SS アメリカ製保健室 #毎週ショートショートnoteの応募用
「これがアメリカ製保健室なのか?」
「そのようですね」
陸軍の大将が敵から鹵獲した不思議な筒を見ている。それは魚雷にも見えるが、推進器は無く、ハッチがあるだけの筒でしかない。
「どうやら、安眠できるだけではなく各種ガスや薬品で治療もできるようです」
「つまりこの中で寝てると体が治るのか?」
「最新技術ですね」
内部を見ると固定する器具や回転するクランクのような装置もある。
「さすがアメリカだな、自動的に体が治るなら真似して作れ」
「はぁ……解析するまで時間がかかります」
装置を載せて大将は本土に帰る事にする、アメリカ製保健室も乗せて、重爆撃機が飛び立つ。だがすぐにレーダを持った敵に見つかる。
「早く逃げろ」
「無理です!」
散々に銃弾を食らうと大将も傷ついたが、なんとか逃げる事ができた。味方の飛行場につくと大将の治療を優先する。
「このアメリカ製保健室で治してくれ!」
医者は反対したが大将は自分から入ってハッチを閉める。
「早くスイッチを押せ」
医者はしぶしぶスイッチを押すと、装置は少しだけ熱を持つ。同時にくもぐったような牛のような声がする。あわててスイッチを切る。しんと静まりかえった治療器は、もう音もない、医者がハッチを開けると、大将の体はズタズタだった。
「これは……敵を尋問する自動拷問器……ですね……」
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