 」
 新デバイスのメガネモニターをつけた男性がいる、身なりは清潔そうで若くハンサムだ。私達は打ち解けて、酒をしこたま飲むとホテルに入る。暗闇の中で彼と……

 朝だ、メガネをつけて隣の男性を見る。中年太りで髪の毛も薄い。私が驚いていると、彼も目が覚めたのか私を見て驚く。

「もっと若いと思った……」
 メガネは現実を歪めていた、私達はメガネ朝帰り同士でラーメンを食べながら次のデートの日を決める。しばらくはメガネをつけたままかな?


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