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郎太ンリャチンリャチ 説小学科想空

※毎週ショートショートnoteとは関係ありません

「太郎さーん」
私は近所に住む軍人さんに手をふる。昔からの顔なじみだ。お父様はとても難しい科学研究をされているので、太郎さんは新兵器の相談をするみたい。
「花子さん お父様はいっらっしゃいますか?」
ピカピカの自転車で玄関に到着をすると私に挨拶をする。恰幅も良くて素敵な軍人さんに私は恋をしている。まだ十四歳なのに恥ずかしい。

「太郎君 新しい兵器の設計図が出来たよ」
お父様は太郎さんを居間に案内をする。私はもう居ない母の代わりにお茶を出す。部屋に入ると青い図面が広げられていた。
「動力源は電気だ 機関銃は腰を支える筒に入れる」
太郎さんは熱心に兵器の説明を聞いている。
「お茶ですよ」
私は太郎さんにお茶を出すと嬉しそうに飲んでくれた。
「これこれ 花子は見てはいけないよ 出て行きなさい」
手で私を追い払うお父さんにアカンベーをしてみせると、太郎さんが笑っている。恥ずかしくて部屋を出てしまう。

お父さんの新兵器は採用されて満州で活躍している。でもすぐに亜米利加が参戦をする。卑怯にも宣戦布告もしないで攻撃をしたという。なんて恥知らずなのかしら。

でも亜米利加はとても国力が強く日本は負けてしまいそうになる。お父様の発明でも勝てないみたい。そして太郎さんが戦死された事を知る。お仲間が死んだ事を手紙で詳しく伝えてきた。自転車に乗って撃たれた。私はずっと泣いてしまいました。

お父様は軍部から様々な兵器開発を頼まれます。でお疲れがたまり、とうとう倒れると枕元に私を呼びます。
「お前は幸せに暮らしなさい」
別荘の住所とお金をもらいました。そしてお父様も死んでしまいます。

もう日本の空は、亜米利加の大きな飛行船と飛行機で埋め尽くされました。最後の決戦です。私は志願をすると、銀輪特攻部隊に配属されます。自転車に乗るのは得意です。お父様の自転車で上陸してくる亜米利加兵を倒します。

「それでは出発」
私の号令で何十名もの少女が街の中を疾走します。街中の人達は手を上げて喜んでいます。
「太郎さーん お父さーん」
日の丸が振られる中で私は喜びで一杯です。

検閲内容:神国日本が欧米に蹂躙される描写が青少年少女に不適切と判断をして不許可とする。

終わり

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