SS 試練【深煎り入学式】 #毎週ショートショートnoteの応募用(380字くらい)
「深煎り入学式がはじまります。食堂に集合してください」
入学式早々から食堂に呼び出された。入学した男女は十人も居ない。
「なんで食堂……」
老若男女の入学生は、みんな刑務所から出所したばかり。悪そうな顔だったり、疲れた顔だったり、嬉しそうな顔だったり千差万別だ。
食堂で待っていたのは人の良さそうなおばあさん。
「入学おめでとう、ここで社会ルールを学んで卒業しましょう」
ここは犯罪者を更生させるための学校。
「これはね、とっても深く煎ったお茶なの」
ニコニコしながらお茶碗に、なんかすっごくドス黒いというか珈琲に見えるような液体をそそぐ。
「あの、なんですかそれ?」
「お茶よ」
おばあさんの目が怖い、飲まないと殺すと言わんばかりだ。生徒は有無を言わせない雰囲気で出されたお茶を飲むと、何名か机に突っ伏して死ぬ。
「あら、ごめんさないね。再犯率が高い人は死ぬのよ」