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SS アイニャンの冒険6 ワールドザワールド

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あらすじ 
愛娘(アイニャン)は、行方不明の女神を助けるために
採掘の縦坑へ向かう

一階層から、縦坑に向かう事にした
「このあたりは都市部の連中は少ないわ」
今は縦坑は空気の入れ替えに使うだけの存在
「ここから降りるわよ」
ヒサギが
「この穴の奥は、まっくらなんでは」
まぁ確かに縦坑は下は闇だ。
「あんたたち光を出す特技とかないの?」
私は周囲を把握できる能力があるので問題はない。

ヒサギは少しだけ考えると
「暗闇でも見えるように、みなさんと共感して地形把握を
 してみます」

なんだできるじゃないの。
「私はいいわよ、その男の子と共感でもなんでもしてね」
本当に若いっていいわね、
どうせ見てない所で、イチャラブするのよ。
嫉妬じゃないからね

用意が整うと縦坑に近寄る。

縦坑はかなり巨大で人が両手を広げて、200人くらいの幅が
ある。縦坑には途中まで道が作られているが、なにしろ古い。
道は途中で崩れている筈だ。このあたりは一回来たことがある

子供達を連れて、らせん状の道を進もうとすると、お約束だ
スケルトンが現れる。
「まぁ、あれなら簡単でしょ、アイはヒサギを守って」
そう言うと、私は骸骨めがけて突っ込む
月牙産(げつがさん)を手に生成すると、ぶん回す。
骨を吹き飛ばして踏み潰しながら頭蓋骨を優先して破壊する。
こいつらは、ばらばらになっても、頭をつかんで再生する
二十数体くらい倒すと、冒険者のアイ達をみる

やばい、アイは頭から血を流して、へろへろだ
「んー、なにやってんのバカじゃないの」
とって返して突っ込むと残りのスケルトンを倒した。

アイは地面に座り込むと動けない
まじでこいつは体力なさ過ぎ、まぁでも人間だからこんなもんか

「アイ、平気なの」
冒険者のアイの襟首を握ると立たせる
「しっかりしな!」

「アイニャンさん、まって、まだ回復してません」
ヒサギがアイに抱きつく。
自分の力で立てる力も残って無かった、この先を考えると憂鬱。
わたしは地面にそっと降ろすと、糸が切れた人形みたいに
へなへなと崩れた。

「ヒサギ、こいつはいつもこんな調子なの?」
私は不思議に感じた、これでは冒険者として仕事ができない?
「いえ、ここの妖怪達はかなり強いように感じます」
なるほど地上世界の奴らは弱いのか

どうするか、アイを返す事も考えたが、アイの養い親の女神の
場所を感知できるかもしれない。
戦うのは私だけで後ろで見物でもしてもらうか、
または私が一人で底まで降りてから、転送を使って連れて行くか。

敵は私が獣人化して倒せば、相当数の敵は破壊できる。
それでまた疑問だ
「ヒサギ、あんたは敵を倒す能力ないの?」
ヒサギは申し訳なさそうに
「ごめんなさい、私はまだ未熟で・・・」
判ってるって、だから女神候補なんだろうし。

アイが歩けるまで回復すると、縦坑の螺旋の道を進んだ。
子供達を守るのも修行だろう、みんなで行く事にした。

モンスターなんて、そうそう居ない。
そろそろ暗闇が迫る、縦坑に光が入らなくなる。
「準備はいい?」私は確認するために振り向くと2人が
立ち止まっている。

「どうしたの?」と声をかけた瞬間に、そいつが暗闇から歩き出す。
巨大な毛の生えた腹は丸々としている
トゲのような足は8本あるだろうか。
牛鬼だ。なぜこんな上層階に居る。

醜く歪んだ顔には知性も感じた、それが嫌悪感を倍増する
邪悪さの塊のような牛鬼は
「お前らには渡さない」とぶっきらぼうに言うと、
前足を高くあげて飛び上がる、
私は防御をするが、そいつは後ろの二人を狙っていた。

子供が死ぬイメージを感じる、腹の底が冷たくなる
取り返しの付かない事が起きた時のアレだ
後悔しても、戻らない恐怖。
二人の悲鳴があがると子供達は縦坑へ落下した。

牛鬼は呆然としている私に向かって体当たりを食らわせる。
壁に挟まれた私は内臓をやられたのか口から血が吹き出る
内臓がめちゃめちゃなのだろうか腹が重く動けない

萎えた足は体を支えられない、
さっきのアイと同じように崩れ落ちた。
「はははっ」
私は自暴自棄で笑い出した、
牛鬼から逃れるために、体をくるりと回すと私も縦坑に落ちる。

続く


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