SS アニュのご褒美【山岳フリマ】#毎週ショートショートnoteの応募用
アニュは山岳フリマが好きで告知されると村の広場に朝から立っていてニコニコ笑っている。
「アニュちゃんは、山岳フリマが好きだね」
「はい、毎年楽しみです!」
山岳フリマ、それは村の近所の山を村のみんなで管理するための当番を決めるための集まりである。ただ管理するだけではない、山菜を独占できるのだ。
「アニュの今年の山は! ナンダベッタ山」
「えええぇ」
ナンダベッタ山は村から遠く険しい山で滝しかない。アニュは、がっかりしたが当番なので滝の近くの祠の掃除をしていると滝の裏から光が見える。
(なにかしら……)
滝に近づくと裏に洞窟があり奥に進むと大きな盆地が広がっていた、その広大さは地平線まで建物も何もなく人が住んでいない。そして大量の薬草や山菜があふれていた。アニュは採れるだけ手に持って村に帰って報告したが、他の村人はだれもその盆地にはいけない。
「アニュ、それは神様からの贈り物だよ」
おばあちゃんがやさしい笑顔でアニュのほっぺをなでてくれる。アニュは、ただただ嬉しそうにうなずいた。