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SS クァシンの覚醒 ワールドザワールド

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あらすじ
ヒロインのヒサギの消滅を防ぐために、冒険者のアイとクァシンは
多元宇宙の世界で過去のヒサギを探す

紅い小鳥は、冒険者のアイという自分は認識できない。
女神の力でクリスタルで組み合わされた世界に飛ばされた。
ヒサギを見つけ出す事はできても意思疎通ができない
焦る心と無限に思える時間の中で精神が摩耗している
いつしかヒサギを助け出すという目的すら見失う。

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ヒサギはいつも庭に来る小鳥が、今日は来ていない事を心配した。
「なにかあったのかなぁ」
さみしい気分を味わいながら
庭を掃除をしていると、母親が呼ぶ
「ヒサギ、お留守番してて」

両親は馬車に乗ると出かけた
買い出しだろう隣の町に行くのは、毎日の事だ
いつものように夕食の支度をして待つ
でも
今日は両親の帰りが遅い
この時点では何も心配をしていない

「ヒサギさん」
翌朝に私を呼ぶ声がする、
玄関先に警察官がいる、昆虫族の警察官は
大きな尖った顎を動かしながら器用に人間の言葉を話す

「ご両親が事故にあいました」
聞き取りにくい、私は何回も聞き直す
私は呆然と歩きだす、後ろから警察官の声が聞こえる
父母が死んだ事を実感できないまま、私は庭へ行く

いつもの小鳥が来る、紅い鳥と白い鳥だ
私の手に止まると、小さく鳴いている
いつまでもいつまでも鳴く声につられて
「何が言いたいの」ちょっと怒った声を出す
小鳥に八つ当たりをする自分が情けない
涙があふれて視界が曇る
そのまま崩れ落ちるように私は座り込む
嗚咽は止まらずに小鳥たちは私を見ている
「助けて」

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

白い小鳥はヒサギの声を聞くと自我が芽生える
「ヒ・・サ・・・ギ」
彼は彼の知識を確認すると、認知の領域を広げる
女神から授かった別次元への飛翔の力は、知識に影響を与えた
認知は世界を把握する力だ、
人は無意識下にある膨大な信号をまとめて大河のように
意識を構築している。
飛翔の力をこの空間内に広げれば、膨大な認知の力を得られる
女神すら予想が出来ないマルチバース(宇宙集合)内での
認知拡大をクァシンは実現をした。

通常の人間ならば膨大な情報で消滅するであろう意識を
彼は持ち前の好奇心ですべてを取り込みながら巨大な
集合意識を構築する。神レベルの認知処理は全知全能だ。

はじめに冒険者アイを実体化させると、自身も実体化した
「アイ、ヒサギはすでに設定を変更している
 彼女の力をキャンセルすれば、彼女の行った行為は
 無駄になる、影響範囲は大きいが私ならできる」
クァシンは年長者のように、アイに話をした

「彼女がどう変わるんだい?」
冒険者のアイは、ヒサギさえ助かるなら、なんでもやる覚悟だ

クァシンはアイの真正面に立つと
「君の中のヒサギへの愛は知っている。
 私はヒサギと融合する事で、女神として完全な存在に
 なるつもりだ」

アイは絶句した

「今までありがとう、これからもヒサギを大切にしてくれ」
「クァシン、君はどうなる・・」

クァシンは白い大きな鳥に変化をすると
ガヨクがヒサギをさらう前の世界に突撃した。
「ア・・イ・・ヒサギを・・」
遠くから声が聞こえる、でも最後まで聞き取れない

アイは突然後ろから引っ張られると
大樹の女神の足下に寝ていた。

「ふむ、まだ数分も経過してないわ
 でもクァシンはどうしたの?」
女神は不思議そうに周囲を見回す。


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