創作民話 悪徳お姫様は吸血鬼に狙われる7
あらすじ 吸血鬼ハンターと面会中に、国王崩御の知らせが来る
吸血鬼ハンターのライアールは
「ローゼット姫、吸血鬼が先手を打ったようです」
と静かに語ると、孫のカイルと立ち上がる。
「姫も来てください、混乱が始まります」
ハンター達の馬車に乗ると彼らが管理している館へ移動する
「吸血鬼の弱点は太陽と銀です、もちろんハンターも影響が
ありますが、人間の血も混ざるので致命的ではありません」
メイドのアメッタが元気が無いのは、日中のせいね。
「でも吸血鬼ヴァリアは、致命的なわりに平気そうよ」
吸血鬼は太陽の光で灰になると思ってた。
「彼はかなり古くから生き残っている一人です
それだけ力が強いのでしょう」
活動をしているのは数百年以上なのかもしれない
馬車は箱形をしている。
その天井に鈍く重い音がした
「御者、止めろ」とライアールが叫ぶが、馬車は飛ぶように
速く走る。
「カイル、用意しろ」
少年は短剣と銃を取り出す。
御者が殺されたのだろう。
馬車はしばらく走ると森の中で停車する
「ローゼット姫、お迎えにきました」
吸血鬼ヴァリアが呼んでいる。
なぜそこまで私に執着をするのかは判らない。
でも結婚をしたいと願う彼に、抵抗できない魅力も感じる。
「私は・・彼と行きます、みなさんは逃げてください」
今まで夫にした男達と比べても、吸血鬼の方がマシに感じた
「彼はあなたを単なる血袋としか思ってませんよ」
冷徹に答えるハンターの目を見ると、真実にも思える
「どちらにしろ、ハンターは殺されます」
ライアールが、合図すると少年と同時に馬車の外に出た
銀製のロングソードなのか、鈍く光る剣を抜いている
私はどちらを応援すればいいのか混乱していた。
吸血鬼が老人を襲う瞬間を私は見る事ができなかった
抜いた剣を使う暇も無く、暗い森の中で老人の首を
かみ砕き胴体から切り離す。
爆発したような音がすると、吸血鬼が叫び声を上げた。
少年が銃で吸血鬼を撃つ。
苦痛で悶絶する吸血鬼は、森の奥に逃げ込む
私は、馬車の扉をゆっくりと開いて降りた
老人の亡骸(なきがら)の前で、少年は声も出さずに泣いている
「カイル、私はどうすればいいの」
少年を後ろから抱きしめると、カイルは私の腕を握りしめる
かすれた声で、私に語りかけた。
「ハンターの館があります、そこまでお連れする命令です」
私を馬車に乗せると、少年は御者として馬を走らせる。
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