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神様になる日 2/4 ワールドザワールド

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あらすじ
女神としても大人としてもヒサギは自分の状態に困惑をしていた、大樹の女神に相談に行くと緊急事態を知らされる。

私は手を引かれながら大樹の女神を見ると余裕が無いように見えた。「神の国とはなんですか?」私は聞いてみるが女神は「今から説明するわ」と足早に歩く。大広間なのか、とても広い部屋に入る。中央に大きな透明な球体が飾ってある。球体は人が両手を広げて二人分はある。「こんな大きな水晶は、初めてみました」透明な球体は貴重な水晶に見える。何人かの女性が居るが女神なのだろうか?墓場の女神さんも居る。「状況はどんな状態?」大樹の女神は水晶を見ると困惑している。墓場の女神が近づくと「上層レイヤーはダメみたいです」とつぶやく。「説明を始めるわ、他に来ている人は?」墓場の女神は、首を横にふる。大きく息を吸うと大樹の女神は説明を始めた。

「この多元宇宙世界の上層側で異変があります」女神は球体を指さすと大樹が映される。指を上に向けると黒い領域が映された。「次元数が上がると、中に居る人達はより自由度の高い生き方をします」先生が説明をするように「上の世界は、物理定数の一部の書き換えが可能になり、個人でも変更可能です」もう難しくて判らない。困った顔をしていると「ヒサギには難しいわね」とニッコリ笑いながら「簡単に言うと、それぞれの個人が神になれる世界よ」私は驚いた、全ての人達が神様になれる?

「イメージ的には神の国でいいわ」一息つくと「それでも結局は人間なのよ、良い事も悪い事も起きる」球体を見ながら「ある人物が・・世界の消滅を望んだわ・・世界を滅ぼす力」墓場の女神が「止められなかったのですか?」「ほぼ偶発的らしいけど、その人物が望んだ以上の状態になったらしいの」大樹の女神は眉をひそめる。「彼は病気だったのかもしれない、何をしたかを追求しても意味はない、今は上層側のレイヤーが壊滅をしたため、私たちの世界に影響が出ている」

大樹の女神は球体の大樹を指さすと「前はここで、レイヤー同士で通信ができました、今はより上の世界との通信ができません、だから助けを求める事が出来ない」大樹の女神はここに居る女神を見ながら「私たちで対応するしかありません」誰もが球体から情報を得ているのか、驚かない。びっくりしているのは私だけだった。「ひさぎにも手伝ってもらうしかないわ」気の毒そうに私を見る。「でも何をすれば・・・」力の発動方法がまだ不安定だ。自分で望む事ができるのだろうか?その悩みを聞いて貰おうと、ここに来た。

「ひさぎには、この球体の事を知ってもらうわ、図書館があるので勉強してきて」勉強の事を聞くと、うっとなる。本を読むのは苦手だ。「私がついていく」悪意ワルワル の女神が私の手を引っ張る。部屋をでると「大樹の女神って説明下手でしょ?やになるわね」悪意の女神はくすくす笑っている。仲が悪いのだろうか。私は歩きながら世界がどうなるのか理解できない。「ワルワルさん、私はどうすれば」「どうにもならないわ、ここに居る私たちよりも神が多い世界が滅んだのよ?」鼻で笑いながら「上の連中も馬鹿よ、なんでも自由とか言うから変な奴も出てくる、きちんと批判して処罰を与えないから」そんなに簡単なのだろうかと私は感じた、神様同士でケンカになったら、誰が勝つのだろう。恐ろしく感じる。

私は「もっと上の人達は気がついてないのでしょうか?」悪意の女神は「上に行くほど不干渉になりがちなのよ、例えば私たちの目の前で蜂が飛んでるわよね」花畑で蜂が飛ぶイメージをする。「わざわざ手で捕まえたりしないでしょ?」刺されるかもしれない。「でも危険と思ったら、叩いて潰せる」潰れた蜂を想像した「自分たちが危険じゃないなら積極的には干渉しないし、だいたい気にしないのよ」「そんなもんですか?」悪意の女神は「そうしないと結局は私たちを管理する事になる」

私は野原の昆虫たちを人間が管理するイメージを想像したが、そもそも無理な事に気がつく。「図書館よ」大きな扉を開けると何も無い部屋の中で一人の女神が座っている。「本がありませんね」きょろきょろと私は周囲を見回す。悪意の女神は「便宜上、図書館と言ってるだけで紙の本が置いてあるわけじゃないわ」図書館の女神は私たちを見ると「何を見たいです」とニッコリ笑う。「この娘に大水晶の操作を、ぜ・ん・ぶ詰め込んで」図書館の女神は悪意の女神を見ると、うんざりした表情で「どうしたんです?また悪さでもしたの?」と小さな体をジロジロ見ている。「うっさいわね、いいから速く」悪意の女神は、どうやら前にも子供に戻ったらしい。

図書館の女神が私を見ると「まぁ新人さんなのね、よろしくね、腕がなるわ」と嬉しそうだ。彼女が立ち上がると、私の後ろに回り、後頭部に手を当てる。「じっとしててね、少し痛いから」痛いのは聞いてない、その瞬間に光があふれる。それは猛スピードで馬に乗ってるような感覚だ、風景は後ろに飛んでいく、どんな建物で誰が歩いているのか確認はできる、でも目的地は前方の建物だ。道順を覚えながら景色を見ながら飛び込んだ。建物の中は果物で一杯でカラフルな色と果物の臭いを強烈に感じる、自然とツバがわきでる、おなかが空いた。手づかみで果物を食べると止められない。いくら食べても、キリがない。食べても食べても食べても・・・

「大丈夫?」「いたたたた」私は後頭部に鈍痛を感じる。悪意の女神が近づくと「大水晶のレイヤーの一覧を出してみて」私は自然に手を前に出すと、リストを現出させる。空間に浮かんだリストを見ながら「使えるわね、じゃあ戻るわよ」悪意の女神は、私の手を乱暴に引っ張る。

続く


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