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SS 金持ち教習所#毎週ショートショートnoteの応募用
古い洋風の路地を歩きながら、革袋に入った銀貨を数える。弱いモンスターを少しばかり狩ってもギルにならない。日銭を稼いで食べるのが精一杯だ。新米冒険者はつらい。
「なぁ、お前は行かないのか? 」
「金ないよ」
パーティ仲間は教習所に通うと言う。この世界は、スキルを教習所で習得できる、盗賊ならばシーフの教習所に通えば習得できるがギルは必要だ。
【金持ち教習所】
戦闘をした後でギルが増えるアクセサリーを授与されるが、覚える費用が高い。ギルをギルで買うような話だ。僕は諦めた。
【金無し教習所】
いつもの路地裏を歩いていると、不思議な店を見つける。僕の事か? 僕を揶揄したいのか! 憤然とした気分で小さな店に入ると、幼い少女がびっくりしたような顔で僕を見る。
「いらっしゃいませ……、ここは最低限のギルでも生き延びるためのスキルを与えます……」
僕の顔が怖いのか泣き出したので、あわてて謝る。話を聞いて僕は少女に金を払う。革袋の銀貨は消えたが、少女に笑顔が戻る。
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「お前そんな装備でよく戦えるな? 」
仲間が不思議な顔をする、僕のスキルは最低限の装備で最高ダメージを与えられる急所攻撃だ。驚いた事に運の効果が非常に高いのか、モンスターから貴重な素材も大量に取れた。省エネスキルは最高の贈り物だ。
「ありがとう」
いつもの路地裏の店に顔をだす、少女が笑顔で歓迎してくれる。このスキルの難点は、毎日スキルの授与が必要な事だ。でも欠点ではないな、彼女の笑顔を毎日楽しめる。
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そんな装備で大丈夫か?
大丈夫だ、問題ない