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SS アニュと蛇神【スネーク満床】#毎週ショートショートnoteの応募用
「困ったねぇ」
「どうしたの、おばあちゃん」
おばちゃんが手に持っている織りかけの布がネズミに食べられています。
「ネズミが多くて」
「わかった、神様に頼んでみる」
インドに住むアニュは、織物が得意で神殿にも奉納する事が多い。さっそく蛇神ナーガの織物をせっせと編んでいると、織る先から蛇がうじゃうじゃと現れた。その蛇は村中に入り込んでネズミをパクパクと食べてくれる。
「アニュ、蛇が多すぎる」
村人がネズミが居なくなったのは良いが、部屋は蛇だらけ大変な事に! ベッドにも蛇、お皿にも蛇、おトイレにも蛇。みんな生活できない。
「ああ、どうしましょう」
織っている最中に逃げ出すので、蛇が増える一方で消える事も無い。そこでおばあちゃんがアイデアを出してくれた。
「アニュ、氷室で編みなさい」
「わかった」
お野菜を保存する氷室に座って編み始めると、蛇は動かずにじっとしている。スネーク満床になった部屋で、蛇神ナーガを編み終えて神殿に奉納できた。それからは、ネズミが出る家には、その布をかざるとネズミが出ないと喜ばれました。