SS 夏の経験【ひと夏の人間離れ】#毎週ショートショートnoteの応募用
さえ子はひと夏の経験をしたかった。それもひと夏の人間離れに挑戦したかった。
「10Pするの」
クラスメイトが眉をひそめる。
「無理だって」
「まだ未経験でしょ」
「体を壊すよ」
幼そうな彼女は自信まんまんだ。
「平気よ、やってみせる」
「相手どうすんの」
「和樹を連れてく」
「和樹だけでどうするの」
「監視役よ」
みなが唖然とする。
「なに? 和樹君は見てるだけなの」
「そうよ、見てるだけ」
「かわいそうじゃない」
「そうかな? 余ったら彼にも経験してもらうからいいわ」
「えーっ」
嬌笑があがる。女子はみな妄想をふくらませた。ちょっとおとなしめの和樹君が……、そこに和樹が近寄る。
「さえ子、俺の名前を呼んでどうした」
「ちょうどいいわ、挑戦したいのよ」
「ああ……わかったよ……」
女子のみんなが、ひそひそと小声で話す。
(和樹といつもいっしょだから……経験済みなのかな)
(そんな風には見えないけど……)
当日になると和樹とさえ子がピザ食べ放題の店に入る。
「10Pください」
もちろん全部は食べられずに、和樹に食べてもらった。
1Pとは、ひとりで食べることを想定したサイズである!
スケベな事を考えた人は、そこで腹筋を十回!
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