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SS アニュの不徳【激辛の鏡】#毎週ショートショートnoteの応募用
「これが激辛の鏡じゃ」
バラモン教の僧侶が、アニュに鏡を見せる。歪んだ白銀色の鏡は金属を磨いて作られた物だ。
「これをどうするのです?」
「これを持って私の前に置いてくれ……」
まだ成人していなアニュは、織物が得意な女の子で、今は僧侶の服を編んでいる。褐色の肌をした僧侶の前に鏡を置くと僧侶がうんうんと汗を流す。アニュは鏡に何が映っているかは見えないが、僧侶は苦しそうで顔も真っ赤だ。
「何が見えてるのです?」
「人の業じゃよ……」
その魔鏡は、人の過去を映し出す。罪や穢れ、恥ずかしい事や失敗した事、自分の犯したありとあらゆる赤面することが映しだされた!!
「僧侶様!」
「平気じゃ」
バラモン教の僧侶が、いつのまにか倒れてしまう。驚いて助け起こすと僧侶は、晴れ晴れとした顔をする。
「こうやって毒を抜く修行だ」
「良かった」
アニュはつい鏡を持って自分を見てしまう。そこには恐るべき罪が映し出される! 『編み目を間違えちゃった、まぁいいわ!』
顔を真っ赤にしてもだえ苦しむアニュだった……
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