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龍神の娘(10/16)【窓辺の少女_かなえの消える日】

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あらすじ
 隕石による世界の破滅は現実となる。玲子れいこ舞子まいこからかなえを殺してくれと頼まれた。

 予兆は母が私の夢に出てきた時で天を指さしていた。私は天国に居るから待ってるわ。と解釈をして深く考えていなかったが、私は父親を呪いで殺している、母と一緒に暮らせるとは思っていない。

 夢が鮮明になり具体化すると岩の塊が地球に向かってくるのが判る、私は龍神ににえとして捧げられた末裔まつえいだ。龍を利用できる家系でもある。母は龍を使い隕石を止めて欲しいと願っていた。私は自分が嫌いだ、呪われた娘、義母を殺して実父も殺した。この世界に未練もない、母が頼むまでもなく、自分でにえになり龍神の力を使うつもり。

玲子れいこが障害ね…………」
 事実を知れば彼女は私を止めようとする…………筈だ。自分を犠牲してはダメとか言い出しそうなのは判る。

 私は武雄の家を出てからすぐに、この地区の与党議員の関係者に接触する。後は芋づる式だ。急いで組紐を作りあげて私の血で相手を呪縛をする。

 総理大臣に接触するまで数日ですんだ、東京ビックサイトに龍神の祭壇の作成を命じて、死刑囚達を集めて呪縛をする。彼らは龍神を召還する時のにえにする。少しばかりの手勢にも使える。私を守る盾だ。

 同時に日本国尊厳維持局を立ち上げる。日本国民に状況を知らせないといけない。パニックにならないように情報を出して、霊能力者達だけを東京ビックサイトに集めた。これで龍神を召還しやす空間を準備させる。

 私は血が足りないのかふらふらするが、彼らを操りながら玲子れいこの対策を考えた。

「終わるまで呪縛できるかな? 」
 あの敬一という、写真部の部長を使い。玲子れいこを呪縛をしようとして失敗する。特別な組紐だったが、やはり玲子れいこの腰に宿る妖怪でキャンセルされた。私は自分の手で確実に呪縛を決意する。

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 呼び鈴を押すと玲子れいこの妹が玄関先に現れた、この子も危険だが幼い子供だ抵抗もせずに呪縛できる。私は待つ、玲子れいこにどう説明しよう? 本当の事を話す? きっとダメだ、彼女は頑固だ、私を信用していない。

愛優あゆ居る? 」

 玲子れいこが戻ると同時に私が声をかける、血の気が引いた顔で玲子れいこは、私をみている。家族を人質に取られればきっと抵抗はしない。

「わ……私の命をあげるから……」

 私は感情的になる、あんたの命なんていらない、馬鹿にしている、彼女が私をどう思っているか知っている、所詮は私は殺人犯だ。親を殺した娘だ。私は泣き出しそうになるが、ぐっと我慢をする、泣き顔なんで見せられない。その時は私は油断をしていた、ペットが居るとは予想していない、そして奇妙な猫の威嚇で気がゆるむ。

「お姉ちゃん! 」

 いきなり呪縛が破られたのは驚いたが、それ以上に妹から妖怪達が出現した事だ。これが妹の力? 私はあわてて逃げ出すと、外で待たせていた車に乗り込む。もう時間切れだ。私は東京ビックサイトに行く事にする。

「急いで」

 操られている運転手に命令をすると、政府専用車の後部座席で体を休める、そろそろ無理が来ていた。東京ビックサイトで龍神が出現したと同時に私を食わせて、隕石の破壊を願おう。あと少しだ、この世界を救い、私をこの世界から消せる。


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