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SS 占い師マイカの毎日:節制【ワールドザワールド】

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あらすじ
平行世界に含まれる大樹の世界で占いの店を経営するマイカ。異世界のカードは絵のシンボルが実体化する特別な物だった。祠の試練でヒサギの体に侵入した悪魔のカードは、ヒサギと共に祠の内部に隠れる。大樹の女神はマイカと愛娘 アイニャンを小鳥にすると祠の内部へヒサギの救助に向かわせた。

ほこらの内部に入ると風景が変わる。天空に奇妙な色の星が光る。空の色も異様だ。天空に巨大な紋章が描かれている。明らかに私の世界とは異なる。

「ここどこ?」
小鳥の姿で侵入したが今は人の姿に戻る。鞄が動くと【力者】が出現する。約束通りに愛娘 アイニャンのために力を貸してくれる。

一緒に出現したライオンが回りを見回す。
「ここは俺たちの世界だな」
「そうね、似てるわ」
【力者】は白いドレス姿で一緒に歩く。【力者】が語るには、ここは悪魔が生成した世界だと言う。このどこかにヒサギが居る。私達はヒサギを探す事にした。

「悪魔はね、馬鹿なの」
直球だ。【力者】が語る印象では、悪魔は愚かで力が強い。影響力はトップクラスだと言う。世界を混沌に導く悪魔は自然の摂理でもある。悪魔に逆らう事で私達の世界が成立している。悪魔は私達の心。愚かでも人間はそれに向かう性質がある。

「戦争もそうよ、判っていても戦う。馬鹿よね」
人間は愚かだ。正しさを理解できない。正しさは世界に逆らう事。私達は逆らう事で生きている。

「それだとまるで私達の生き方が間違っているみたいな言い方ね?」

鞄が動いた。天使の羽をつけた男が出現する。【節制】だと名乗る。
「そうだぞ間違っている、だらだら生きるって最高だろ?」
また変なカードが出てきた。


「私は浪費、消耗、生活の乱れ、不規則な生活、アンフェア、不公平、不平等、不正。これこそ人間の真理。俺はだらだらしたい」
その場で座り込んだ。

私も同じだ。力を使えても街の占い屋として働いている。だらだらしたい。いけない、私は頭をふる。カードの力が逆流している。やはり実体化したカードは危険すぎる。

愛娘 アイニャンが私の背中をさする。
「大丈夫よ、ヒサギは強い子よ平気」

彼女は前向きだ。私は使命を忘れていた。ヒサギを助けないといけない。大事な顧客、妹みたい娘。【力者】が【節制】の頭を叩く。でかい音がしてひっくり返った。

「おい乱暴はやめたまへ」
「うっさいわね、いちいちネガティブな意見で周囲に迷惑かけちゃだめでしょ」
【力者】が【節制】に説教をはじめる、ライオンがそれをなだめる。私はその光景がおかしくて笑い出した。

「あははははっ」
愛娘 アイニャンも笑い出す。速くヒサギを助けよう。私はどの方向に行くか迷う。木のそばで何者かが立っていた。私は近づく。

「あなたは誰?」
彼の足下にはカードが散らばっている。絵柄が特殊で意味もわからない。

「私は……コレクターです。今回は申し訳ありません」
水平世界を行き来する彼は神と同じだ。【コレクター】と呼んでくれと言われる。彼は沈痛な表情で伝えた。

「あなたの世界のヒサギ様が愚かさを手に入れました。暴走が始まっています。」

続く


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