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SS 朝のランキング #爪毛の挑戦状

「朝のランキングのニュースです」
 スマホのアプリからニュースが流れる。私はランキングを見るのは楽しい。

「今日の一位は、僕の失敗です」
 個人が自分の情報を切り売りする時代だ。作家だって同じだ、自分が感動した事や悲しいことを表現する。共感を得られると作品が売れる。

 今の時代は、個人とプロの境目が薄い。みんなが【好き】を押してくれれば素人でも十分に稼げる。ランキングの一位の人は、自転車で転んで前歯を折った、前歯が欠けた写真と壊れた自転車の写真が掲載された。

「五百万スキもあるのね、月給くらい稼げそう」
 他人のちょっとした不幸を楽しむ、そして自分の幸運を確かめる、他愛のないニュースだ、それでも幸せになる人は居る。だからランキングは流行っている。

「自転車会社が新品を進呈したそうよ」
 同僚が私に楽しそうにランキングを見せる、彼女もランキング狙いのランカーだ。私は素人で数百スキが貰えるくらいだ、でも彼女は数万スキの実績がある。美人でかわいらしい彼女は何をしても見栄えがするので当然だ。

「私もあなたくらいスキが貰えたらなぁ」
 同僚はフフフと笑いながら、あなたも出来るわよと軽く言う。私が取れるわけがない、美人でもない私が取れる方法なんて………あるかも?

「コラボ?いいわよ」
 同僚と旅行して普段は食べないものを口に入れる。ウミウシとかタガメとか、美人が怖そうに食べると受ける。再生数が伸びると仕事をやめて専属で食べ歩きをした。

「今は外国です、景色もいいです」
 彼女は独立したがっていた、私と組むよりも専属の撮影係を雇いたい、私は承知する。ソロの方が儲かる。最後の旅行先は海の美しい見晴らしの良い高台だ。落ちれば危険。

「もう少し右を見てそれから振り返って」
 彼女は笑いながら振り向くとバランスを崩して落ちて行く……これで私も一位を取れる。

終わり

niceboat.


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