SS アイとスフィンクス ワールドザワールド
「今日はどこ行くの?」
クァシンは、冒険家のアイに尋ねる。
「スフィンクスのところだよ」
町から北側の小山の上に祠がある。
そこに住んでいるスフィンクスは、知恵の神獣と言われている。
いつも寝そべって街を眺めている。
人が来て質問があれば知恵を授けた。
「こんにちわ、スフィンクス」
アイが声をかけると、彼に眼を向けた
体調は2mくらいのライオンの胴に、頭は女性だ
スフィンクスはゆっくりと口を開く。
「質問かしら?」
アイは決心したように、相談を口にする。
「女神は、どのように生きるのでしょうか?」
クァシンは何か言いたそうにアイの方を見る。
その様子に気がついたのか、アイが言葉を繋げる。
「知り合いに・・・女神候補の娘が居ます」
スフィンクスは、アイを見ながら
それはまるで自分に問いかけるように……。
そして、自分の思いを確かめているかのように。
ゆっくりと、そしてはっきりと、語り始めた。
「女神は、この世界の構成の一部になるの。
仕組みの一部と考えた方がいいわ。」
アイはまだ理解できない。
「その・・人と一緒に暮らせるのですか?」
スフィンクスは少し頭をかしげながら
「女神としての能力は、人とは異なる仕組みを持つの
この世界に人がいなければ、存在していけない。
この世界の人達とは共存できるはずよ。」
クァシンが「大樹に居る女神様も人と暮らしているよ」
たまらずに口を出してしまう
「あ!ごめんなさい」
スフィンクスは、クァシンを見ながら
「そうね、人と交わりながら女神は生きる。
人が居なくなれば、女神も消えるでしょう」
アイは「人が居なければ存在しない・・そうか、その通りだ」
少し晴やかな顔になると、スフィンクスに礼をして街に戻る。
「今日はつきあわせて、悪いなクァシン」
「別に、スフィンクスさんを見るのは、初めてだから」
彼は知らない事を知るのはいつも楽しいと感じているのだろう。
アイはその純粋な考えを、うらやましいと思う。
アイはヒサギを・・女神を愛しても間違っていないと心を決めた。
了