SS アルバイト【青ブラ文学部】#絶望のメリークリスマス
「バイトして彼にプレゼントするの」
友達は絶望のまなざしで私を見ている。
「なによ、自分のお金だからいいでしょ」
「無理だって」
「別の人にしなさいよ」
確かに私はちょっと容姿がよくないかもしれない。でもこの恋は本気。この時期は、ケーキ屋でバイトが定番だ。売り子として働くぞー
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「いらっしゃいませ」
サンタクロースに扮装した私はケーキを外で手売りする。みんな幸せそうに買っていく。クリスマスイブ、この日は特別に時給が良い。私は懸命に働いた、幸せな人たちを見ながら、彼と過ごす幸せなクリスマスを想像する。
「何をしているんだ」
彼だ……、私のバイト先に来てくれた。さわやかな笑顔、幸せそうな彼は……女を連れていた。
「その人は誰なの……」
「今夜一緒に過ごす彼女だよ、お前はバイトか頑張れ、よし俺が買ってやる」
やさしい幼なじみの彼は、私を恋人として見ていなかった。ケーキを買って髪の長い女と雑踏に消えた。私は泣いていた、でもヒゲで誰にも判らないと思う。
「もうケーキは売れたね……ありがとう、今日の給金だ」
「店長さんありがとう……、でも私は恋に破れたの」
「……元気を出すんだ、俺がいるよ」
「……そんな店長さん、無理よ」
失恋したばかりの私は、太くたくましい腕に抱かれると抵抗できない。そのままベットに……
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「もう朝……」
「おはよう、素敵な夜だったよ」
「もう最低のクリスマスよ」
「君だって喜んでいたじゃないか、ヨシオ君」
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