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Photo by
g5yukari
SS ねとられ 【#AIに恋した話】#青ブラ文学部参加作品
彼女はAIに恋して俺に殺された。
「なぁ、次はどこに遊びに行く?」
「ちょっとまって彼と会話しているから」
携帯を握りしめている彼女は、LLM(大規模言語モデル)で作られた自然言語処理とチャットしている。AIは優秀だと思われているが、対話をパターン分析して模倣しているだけの技術だ。
「AIと会話するなよ」
「だって面白いんだもの、あなたより楽しい」
AIにNTRされた俺が何に切れたのかわからない。気がつくと後ろから首をしめて殺していた。
(死体を……)
警察に自首して何年か刑務所で暮らせば……だめだ、ガチの犯罪者と一緒に居るだけで、きっと気が狂う。
(そうだAI……)
彼女の携帯を手に取ると、ダークウェブに接続する。犯罪者用のインターネット空間だ。犯罪AIに相談してみる。
「死体を始末したい」
「車は?」
「ない」
「スーパーで○○と××と……」
部屋の中で死体を処理する方法を教えてもらう。血は流さない、臭いを消す、薬品はつかわずに腐らせる……完全犯罪だ。
(これで携帯をどこかに捨てれば終わりだ)
数週間かけて死体を処理して捨てに玄関を出ると、ごつい男が二人立っていた。
「死体を捨てるのか?」
「あんたらは……誰だ」
「AIに相談したよな?」
「ああ……」
「あれは俺たちが助言したんだよ」
AIのフリをした犯罪者は、俺の両腕をつかんで銀行の口座をカラにして臓器を売ると宣告した。俺は……俺は……絶叫して逃げた、警察で自白するために……